福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

我が国の食糧事情(1)問題点 栄養過剰摂取 

2024年05月09日 03時47分33秒 | 医療、医学
 現代は世界各国からの食材が豊かで、通常の食生活を送っていれば不足する栄養素はないと考えていい。したがって、サプリメントなどで補給する必要はないと考える。
 しかしながら、マスコミを通じて連日誤った情報が流され国民は半ば健康不安を抱えていると言って良いだろう。サプリメント業界は紅麹問題のために若干の影響は受けているが相変わらず隆盛である。

 不確かな情報は不安の掻き立てる。

 我が国の食糧事情の問題点を3点に絞って鳥瞰してみる。そのうち、サプリメントに関しては記述の通りである。次は栄養過剰摂取食糧廃棄問題である。

 日本の糖尿病患者数は、生活習慣と社会環境の変化に伴って急速に増加している。


 糖尿病は放置または不十分な治療のもとでは網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、失明したり透析治療が必要となることがある。
 
 失明の原因疾患は1位は緑内障(20.9%)であるが、2位は糖尿病網膜症(19%)である。

 2022年末における 透析患者総数は34.7万人。新規透析導入患者は14.330人、最多は糖尿病で38.7%を占めている。

 さらに、糖尿病は脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症・進展を促進する。
 これらの合併症は患者の生活の質を著しく低下させるのみでなく、医療経済的にも大きな負担を社会に強いており、今後も社会の高齢化にしたがって増大すると考えられる。 

 正常高値、境界型と診断された時はもちろん、糖尿病になる前から早期に生活習慣改善に取り組むことが重要である。
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紅麹サプリメントの健康被害(5)身体に良い食品はない

2024年05月08日 13時46分11秒 | 医療、医学
 これは一般論だが、「健康になれるなら」とすぐにサプリやその他の食品に手を出す前に「本当に必要なのか」、「自分に合っているのか」、「効能は本当か」と立ち止まる態度を、私たち消費者も身につけなければならない。 
 日本人はなんでも薬に頼り、薬漬けになる傾向がある。その文化を作った責任の一端は医師にもある。

 それに輪をかけたのが2001年の食品の錠剤化、カプセル形状化を解禁したこと。この形状は医薬品類似の印象を与え効能を信じさせることとなった。

 次に2015年、高齢者の蓄財を市場に呼び込み、経済を活性化させるために機能性表示食品制度が創設された。機能性表示食品とは事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。販売前に安全性及び機能性の根拠などが消費者庁長官へ届け出たもの。消費者庁長官の許可を受けたものではない。現在、6000品目が発売されているという。

 高齢化社会ということもあってか、「健康にいい」、「からだにいい」という触れ込みの食品、サプリメント、健康術やグッズなどを生活に取り入れる人は増える、健康ビジネスも拡大している。

  サプリメントだけでも、その市場は5000億円強と言われ、「今後、更に成長して2兆円に達する市場」という見方さえある。

 サプリメントは一見科学的に検討された製品に見える。私の目から見て決して科学的とはいえないが見かけは科学的。このような「ニセ科学」は一見実際以上に「科学的」に見えるため簡単に信じられてしまう。背景には「藁にもすがりたい」「信じたい」という気持ちが背景にあるからだろうが。

 「健康」に関心を持つのは悪いことではないが、「あの博士が、大学教授がすすめるのだから確実」「官庁が認めたのだから安全で効果は抜群」と信用しすぎて「よいお客さん」にならないよう、常に注意は必要だ。

 一般的にはサプリは食品扱いだから危険はないと考えられている。身体に悪い食品はあるが100%安全な食品はない。

 また、単一の食品あるいは成分で明らかに健康に寄与するのはない

 いのちが有限であるということからは目をそらして、楽して、効能不明のサプリメントとかに頼って健康と長寿ばかりを願う現代社会。こんな状況は、いのちを粗末にしていることにつながっているように思える。


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紅麹サプリメントの健康被害(4)機能性表示食品(サプリ) 特定保健用食品(トクホ)

2024年05月04日 17時57分31秒 | 医療、医学
 私どもが口に入れる食品は一般食品と医薬品に分類される。

 私は、健康被害が生じるような危険な食品に関する情報さえあれば、詳細まで法で決める必要はない、と思っていた。しかし、現在は薬品まがいの工業製品が食品やサプリメントとして大量に流通する時代、それらを規制する必要が出てきた。

 食品と健康食品、健康被害の歴史を追ってみる。
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1971年 医薬品まがいの健康食品が増え食薬区分が通知された。
1991年   トクホ制度創設
2001年 食品の錠剤化、カプセル形状化を解禁。
2002年 個人輸入などの中国製ダイエット食品で健康被害796
   人、死亡4人発生。
2003年 雪茶で肝障害
      アマメシバ 閉塞性気管支炎8人、死亡1人
2013年 米国製サプリで2名が急性肝炎。

2015年 機能性表示食品制度創設

2018年 プエラリア・ミリフィカによる健康被害
     タイに分布するマメ科の植物。植物性エストロゲンが含まれる。タイでは
    「若返り」の特性があるとされ利用されている。
     日本では、バストアップやスタイルアップ等の美容を目的とした健康食品
     に含まれていることがある。生理不順や不正出血など婦人科系の
     健康危害が生じた。

2024年 紅麹事件
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 食品は下表の如くに一般食品と健康への関与を謳った機能的食品に分けられる。


機能性が表示されている食品

●特定保健用食品(トクホ)
 健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品。表示内容や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可。

栄養機能食品
 必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品。すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基 準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示できる。

●機能性表示食品
 事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたもの。消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない。現在、6000品目が発売されているという。
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紅麹サプリメントの健康被害(3)小林製薬の対応の問題点

2024年05月03日 05時36分14秒 | 医療、医学
 この世は不正・隠蔽などに満ちている。

 私どもは五感を駆使して身体の安全や生命を守っている。
 しかし、現代社会では各分野ともに門外漢は到底理解できないレベルの高度の技術、知見が駆使されており、個人的危険回避の判断力はほとんど有効に働かない状態で、「全て他人任せにせざるを得ない」に近いのが現状である。

 そうなると信用のみが判断の重要な因子となる。特に、食品関連、薬剤に関しては企業の責任が問われることになる。

 紅麹問題は本年1月15日「紅麹コレステヘルプ 」の利用者を診察した主治医から健康被害についての問い合わせがあって問題発覚した。当初、可能性として挙げられたシトリニンは未検出、3月16日別の未知の物質が検出され、3月21日消費者庁へ報告、3月22日保健所に届出たことで厚労省把握が把握した。この間死者も明らかになった。にもかかわらず自主回収決定まで2ヶ月を要している。この間も販売は継続されていた。

 小林製薬の対応を見ていると組織に共通する誤った意思決定の過程が認められるのではないか、との印象を受けた。

 一つは企業としての実績の積み重ねと得られた社会的信用に根ざした「過信」、不都合な情報の「軽視」と「隠蔽」、二つ目は会社組織の「結束力」による組織内同調傾向と集団合議体制による個々人の責任の曖昧化などである。

 人は「結束力」が高いほど 権威に従う同調の心理が働く。集団における規範の形成にあたっては、個々人は必ずしもそう思っていないのに、「会社のために」、「自分の立場を守るために」の心理が働き権威や多数派の意見に同調してしまう。この状態ではもはや集団としての理性的判断はできなくなる。小林製薬の記者会見等におけるシドロモドロの対応を見ているとそのように感じざるを得ない。

 私はなかなかヒトを、企業や組織を信用できない。性善説と性悪説とに分けるとするならば明らかに後者の立場に立つ。

 その立場で見れば、この社会は不正・隠蔽などに満ちていると考えていて心安らかではない。しかしながら、通常に流通している物品などについては日常的には疑いを持ちようもない。立派なブランドを確立している企業などについては、悪き情報が露わにならなければ疑いようもない、というのが現実である。そうは言っても、全てについても100%信じているのではない。そういう自分が情けなくなることもある。

 それでも私どもは五感を駆使して身体の安全や生命を守っている。「よく分からないが何かおかしい」、と感じることが原点である。

 しかし、新聞を見れば連日の如くに特殊詐欺の被害が報じられている。「どう考えても理解できない様な怪しげな誘いに乗ってしまうのか??」これほどヒトは自己判断力を失ってしまったのか??

 安易にサプリに頼る心理も五感力の減弱が背景になっているのでないか、と思う。
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紅麹サプリメントの健康被害(2)「紅麹コレステヘルプ 」とは

2024年05月02日 17時38分29秒 | 医療、医学
 小林製薬が発売した紅麹を含む「紅麹コレステヘルプ 」など、機能性表示食品として国に届け出た3商品を摂取した消費者は、延べ1541人が医療機関を受診し、延べ270人が入院、5人が死亡した。
(小林製薬のHPから借用)

  報道によると小林製薬の「紅麴コレステヘルプ」は、「悪玉コレステロール」を下げるかもしれない機能性表示食品として2021年4月に発売され、24年2月末までに約110万袋が販売された。

 紅麹自体は食品の着色料の一つとして長期の販売実績があるが、今まで健康障害の報告はなかった。健康被害は最近の製品に限られる。だから、紅麹自体が問題なのではなく、「紅麴コレステヘルプ」の製造過程に最近なんらかの問題が生じたものと考えられた。

 当初想定された腎障害のある異物シトリニンは検出されず、プベルル酸が混入していたとされるが、どのような過程で混入したのか、プベルル酸が腎障害の原因であるかはまだ分かっていない。

 小林製薬のHPによると、「紅麴コレステヘルプ」は10日分1000円程度で発売されている。
 製品の説明事項として以下が記載されている。
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●本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません
●本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
●本品は、疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、及び授乳婦を対象に開発された食品ではありません。
●疾病に罹患している場合は医師に、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください。
●体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談してください。

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 製造業を中心に企業が関連する不正や隠蔽は現社会では頻回に生じている。しかしながら、今回の紅麹サプリメント問題は直接利用者の健康に関するもので、死者も出ていることから小林製薬の対応の是非が問われ、原因物質の検討被害者の救済が急がれている。
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