福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

自伝 秋田大学時代 中通病院院長室を訪問

2006年07月31日 06時04分36秒 | 自己紹介・自伝
 夏のある夕方、予めアポイントを得ていたので直接中通病院院長室を訪問した。随分暗く、天井の低い病院で多少驚いた。院長室では瀬戸院長が私を迎えてくれた。

 瀬戸院長は外科医で昭和30年僅か4床の中通診療所を開設し、500床以上の大規模病院にまで発展させた、秋田の医療界にとっては立志伝中の方であるが、私にとっては全くの初対面で、お顔を拝見したこともなかった、と思う。
 瀬戸院長はやせ形でやや小柄な,50代半ばの方で外科医として毎日精力的外来、手術をこなされている臨床医、の様には見えなかった、と言うのがその日の抱いた第1印象である。しかし、ひとたび話し始めると気さくな話しぶりと共に歯切れの良い言葉で、話される論旨は実に明快であった。

 来訪の趣旨はお伝えしていなかったのでどんな目的での訪問なのか訝られていた様子が窺われたので、「来春、第三内科を退職することになりました。臨床医としての勉強のやり直しをしたいので、出来ることであれば私を大学の医局からの派遣としてではなく、医師個人として採用して戴けませんでしょうか」と切り出した。その時の表情は忘れることは出来ないが、とても驚かれた様子であった。

 その後の面談は面接的な内容となった。細かいことは忘れたが、何故中通病院を選んだのか、何故医局人事の中で動かないのか、その背景、医療観等について聴取されると共に、瀬戸院長自身もこれらについてのお考えをいろいろ話された。最初は私も随分緊張していたと思うが、院長の気さくな雰囲気、人柄でうち解けた気持ちで話し合う事が出来た。最後に、長期的にはどうするのか?との質問があったが「採用していただけるならば、最低3年間はお世話になりたい。その後のことは一切考えていない」とお答えし、その場で採用していただくことになった。

 結果的に20年以上の長きにわたって働かせていただくことになるなど、当時は露程も思っていなかっただけに、今でも人生は分からないものだ、と思ってしまう。
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書評:マンガ「毎日かあさん」 西原 理恵子著/出版:毎日新聞社

2006年07月30日 07時13分55秒 | 書評
 私はマンガが好きだが、絵が単純できれいでなければ殆ど手に取らない。長編も良いが時間がかかるから、どちらかというとエスプリの効いた4コマ漫画の方が良い。
 横浜在住の長女が帰省すると何冊かの本やマンガも持ってくる。私とは好みが異なるからむしろ私にとっては楽しみが大きい。今回彼女の帰省時、早朝目覚めてみたら上記のマンガが私の作業机の上にあった。一目見て絵のひどさに、こんなマンガもある?何だ?と驚き、完全対象外書籍と分類した。僅か2-3秒の即断であった。

 数日後、就寝時、たまたま身近に読みたい本がなかった事もあり「毎日母さん」を手にとって2-3ページ覗いてみた。目的は読むと言うより先日感じた印象をだめ押しし、週末に2階の物置にでも片付けようと思ったからである。 が、事情、印象は数ページ読んだだけで180度変わってしまった。変わらないのは絵の下手さに対する不快感だけで、内容的にはすっかり引き込まれてしまった。そのうち絵のひどさにも味と意味を感じてきた。

 この漫画は単に面白いだけではない。飲んだくれの亭主に三行半をつきつけ離婚、子供二人と共に生きる著者の日常生活、子育てと仕事の両立に困惑する日々、などを面白可笑しく綴っている。時に大笑いさせられ、心があったまる話も数多くある。毎日の子育て生活の表現はスピード感があり、更に、良いのは挫折感が実に豊かに表現されている。子育て中の人はこれを読めば、多少のストレスなら吹っ飛んでしまうだろう。痛快さもあるし、自分のバカさ加減を筆者の中にも発見し、共感して安心する母もいるであろう。

 この本が私を引きつけたのは、自分の子育て時代の、過ぎ去った過去を厳しく思い出させるからなのだと思う。いつの世にあっても子育てには経験豊かと言うことはあり得ない。最近の核家族化・少子化の中では取りわけそうだろう。私ども夫婦は還暦を迎えた今になって、出来ることなら子育てをもう一度やり直してみたいものだ、と話し合うことがある。子育てを通じて、子供も親も大なり小なりトラウマを背負うものだと思うが、これは当然のことでもある。ただ、私どもは子育てのかなりの部分を他人にあずけてきたという大きな負い目を背負っている。幸い子育てを託するに相応しい人が見つかり、一時は9人家族と言うこともあった大きな所帯の中で、結果的に3人の子供はほぼ問題なく育ってくれた。子供達と交わす会話の中に親として反省すべき問題点が見え隠れし、これで好かったのかと軽く落ち込むこともある。子育ては結果が良ければそれで良いとはいえない深い分野であり、やり直しのきかない厳しい分野である。

 他にこのマンガの注目点として、厳しい観察眼と子供に対する愛しみが見える点、屈託のない子供達を中心とした明るい家の様子、突拍子もなく奇怪な行動をとる息子とかわいらしい娘、離婚しても離れられない困った夫、それらに囲まれて大変な日々の中でのささやかな喜びを見事に表現しているところにもある。

 こんなひどい絵のマンガを毎日新聞が採用したことには驚きを禁じ得ない。子供については多少丁寧に描いているが母親としての自分自身はひどい描き方である。漫画家として子育てと両立して生きる方便として彼女が確立した超手抜き法?なのかと思ったりしている。
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外来の飲み会、そこは「母親」と「女」の場であった

2006年07月29日 05時15分54秒 | コラム、エッセイ
 最近は夕方から夜にかけての行事、会合が目白押しで、自宅で夕食を摂る機会は滅多にない。久々に空いた昨日夕方の時間帯に内科外来の納涼会が催されるとのこと、何故か声がかかった。私はアルコールが駄目だし、あまり人付き合いを好む方ではないが、院内の各所の会には声がかかれば可及的に出席するようにしている。が、多くは先約があって出席できない。内科外来の会は数年ぶりだろうか。

 病院の近くの比較的新しい居酒屋、ウナギの寝床様の細長い場所での飲み会、看護師10人程度にその子供達が6-7人?医師2人が押し込まれ、人口密度の高い、賑やかな会になった。店は随分流行っていて隣のブースからは大声が絶え間なく聞こえ、喧噪の中での会となった。話はなかなか聞こえないほどである。私は飲むよりひたすら食べた。

 新人の二人はさすがに未婚か?一部のベテラン看護師は子育て一段落と言ったところのようであるが、女の事はよう分からん、詳細は不明。看護師の表情でなく女そのものである。院内で見るのと全く別でとても素敵である。中間の年代の看護師は何れも子育て中のようだ。子連れの看護師は大変身して母親の表情そのものである。終止豊かな笑顔を見せていただけでなく、時折、母親としての誇らしげな、自信に溢れた表情も見せる。同僚の子を抱き寄せ頬ズリするなど、子供を間に挟んでのコミュニケーションも豊かである。

 この会での楽しげな、表情豊かな様子を見ているとこの前行った様な「接遇向上全体学習会」など、全く不要である。明るく、表情豊か,のびのびとしている。看護師の服装に難があるのか、仕事が大変なのか分からんがとにかく全然違う。せめて半分で良いのだが・・・。

 母子共々、この会はうたかたの楽しい一時だったと思う。ひとたび家に帰ればこの会で見せたような良い表情だけではないはずだ。漫画の「まいにち母さん」の如くの葛藤も修羅場も繰り返されているだろう。子供達をまじえたこの様な会もたまには良い。遠く過ぎ去った我が家の子育ての頃が思い出された。
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「IT化」指数、日本は首位から2位に 1位は韓国

2006年07月28日 06時21分31秒 | 時事問題 社会問題
 国際電気通信連合(lTU)は、電気通信に関する国際標準の策定を目的とする国際連合の下位機関で、本部はジュネーブにある。世界各国の人々がどの程度、携帯電話やインターネットを利用出来る環境にあるかを180の経済地域について調べ、この度「世界情報社会報告書2006年版」を公表した。

 情報通信や携帯電話・インターネット普及度、利用料金などを加味した「デジタル利用機会指数」の国別ランキングでは、日本は昨年までは首位であったが今回は2位になった。ブロードバンド普及率や携帯電話及びインターネットの利用割合は韓国が上であったから、と言う。インターネット接続がある世帯比率は韓国が72%、日本が56%。ブロードバンド普及率は韓国25%、日本15%だった。第3位以降はデンマーグ、アイスランド、香港、スウェーデン、英国と続き、米国は21位であった。下位にはアフリカ諸国が集中している。
 2001年調査と比較して指数が大きく向上したのはインドで成長率73%と最大の伸びを示し、中国、ロシア、ハンガリーなどがこれに続いている。中国のブロードバンド普及率は比率としては2%に過ぎないものの、利用者数は約2600万人で、既に日本の約1900万人を大きく超えている。

 世界的に「IT化」は大きなうねりで普及しつつある。私などは、利用している領域など狭く、ワープロレベルに毛が生えた程度でしかないが、自分のレベルに応じて少しずつ広くなっており、その恩恵を十二分に受けているし、先々が楽しみでもある。この面では有り難い、良い時代に生きている事を実感し、感謝している。

 ただ、私が常に危惧しているのは子供の成長過程に「IT化」がどんな影響を与えるのか、と言うことである。わが国の子供達はいろいろ影響を受けているように思うが、例えば韓国での、儒教の精神に基づく人間関係の構築に関して私は多少の感心を持っているが、これがどの様に変化して行くのか、興味が持たれるところである。全世界の子供達が今後は「IT化」の影響を受けて育つだろう。

 勿論、子供の成長過程にだけではない。各国独自の人間関係の構築、独自の文化、風習、政治形態などにどの様な影響が現れていくのか、興味もあり、恐ろしくもある。それが「IT化」の一部を享受して重宝している私の、もう一方の実感でもある。
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マーガリンやマヨネーズ、人工栄養剤とディーゼルエンジン 

2006年07月27日 06時22分00秒 | コラム、エッセイ
 子供の頃にはバターなど高嶺の花、我が家では祖父さんの食卓にしか上らなかった。そのほかの家族、住み込みの看護婦、お手伝いさんとかのメンバーは安いマーガリンであった。時にくすねてなめる祖父さん用のバターは都会の味、外国の味がしたものである。ほろ苦い思い出である。

 最近、わが家ではマヨネーズ、マーガリン共に殆ど食卓に上らない。子供達がいた頃には、時折食卓に出されていたようであるが、私自身はここ何10年も年に一匙二匙程度だけしか食べていない。家内は、脂過剰摂取は身体に良くないとマヨネーズを嫌悪しているが、これも理由の一つである。その一方で彼女はバターのブロックを小刀で切って舐める習性がある。言うこととやることと違うでないか、と思っていても平和のために言わない。理屈に合わんのが人生なのかもしれない、と容認する。私はバターは食卓にあっても恐れ多くておいそれとは手が出ない。子供の時の習慣が尾を引いている。

 マーガリンやマヨネーズは菜種油が主たる原料であるが、バイオディーゼルブームのトパッチリを受けて品不足、値上げが始まっている。2005年の世界の菜種油生産量は約4,800万トンで、結構産地で消費され、輸出される量は10%強に過ぎないらしい。しかし、EU(欧州連合)は2003年に政令で植物油を原料とするバイオディーゼルの利用を促したため、徐々に菜種油の消費量が増え、昨年は食用油と燃料油の需要が括抗した。これが今後数年経つと、多分2010年頃には、EUのバイオディーゼル用だけで4,400万トンの菜種が必要になるとの見通しで、EUが全世界から大量輸入することが考えられる状況にある。
 今まで燃料は化石燃料が中心だったが、今後は産油国と言えば農業国を指す様になるかもしれない。

 日本は世界最大の菜種油輸入国だが、EUの輸入に足を引っ張られてマーガりンやマヨネーズの原料が不足し、大幅な値上げは避けられ無い様相を呈し始めている。

 菜種油は人工栄養食材の原料にもなっているから心穏やかでない。食事を飲み込めず、鼻から胃に通した管や、胃に直接穴を開けて管で栄養補給を受けている高齢者は私の受け持ち患者だけで今19人であるから、日本全国では大変な数に上るだろう。この方々用の栄養剤用の原料が将来的にうまく入手できるだろうか、価格が高騰したら医療費等はどうなるだろうか、些か心配である。
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