福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

COVID-19(2021)(26) 米ファイザー社は菅首相からの電話もCEOに取りつがなかった 

2021年05月31日 07時03分54秒 | 時事問題 社会問題
 菅首相がCOVID-19対応の切り札と位置付けるワクチン確保は他国に比較して大幅に遅れていた。出遅れに焦った菅首相は従来の厚労省ルートではなく、当時の杉山駐米大使を動かし直接米ファイザー社本社に働きかけることにした。

 以下がその交渉の概要である。
 世界的危機の中で我が国が特別扱いを求めることは出来ないだろうが、国家の首長も一製薬会社からも結構軽く扱われていた。これは私が抱いた否めない印象である。
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 (1)杉山駐米大使は「日本国総理からの連絡である」として同社に連絡を試みたが「同じようなリクエストは各国からきている」と全く相手にされなかった。

 (2)壁にあたった杉山氏はトランプ政権の厚生長官であったA・アザール氏に仲介を依頼した。同氏は「あなたが電話してもファイザー社のCEOは電話にも出ないだろう。こちらでできるだけのことをやってみる」ということになった。

 (3)A・アザール氏の申し出にファイザー社のCEOから「18:00から5分間のみ」電話可能との返事を得た、という。
 
 (4)この時間に杉山氏が電話し、日本政府の窮状を訴えたところCEOは担当役員へ善処するよう指示する、との約束をした。

 (5)この時の交渉によって、結果的に4月になっていた供給開始が2月に前倒しされたが、逆に十分な供給量確保の時期は6月から12月に後退した。

 (6)その後は河野担当大臣が先頭に立ち、総理もファイザー社のCEOと直接交渉することで「9月までに全ての対象者に確実に供給できる目処がたった」と会見で述べた。首相が就任当時に述べた計画より3ケ月遅れで確保できたことになる。

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 米ファイザー社の規模はどのようなものであるかは私は知らない。また、今は全世界的にCOVID-19ワクチンを求めているという特殊な時期に当たるということもあろうが、ファイザー社の対応には驚く。首相からの申し出に対し「同じようなリクエストは各国からきている」と全く相手にされなかった、というのは厳しい。
 米国のビジネス界の平均的な対応なのだろうか?

 この件に関してこのエピソードだけで全てを理解できるわけではない。ここに至るまでのワクチン確保の過程も大事だろう。しかし、それについて知ることは出来ない。

 五輪問題を含め国家としての尊厳は軽視されている、と思う。
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東京五輪・パラリンピック2021(13) 国家としての尊厳はIOCより下位?? そんなバカな!!!

2021年05月30日 18時29分48秒 | 時事問題 社会問題
 東京五輪・パラリンピック開催については国内外で中止論がやっと台頭してきた。しかし、菅首相、JOCなどは耳をかさず開催一辺倒の意向である。

 その理由は、IOCと日本側が結んだ開催都市契約には大会中止の権利や手続きが定められているが、圧倒的にIOC側が有利で極めて不平等な内容だからである。

 すなわち、「日本側に中止の権限はなく、中止決定の権限はIOCだけにしかない!!!!」。それならばいくら国民が菅首相、JOCに意見を述べても無駄である。だから、菅首相はIOCが中止の決定するまでは、実体のない非科学的な精神論で大会を乗り切る・・と言った時間稼ぎの方針が答弁されるのだ。開催意向に関して総理の答弁はこの一月以上にわたって全く進展がない。

 契約によると、日本側が中止を要請することは不可能ではないが、その場合、多額の賠償金が発生する仕組みになっている。

 開催都市契約は2013年に結ばれた、17年に公開された。その契約内容は歪な構造が多数示されていた。
 参加者の安全が保証できない時だけに中止可能となっているが、その際には日本はいかなる損失に対する保証も放棄することになっている。逆にIOCは日本に損害賠償を求めてくる可能性が高い。

 こんな不平等の契約がまかり通っていたのは、開催地決定にIOCに大きな決定権があり、東京は「お情けで」開催させていただくという姿勢でやっと選んでもらったからである。喜び勇んだ状態でIOCとの間で開催都市契約を結んでしまったということだろう。こんな不平等契約を呑んだ当時の責任者は誰なのか?どう責任を取るというのか??

 IOCの2014-16年の収入の6200億円、このうち放映権料は78%を占めている。2032年までの放映権はIOCとNBCとの間で7800億円で契約しているという。中止の場合IOCにはこの契約料が入ってこなくなる。これはIOCにとっても大問題となる。
 
 日本が中止要請した場合は日本側が損害賠償の義務も負うかもしれない。一方、今回IOCが日本側に多大な補償を求めると、次回、次次回の開催地は二の足を踏むだろう。そういう弱みはIOC側にもある。

 今回のCOVID-19蔓延は開催が決まった当時は予想もできなかった。しかしながら、COVID-19蔓延で都内で緊急事態宣言がなされた状態など、今回の場合は不可抗力で中止と言えるだろう。この様な場合には免責事項をはっきりさせておかなければならなかった。

 IOCとの開催都市契約に関しては私は以下のごとくに考える。
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 ■開催主体国である日本政府にも中止の権限がないということは、国家としての尊厳はIOCより下位であることを示す。こんなバカなことはない。
 ■ 2013年に結ばれたこの契約は、国内でどんな討論を経て結ばれたのか明らかにしてほしい。また、その契約者は誰なのか。
 ■五輪の理念はいろいろある。歴史も長いが、たかがスポーツの事務局に過ぎないIOCをここまで肥大化させ、権力を持たせたことをすべての関係者は反省すべきである。
 ■一度解体し、原点に戻してはどうか。

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絵画を楽しむ(5) 初めて見たミレー作「ついばみ」に感じ入った

2021年05月29日 18時30分48秒 | コラム、エッセイ
 文藝春秋には毎号「中野京子の名画が語る西洋史」と題し西洋絵画が紹介されている。
中野京子氏は、作家、ドイツ文学者、西洋文化史家、翻訳家で、著書多数。新聞や雑誌に連載を持ち、TVの美術番組にも出演している。

 文藝春秋2021年6月号にはミレー作「ついばみ」が紹介されていた。
 私はミレーの作品は好きであるが、そんなに幅広く作品を見たわけではない。この「ついばみ」は先日初めて見て衝撃を受けた。そして、この絵が表紙に使われている中野京子著「そして全ては迷宮に」、文藝文庫、2021年3月出版、を購入した。
 

 ジャン=フランソワ・ミレー(1814年-75年)はフランスの画家。パリから約60kmのところにある、フォンテーヌブローの森の一画に定住し、風景や農民の風俗を描いた。しかし、なかなか評価されなかったが、1850年に「種をまく人』、「藁を束ねる人』につづき「麻をほぐす人』、「刈り入れ人たちの休息』57年に代表作「落穂拾い」を出品した。しかし、「落穂拾い」は現実離れしていると批評家たちから酷評された。

 私は2000年、ルーブル、オルセー美術館を見学する機会を得た。オルセー美術館は駅舎を改造して作られたもので、絢爛豪華な前者よりはしっとりと落ち着いた印象の後者にホットする様な共感を覚えた。 オルセー美術館にはミレーのコーナーがあり多数の作品を見ることができた。

 この「ついばみ」は2014年山梨でミレー展が開催されたときに中野氏が山梨日々新聞に寄稿している。
 「この作品はミレー自身の意図の通り、誰しもが巣のヒナ鳥を連想するに違いない。右端の少女がとりわけ愛らしい。隣の妹がちゃんとこぼさずに食べられるか心配で、その口元に集中しながら自分まで少し口を開けている。小首を傾げ手を握ってやるお姉ちゃんぶりの微笑ましいこと(前後略、一部改変)」。中野京子著:そして全ては迷宮に、より引用。
 この右端の少女は真ん中の少女の手を取り、肩に手を添えて「もっと前屈みに」、「お口を大きく開けて・・」そう言った言葉すら聞こえてくる様な微笑ましい情景が手に取る様にわかる。ミレーが描いた作品の少女像はどの作品も可愛らしい。

 ミレーの作品の女性像は総じて体格がいい。農家の主婦としての体格なのだろう、存在感が大きい。この絵では座っている小さな椅子が前のほうに片向けられているのが落ち着いた構図の中でも動きがあってとてもいい。

 私は絵画が好き、と言ってもまだまだ初心者である。だから、時折この絵の様な新鮮な驚きを体験する。それがまた楽しい体験となる。
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絵画を楽しむ(4) 本 深井晃子著:ファッションから名画を読む PHP新書 2009年

2021年05月28日 07時32分35秒 | 書評
 私は服装について関心も知識も乏しい。ただ、人間の歴史、文明の発達などと衣服は濃厚に関連しており無視できない文化の一つとしての関心はある。
馬子にも衣装とは(1)最近、ファッションに興味を感じている
馬子にも衣装とは(2)そもそも人は何で衣服をまとうのか

 絵画を味わう場合、特に近・近代の作品においては服飾は時代の政治、経済、権力財力の過剰な集中、庶民からの搾取問題を無視できない。
 そういった意味で興味がある。

 上記書籍は絵画における服装の描写から歴史・文化の推移を論じており、いろいろ勉強になった。

 筆者は、パリの大学院で美術史を学び、京都国立博物館等でファッション関係の企画展示の企画に携わったキュレーターの方。京都服食文化財団の理事。

 画家が描いた美しいファッション、画家の情熱にモデルの誇り、絹の光沢にビロードの艶、贅をこらした装飾、流行のシルエット、鮮やかな色彩、衣擦れの音さえ聞こえてきそうな布の質感すらも表現されており、時代の輝きと、そこに生きた人々の息づかいを感じ取れる。

 有名な絵画も、「装い」に目を向けて改めて見直せばれば、隠された魅力が見えてくる。

 フェルメール、ダ・ヴィンチ、ルノワールetc. 画家たちの筆がとらえた折々の服装は、時代を超えて、衣服は多くを語っている。

 ヌード画は別であるが、いやこれですら脱ぎ捨てた衣服などは重要な鑑賞対象になる。人物画を好む人にとってとてもよい指南書になっている。

 ファッションの絵画史はそのままファッションの歴史でもある。時代とともにどう変わったのか、なぜ変わる必要があったのか。
 昨今、美術史や絵画を解説した本は多いが、ファッションから名画を分析するというのはとても珍しいように思う。



 当初私は美術館には赴き、掲げられている肖像画の表情には注目することはあっても、ファッションについては知識がないこともあり関心を持って見ていなかった。私が絵画を見る視点は大きく変わった。

 なお、文中に引用された絵画は数多いが、新書版ということもあって小さく、じっくり見るには耐え難い。同じ絵画を別の大型の画集を参照しながら読むと一層楽しめる。
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絵画を楽しむ(3) 画集や複製品で楽しむ TV番組も価値が高い

2021年05月27日 17時47分49秒 | コラム、エッセイ
 私はどんな絵画を好むのか?
 有名な作者の有名な作品については知識が先に立っているから純粋には味わえない。
 しかしながら、例えば秋田県展などの場合、作品・作者についても何も知らないから、パッとみて「その絵が美しいか否か」が第一の選択基準になる。その時点では「誰が書いたものか」などは関係がない。深く感じ入った場合にはそれから調べればいい。

 作品を「味わう」には、やはり美術館やギャラリーで直接見るのが一番・・、これは正論。しかし、いかに本物の作品を直かに見たとしてもすぐに忘れてしまう。特に私は即忘れてしまう。見たことがあるということは記憶に残っているが具体的作品のことなどすぐ忘れてしまう。

 だから、私にとって画集や複製品を買うという選択肢も重要である。自分の手元でいつでも楽しめるから展覧会よりは価値が高い。
 画集や複製品は、書店で購入することはなくて、私の場合には美術館の会場に併設されている売店で購入する。来館の記念にもなるからである。

 画集や複製品は結局は偽物でないのか、と言われるが、それでもいいじゃないか、と割り切る。真贋に対する知識も私にはないから関係ない。

 絵画は直感で「美しい」とか「いいな」と自分の感覚で楽しむことが重要。
 絵画を見るのに知識はそれほど必要はない。しかしながら、写真がなかった時代の中世から近・近代の絵画には時代の流れとか、依頼者の意向などが濃厚に込められており歴史の勉強になる。この場合は、知識が作品の理解を助けるのも事実、私の場合はガイドブックを参照しながら見る。

 絵画の理解には、放送もすごく役に立つ。
 最近画質がとても良くなって満足度が高いし、到底見ることが出来ない世界の美術品を見ることができる。
 私がときに参考にするのは以下の二つが代表。
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 ■ NHK教育TV毎週日曜朝9時(再放送は日曜20時)に放映されるNHK・Eテレの美術番組「日曜美術館」。
 1976年に放送が始まった同番組は、数あるテレビの美術番組でも最長の歴史を持ち、美術界への影響も大効いらしい。「日曜美術館」は毎週異なる特集を組むスタイルを貫いており、個人のアーティストを取り上げることもあれば美術界の動向や美術館を取り上げることもある。
 ■火曜BS日テレ 20:00ブラブラ美術館
 ブラブラ歩きながらの解説だからまだるっこしいのが玉に瑕。
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