福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

職員を守る、自らを守るためのリスクマネジメント(1)

2006年08月31日 05時08分24秒 | 医療、医学
 一般的に医療機関におけるリスクマネジメントと言えば、診療面での事故防止、院内感染対策を主たる目的とした安全対策を示し、現在、各病院とも対策委員会や専従の担当者を置いて積極的に取り組んでいる。
 一方、最近の医療現場では医療スタッフが遭遇するリスクについても真剣に対策を考える必要が出てきている。
 世界一治安が良い国、日本と言われてきたが、昨今は治安の悪化傾向、犯罪の凶悪化といった傾向を認めざるを得ない。最近、秋田でも幼気な小学生二人が犠牲になると言う不可解な殺人事件が生じたばかりである。犯罪行為、傷害行為等の背景が近年様変わりしてきている様に思えてならない。

 医療現場における傷害事件は秋田ではまだそれほど問題にはなっていないが、細かい事象を挙げれば危険性が増加してきている、と思う。東京、大阪では入院中の患者が外部より狙撃された事件や、患者が拳銃を発砲し看護師長が殺されるという事件も生じている。また、歯科医が通勤途上に射殺された事もある。
 これほどの例は例外中の例外と考えたいが、医療スタッフが暴力を振るわれたり、生命の危険を感じるような状況に追いやられたりすることが、とくに救急医療の現場で日常的になりつつある。

 急性アルコール中毒の患者はもちろんのことだが、慢性アルコール中毒患者も身体の不調を訴えて頻回に受診してくる。ドラッグの関与を疑わせる患者、精神的に不安定な患者、性格的に障害を持つと思われる患者、また明らかに暴力団関係者と思われる患者も救急車搬送され、あるいは直接来院する。こんな患者は増えてきている。また、拘束中の容疑者が不調を訴えて警察官と共に受診することもある。何故か、当院を希望するのだそうだ。この様な人達の受診行動にも変容が認められる気がしてならない。

 更に重要かつ恐ろしい事に、最近の傾向として一見善良な社会人と思わせる患者や家族が、待ち時間のことや職員の対応に対して突然「切れて」、騒ぎ立てたり暴れたり、職員の胸ぐらをつかんだりする事も生じてきている。頻度はまだ多くはないがこんな事例も確実に増えてきている。

 私ども医療関係者は職員を守り、自らも守る、そのための方法論も技術も身につけなければならなくなってきた。
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全館禁煙から敷地内禁煙に(2) ちょと過去を振り返ってみると

2006年08月30日 06時23分46秒 | 医療、医学
 喫煙の害はここで枚挙する必要もないほど分かり切ったことである。たばこは全ての年代、男女にとって害があり、早く吸い始めるほど、喫煙期間が長くなるほど健康への害が蓄積する。長期喫煙者の発ガン性が非喫煙者のそれに近くなるのに禁煙実行後5年はかかると言われている。

 さらに、女性の場合は不妊症になる可能性があるほか、妊娠や出産への悪影響も大きい。妊娠中の喫煙は受動喫煙の影響も含めて胎児に異常を引き起こす可能性が高く、無視できない。
 だから、あらゆる機会をとらえて、たばこの害を知らせる、吸いにくい社会にし、安易に手を出す人を減らし、禁煙の輪を広げる、他人が出す煙を吸わずにすむ環境に変えていく、そんな幅広い対策が必要となっている。

 私どもがパネルディスカッション「医療機関内における禁煙」を行ったのは平成元年(1989)であるが、その後の社会における禁煙運動の動きは遅々としつつも確実に進展し、禁煙文化が高まっていった。平成15年、日本医師会が「禁煙椎進に関する日本医師会宣言」を発表し、医師及び医療関係者の禁煙と、医療機関、医師会館の全面禁煙の推進を提唱した。同年には秋田県医師会も分煙に踏み切っている。

 平成15年に健康増進法が施行されて、学疫、病院、官公庁、その他不特定多数の人が集まる場所での受動喫煙を防止する努力目標が定められた。翌平成16年に政府が「たばこ規制に関する世界保険機構枠組み条例」を批准した。この条例は、「現代及び将来の世代を、たばこの煙に曝されることによって起こる健康的、社会的、環境的、経済的被害から守る」事を目的とし、価格、税金の引き上げや受動喫煙からの防護、製品の警告表示の強化、未成年者への販売防止などを定めたものである。これらのことによって、わが国のタバコ対策は大きく進むことになった。

 われわれ医療機関の従事者は、診察室に訪れる患者に良い医療を行うと言う範囲で満足し、留まっていてはならない。われわれはいわゆる楽しみを売るサービス業でなく、健康危機管理業である。国民や県民の健康と生命を守るためには後手に回った対策だけでは不十分である。禁煙教育や禁煙指導のリーダーとして禁煙文化の底上げ、熟成のために努めなければならない、と思う。
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全館禁煙から敷地内禁煙に(1)県民・国民の健康を守るために

2006年08月29日 06時34分22秒 | 医療、医学
 全世界で少女の喫煙が急速に増えている、とWHOが警告している。
 日本も例外ではない。男性の喫煙率は減りつつあるが、若い女性の喫煙率が増える傾向にある。20-30代では今や5人に1人が吸っていると言う。受動喫煙を含め、喫煙の害は身体的のみならず、心にも影響を与えるし、社会的にも多方面に害を及ぼしている。医療費高騰の一翼にもなっている。

 当院では全館禁煙にしてから3年ほどになる。院内の環境はとても良くなった。しかし、医療機関としてこのレベルに留まらず、更に進んだ対応をすべきであるとの意見は根強いし、私自身もその方向には賛同してきた。

 5月31日は世界禁煙デーで、6日まで禁煙週間であった。昨年度、院内で「禁煙問題対策検討委員会」を立ち上げ、今後当院で取るべき対策について検討を委嘱したこともあって、私自身も喫煙についてどの様な方針を出すべきかいろいろ考えてきた。7月、検討委員会から敷地内禁煙に向かうべきである旨の意見が提示されたのを受け、長副会議で検討を加え、昨日朝の管理会議にて2007年1月から敷地内禁煙を実施することを報告した。

 私自身は一切吸わないこともあって、従来から禁煙論者であり、禁煙運動にもマイルドに参加してきた。
 20年ほど前に秋田県民医連学術集談会の実行委員長を引き受けた際には、良い機会が与えられたと思いパネルディスカッションで喫煙問題を取り上げた。この企画に対しては疑義が多く出され、強い抵抗があったが押し切ったことを懐かしく思い出す。こんな企画がかつてあったことなどもう誰も覚えていないだろうと思うし、当時は企画を押しきったと言うことも含め、むしろ反発を買ってしまった、と言う印象であった。やはり、早過ぎたのかもしれない。プライベートには3人の子供達には絶対に吸わせないよう日常から指導したほか、吸った事を私が確認した際には学資その他の援助を一切絶つ旨を宣言して育てた。さいわいにも、子供達との付き合いの中で喫煙に関しては最近に至るまで一度も疑うべき事象はない。

 私にとっても今年の世界禁煙デー、禁煙週間の際の考察は大きな意義があった。

 全館禁煙から敷地内禁煙に踏み込む目的は、健全な次世代を育むためにたばこの害から青少年を守ることである。そのためには禁煙文化の底上げが必要であり、医療機関の責務は大きいと考えるからである。
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自伝 秋田大学時代 欧州オペラツアー(1)ハンブルグ国立歌劇場「ドン・カルロス」

2006年08月28日 03時20分35秒 | 自己紹介・自伝
 北極・ロシア上空経由の約8時間のフライトで午前にハンブルグ国際空港に到着。直ぐにバスで市内に移動、昼前に宿泊ホテルの近くの繁華街に到着した。ガイドの話では本日は土曜日なのであと1時間ほどで全ての商店が店仕舞いするので両替とか必要な買い物を済ましておくように、と言う事であった。さすがにドイツである。この様な規律とか取り組みは整然となされるらしい。実際には商店街からは不満もで始めているとのことではあるが、国民の自由時間を確保し家庭を大事にすると言うことが主たる目的だとのことである。

 両替とか済ませ宿泊ホテルに向かう。ホテルは当市でも有数の歴史のある「Vier Yahleszeiten」で日本語訳なら「四季」と言うところで湖畔にあった。1700年代の作りで、城の一部であったとかの説明があった。内部は古式豊かな作りで昔の宮廷はこんな作りなのかと中世のヨーロッパにタイムスリップでもしたかの如くの印象であった。

 ハンブルグはブラームスの生まれた街としても知られているが、エルベ河畔にあるヨーロッパでも最大級の港湾都市で貿易が盛んであったという。かつてはヨーロッパに輸入されるコーヒーの大部分ハンブルグ港に水揚げされていたとのことで、コーヒー関連の産業は今でも多いとのことであった。一方、貿易に関連して感染症の上陸場所でもあった、と言う。

 市街地の中心にはエルベ川をせき止めて作ったとされる大小二つのアルスター湖がある。広場も多く、旧市街には高層ビルも殆どなく、歴史を感じさせる美術館などが並び、空がとても広い街との印象であった。
 初日の午後から夕方にかけては市内観光で、夜はハンブルグでのコンサートは国立歌劇場でヴェルディ「ドン・カルロス」であった。ほぼ満席で老若男女とも正装して次々と入ってくるのは東京での引っ越し公演では味わえない独特の雰囲気であった。
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中通高等看護学院「学院祭」の講演会

2006年08月27日 06時02分27秒 | 未分類
 本日は当法人の高等看護学院の学院祭であった。特別講演として秋大医学部保健学科佐々木久長氏の「いきいき生きるために-心の健康を考える--」が企画されているというので興味を感じて出かけてみた。私は高齢者を対象にこの様な話題で講演や講話の機会が多かったが、学生を対象にどんな内容を語るのだろうか? 
 出かけた切っ掛けはもう一つ、招待状をもらったことも含め、法人の役員、病院長としてこの手の行事・催しには短時間でも参加し、支えねばならないと思うからである。学院祭は今回で27回目だと言うが、私は今回で確か2回目の参加でしかない。従来は出席すべき責任も負っていなかったし、招待状ももらっていなかった、から殆ど知らなかったからである。

以下は感じたこと

● 学院祭自体の看板とかはもっと派手に。大きく。ちょっと寂しい。
● 開始直前に到着したが、その時点では看護学院の学生、関係者しか出席していなかった。卒業生の姿も殆ど見えなかったが、実に寂しい。
● 招待者が出席した際には実行委員会とかから一言「いらっしゃいませ」位はある方が良い。受付でも無表情、無言であった。年季の入った学院のスタッフからは声がかかった。さすがであるが、本日の主役は学生達。指導が今ひとつか。
● 1-3年目程度の卒業生の実社会での体験談の講演も良いのではないか?
● 講演会場のセッティングが良くない。
(1) プロジェクターの画像の調整は不備だし、やはり壁でなくスクリーンに映す配慮が必要。なければ白いシーツとかでも。会場の設定が不備なのは講師にも失礼だよ。
(2) 投影画面の直下にある採光用の窓は塞ぐべきであった。
(3) 音響・音声への配慮も乏しい。音量、音質、スピーカーの配置への配慮が不足。マイクを通しても講師、司会者、発言者の声は小さく聞き取り難かった。通常の授業を通じて講師が淡々と語ることは分かっているのだから取りわけ配慮が必要だった。何か言っているな・・という感じに聞こえた。
(4) 携帯電話の使用は禁止すべき。単に講師に失礼だけではない、常識的マナー。
● 学生達の意思表示が乏しい。せっかく講師が問いかけ、求めているのだから「yes」「no」程度の反応は必要。
● 学生達は私語もなく良く聴き入っていたように見え、感心した。私が受け持った授業の際には随分寝られたものだ。今日は私の方が不覚にも微睡でしまった。講演内容は参考になった。
● 感想を述べた学年代表は3学年とも男子学生であったが・・。

私は勤務の都合上、講演のみで失礼したが、高校生とか関係者の参加はどの位あったのかな?と思う。

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