福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

医師法第20条の解釈の通知(1) 有り難いが、今更何だ
!!!が実感

2012年10月31日 04時04分14秒 | 医療、医学
 われわれ医師は求めに応じて診断書交付を求められるが、死亡診断書に関しては医師法第20条に従って記載している。しかし、法の解釈に変遷があり、悩まされている。

 以下は医師法第20条の条文のうち死亡診断書、死体検案書発行に関する部分である。
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 医師法第20条:医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
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 上記条文において、前半部分で医師は診察せずに治療、診断書や処方せんを交付してはならないし,自ら検案をしないで検案書を交付してはならない、と厳しく戒めている。一方、後半においては、診療中の患者が受診後24時間以内に、診療中の病気で死亡した場合に限って「診察なしで診断書を発行できる」と例外規定を示している。

 この条文は長い間、受診後24時間以上経った死亡患者には死亡診断書でなく、死体検案書になる、と解釈されてきたし、私もそれに従って来た。ただ、私の場合、多くの看取りは病院内で行われて、外来患者が自宅で死亡したとか、入院患者が退院あるいは一時帰宅中に死亡したという頻度は40年の経験の中で僅か10数例と多くない。実際には、自宅で急変すると救急車で搬送されてくるからである。例外的に自宅で亡くなった場合には、患者の元を訪れて状況の確認や外表面の異常の有無の確認をしてきた。

 受診後24時間以内の死亡であっても、診療中の病気で死亡したか否かは状況を確認しないと分からない。

 だから、 医師法第20条はもともと変な条文である。

 今夏、厚労省から診療中の患者が受診後24時間以降に死亡した場合にも死亡診断書を交付できるとした解釈が示された。驚いたが、「今更何だ
!!!」が実感である。
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野田首相(8)混迷する政治 国会議員は職務怠慢でないか

2012年10月30日 03時46分48秒 | 政治・経済 国際関係
 民主、自民双方の新執行部の発足後も党利党略の駆け引きに明け暮れ、1ヶ月近くも臨時国会の開催も出来ないような、あきれた状況が展開されてきた。とてもまともな政治と言えない。国民生活に直結する法案が目白押しだというのに、また、野党の自民総裁に首相経験がある安倍氏が就いたことで良識ある対応が期待されたが、前総裁と変わらず「解散・総選挙」の連呼である。

 10月29日、やっと臨時国会が召集され、衆院本会議で首相の所信表明演説が行われた。所信の総論的な部分では「明日への安心、明日への責任」、と20回近くも連発し、「一体改革のための消費税増税は大きな成果」と自賛し、更に「赤字国債法案を駆け引きに使わないで欲しい」と訴えた。崖っぷちにいる首相の苦しさが伝わってくる内容であった、

 赤字国債発行法案の重要性は与野党にかかわらずその重要性は分かっているはずだ。この法案が通らなければ当面は予備費を切り崩すしかない。これは国の運営にとって危険でもある。
 現に地方交付金や大学の助成金などは交付が遅れ、減額されている。財政基盤が弱い自治体は資金繰りに困惑し、ある大学は金策に奔走しているという。こんな状況を迎えているのに、今後も駆け引きの材料とするなら野党の責任が問われよう。
 
 一方、参議院は首相の所信表明演説を拒否し、代表質問も行わないという例のない事態に陥っている。参院は先の通常国会で首相の問責決議を可決した。過半数を占める自民党など野党からの要求という。自民党としては、野党が多数を握る参院で政権を揺さぶり、衆院の早期解散を迫るのがねらいだろう。
 問責決議を可決した事の意義は小さくない。しかし、問責決議には野田首相の職務を制限する権限など無いはずである。どんな問題があろうとも、問責を決議したと言っても、現状では野田政権が政治を担ってことには変わりない。問責決議を理由に法案審議を拒んだりすれば政治の混迷は深まるばかりである。
 
 国会議員の職務は法案の審議であり、「Law maker」とも称されている。審議すべき法案をそっちのけにして党利党略に動くのは職務怠慢、職場放棄である。議員の職責はこれで果たしていると言えるのだろうか。こんなことで報酬が貰える議員って何なんだ。野党側は審議に応じ、論戦を通じて主張を展開すべきである。

 今回の臨時国会には、予算執行に不可欠な赤字国債発行法案や、衆院の一票の格差是正の「0増5減」法案などが上梓されており、これらの処理は喫緊の課題である。 また、領土外交のあり方も、政権が9月にまとめた「2030年代に原発ゼロ」の方針についても、まだ一度も国会で論議されていない。野党側が厳しく追及できる議案に事欠かない。

 民主党では昨日2名が離党した。あと6人離党すれば民主は単独過半数割れとなる。民主党の惨状は目を覆うばかりで、解散総選挙となると再び自民党が政権奪還する可能性があるが、安倍総裁は次の政権の担当を前提に日本をどうするのか語って欲しい。そうでなければ前回と同様、与党の自滅による政権交代になってしまう。
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腸閉塞体験日記(9)入院雑感(3)自宅療養期間を短縮する

2012年10月29日 13時30分27秒 | コラム、エッセイ
 入院後、特に術後は体調良好で、豊かな時間をもてた
 術後は翌日から若干の倦怠感はあるものの疼痛もなく、退院したいほど体調は良好であったが、主治医は術後10日間ほどは入院の要があるという。ならば時間を有効に用いるしかない。今回は、読書、DVDで映画、文献新聞のPDF化、蓄積した新聞等の電子データの整理、録音データの整理等に当てることとした。術後3日後からは早朝医局で過ごしたので、書類処理等の業務も処理できた。

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(1)書籍、
■池上 彰ー日本語の大疑問、■昭和10年以降の近代日本の歴史関連書籍数冊、■日中・日韓関連の歴史、領土問題関連書籍、■太平洋戦争関連 武器兵器編 戦略編 真珠湾以降の激闘の記録など、■團 伊玖磨著 パイプのけむり 5巻、6巻、■死刑絶対肯定論 、■詩集 病者・花、■在宅ホスピス物語
(2)専門誌関連、
■日本医事新報4615-17号、■西村書店 カラー版内科学の総論部分、■Infectin Front2冊
(3)DVDによる映画
■剣岳、■硫黄島からの手紙、■父親たちの星条旗、■男達の大和、■雨に唄えば、■サウンドオブミュージック
(4)その他
■ラジヲ深夜便『こころの時代」 2007年2ヶ月分、■NHK落語選集、■ブルックナー交響曲6-9番
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 23日午後退院し自宅療養したが、振り返ってみれば、この間随分読み、観、聴いたものである。今迄、これ程集中して読・視聴出来たことは無かったが寝不足になった。それだけ症状がなく元気だったという事。貴重な時間を得たと言う喜びが大きかったが、それだけに私の代診をしている同僚医師に申し訳ないという気持ちも大きかった。

 昨日28日には近隣の飯川病院の日直を行った。他院の仕事をこなしていながら本業を休み続けることは出来ない。主治医から29日から出勤の了解は得たが時間的に中途半端になったために診断書の期限を二日前倒しし、30日から復帰することになった。

 多くの方々にご心配・ご迷惑をかけたと思う。上記の如く明日から復帰するので「腸閉塞体験日記」は本日で終了とする。お世話戴いた方々に職場復帰のお知らせと共に、心から感謝申し上げます。
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コレクション(2)私は書籍、文献、新聞のPDFデータ、ラジオ深夜便のMP3データを蓄積している

2012年10月28日 05時31分49秒 | コラム、エッセイ
 私は物品を集め、眺めて愉しむ趣味は無い。だから、コレクションと言えるものはない。あえて挙げれば以下の如くである。

 ■材木、木片、木箱などを集めておくことで、自分の領域に整理はしているが、それでも邪魔になるらしく家族のひんしゅくを買っている。私は比較的木工細工が好きなので適宜取り出して使っている。家族にとっては無価値である。私の活力に応じて適宜処分予定。
 
 ■30年ほど前まで平均して月に10枚程度レコードを購入していた。集めることが目的ではなく聴くためであった。かなり減らしたがまだ2.000枚程度はあるだろうか。一部は今も時々取り出して聴いている。多くは死蔵になっているからコレクションと言えるかも知れない。いわゆる掘り出し物や希少のレコードはない。私にとっては大事だが、家族は興味すら示さない。 適宜処分したいが、何とすればいいのか。材木と合わせ、いずれ御所野の処分場へ運ぶことになるか?


 私が比較的こだわっているのは、書籍の自炊データ、文献、新聞のPDFデータ、ラジオ深夜便のMP3データ、それに自分のHPの蓄積である。これらは大容量のハードディスクにまとめてあるほか、分野別にも独立したディスクに保存して大事に扱っている。

 ■書籍の自炊は2年ほど前から始めた。人手も借りているが、まだ千冊分ほどしか進んでおらず、まだまだ書棚に本が一杯である。現状ではパソコンで読んでいるが、いつでも何処ででも検索して読めるからとても便利である。これらのデータは近い将来タブレットで読めるようにしたいと思っている。

 ■文献・書類・新聞スクラップのPDFデータは2000年以降分をとってある。それ以前のはソフトの関係で読めなくなって廃棄した。ほぼ連日コツコツと作業をしている。検索をかけると10余年分のデータが数十秒で経時的に並ぶのは壮観である。

 ■2004年ほどからラジヲ深夜便「心の時代」「明日へのことば」ほかを聴きながらMP3で録音している。これらにはインデックスを付けているから気に言った内容のは適宜呼び出してiPodで聴き直している。

 ■2001年秋から徒然日記を継続している。検索にて何月何日に私が何をしていたか、何を考えていたかを知ることが出来る。我田引水であるが貴重なデータである。

 これらのデータは毎日時間をかけてコツコツと蓄積し、分類してきた。私にとっては宝物あるが、家族は興味も示さない。 毎日活用しているからコレクションとは言えない。一番気軽なのは、その気になれば誰にも迷惑かけずに一瞬に処分できるから気が楽である。
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コレクション(1)傍からは理解しがたい個人の蒐集趣味

2012年10月27日 06時24分23秒 | コラム、エッセイ
 医師会関連の出版物や製薬会社とかがつくる医療関係の小冊子には気楽に読めるコラムがあって、医師達のいろいろな趣味が紹介されている。実に幅広く、深い趣味で感心させられることも少なくない。
 
 時にはいろんな物品の蒐集を趣味にしている方もいる。
 人には大なり小なり蒐集癖があるらしい。動物にもエサを集め保存しておこうとする本能がある。精神病学では身近な物を捨てられず溜め込んでしまう症状を「蒐集症」と言い、強迫神経症的背景を持つ患者、認知症や統合失調症の患者に見られるとされている。

 中には芸術品などの高価なものを蒐集している方もおられるようであるが、多くは本人以外は見向きもしないようなガラクタが対象となっているから面白い。切手、玩具、ミニチュアカー、洋酒のミニテュアボトルなどなど人それぞれで、紹介する本人は実に楽しげである。しかも、本人があえて価値を封印して集めているのも面白い。切手は使うことはないだろうし、ミニテュア・ポトルの酒は飲まれることは無かろう。ミニテュアカーも遊ばないだろう。この辺のところは私には理解出来ないところである。

 歴史家のクシシトフ・ポミアンは、コレクションは3つの条件を挙げている(Wikipedia)。
●コレクション品が一時的あるいは永久に、営利活動の外に保たれている。
●コレクション品が特別な庇護のもとに置かれている。
●コレクションが視線にさらされている。

 上記は公的なあるいは大規模なコレクションの条件であろうが、文化的に価値の高いものを個人的に所有して密かに愉しむのは勿体ない。私は個人の蒐集趣味の条件として以下の2点を加えればいいと思う。
■往々にして家族とか身近な人のひんしゅくを買っている。
■本人にとっては宝物、他人にとってはゴミ同然でしかない。

 集められるものは有形のものに限らず、知識や言い伝え、なども蒐集の対象となるらしいが、医師がそのような趣味を紹介した記事に接したことはない。

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