福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

高齢者の多い外来風景(1)高齢者白書に見る実態 

2008年05月31日 08時12分09秒 | 医療、医学
 政府は20日の閣議で2008年度版の「高齢社会白書」を決定した。
 それによると、昨年10月1日の65歳以上の高齢者の人口は2746万人で、21.5%となっている。高齢化率は既に2005年にイタリアを抜いて世界のトップに躍り出ている。この地位はしばらく崩れない。

 前期高齢者は1476万人で11.6%、後期高齢者は1270万人で9.9%、後者の伸び率は前者をしのいでいる。
 高齢者の要介護者数も増えており、前期が3.3%、後期が21.4%と差が著しい。この差は概念的に理解できるが、変化や実態を余り反映していない。70-75歳は元気だった方が中気にかかりやすい時期でもあるので、語呂合わせをかねて中期高齢者と言うのも作ったらどうか、と思う。
 主な介護者60歳以上の老老介護は55.9%を占めている。・・・などと言っている私もまもなく高齢者になってしまう。

 秋田の高齢化率は2006年11月で27.5%で、10年間で7.1%もアップしていたから今年秋に発表される統計で高齢化率は30%に届くかもしれない。
 ご多分に漏れず、私が担当する外来の高齢化率は著しい。午前外来で50-65人程度、14:00-15:00頃までかかる。これが、単に人数だけならまだ良いのだが、高齢者の一般的特徴に加えて個人差が大きく、結構大変である。

 かつての高齢者の通院は比較的時間的余裕があったが、最近は結構忙しいらしく、うまくこちらの予約日にはまらないことがも少なくない。
 元気で外交的な老人は、近所つきあいとかカルチャーとか老年大学とかでスケジュールに余裕がない。
 元気が乏しくなると自分がデイサービスに行く日を確保する必要が出てくるし、連れてきてくれる家族の都合もある。
 老老介護の方の場合は、ヘルパーが来てくれる日とか、病人がデイサービスとかショートステイに出かける日とかの都合もあるし、巡回入浴車が来る日でだからダメ・・等々でなかなか決まらない。
 一人暮らしの方は、その日は亡くなった連れあいの月命日でお坊さんが来るので外したい・・などという。

 これら予約に都合良い日が一発で出てこないから、あだのこうだのとなかなか決まらない。
 診察よりも予約や処方内容の調整や確認に時間がとられる。私は外来にでるたびに疲弊する。

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航空券の値段の差 ちょっと引っかかる

2008年05月30日 07時01分43秒 | コラム、エッセイ
 本日は医師会の所用で東京出張であった。終日小雨で概して静かな日であった。尤も、移動時間はずっとノイズキャンセルのヘッドフォンを付けていたからか?

 空路は復路は満席で苦しかったが、往復とも揺れも中等度で概して快適であった。
 JRで駒込に向かったが、車内の液晶ディスプレイの一つはシンガポール航空が5月20日から毎日一往復航空日本への乗り入れを開始したAirBus A380についての無声の画像を切れ目なく流していた。その他、社内の吊り広告、壁にはパネルでの宣伝があり、随分広告に力を入れていると感じた。動画で見る限り、確かに全体的に余裕のあるレイアウトで、これなら疲労も少ないだろうと思う。

 最高の売りはスイートルームで、ダブルのベットとソファのある個室である。高齢のご夫婦の長旅などにはこれも良いかもしれない。
 シンガポール-成田間は所要時間7時間。個室のファーストシートは80万円、ビジネス席は40万円、エコノミーは7万円だという。スイートルームの値段は不明である。

 とにかく物理的規模で見てもすごいスケールである。利用コストも10倍以上の格差があるようだが、この巨大な機体を一定程度の利用率を確保してうまく運用できるのだろうか?かなり心配してしまう。利用率が低迷し、かつ、大部分がエコノミー客ならペイしないだろう、と要らざる心配をした。

 本日の出張は一月前に決まったが、航空券の申し込みを失念していたことに気づき、数日前に慌ててJTBに申し込んだ。危惧したが幸いなことに往復とも確保できた。ただし、往路のANAは特割り、復路のJALは割引無し、とのことであった。最終便のANAだと特割りで購入可能とのことであったが、2時間の差は大きいので、そのまま購入した。往路と復路の値段の差は約8千円であった。

 航空券は特割り購入が当たり前になっているから、その値段が正規の値段の様に思いこんでしまっている。だから、正規の値段のチケットの場合、プレミアム値段のチケットを買わされたような、変な感覚を持ってしまう。
 一年ほど前には急用が出来て新幹線からJALに乗り換え帰秋したが、このときは当日買いだから正規値段で当然と納得したが、今回は不注意で注文を忘れていたし、ANAなら特割り可、ということもあり、ケチな私はちょっと損したな、と思ってしまった。

 ただ、特割りで得をしたと感じるのは良いのだが、正規値段では損したと感じてしまうようでは、モノの値段の在り方として健全でないのでは?と思ってしまう。

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両横綱のいがみ合い(2)International Sumo Society(ISS)にしては?

2008年05月29日 06時28分18秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 相撲はどれだけの力士がいるのか皆目見当はつかないが、新聞等で見ることが出来る上位幕内は数10人程度である。少しずつ入れ替わりがあるが殆ど同じであり、場所中の対戦相手も殆ど同じである。角界という狭い閉鎖社会の中で似たような生活をしている仲間同志であり、勝負以外の交流はあるだろうし、部屋を超えた親しい間柄もあろう。また、勝負の世界とはいえ基本的には競技と言うより興業である。一人一人が生活者でもある。
 私は力士同志で星の融通し合いは無いはずはない、そんな世界さ、と思っていた。

 先日の横綱同志のにらみ合いは、勝負の世界に生きる者の厳しさの一端を見たようでとても良かった。 
 勝負でも何でもそうだろうが、トップの地位に上り詰めること以上に、その地位を維持するには、それまでと比較できないほどの努力、エネルギーが必要であろう。われわれはその努力の姿を直接目にすることがない。

 その努力の継続には個々人の性格もあるだろうが、わき出てくる激しいモチベーション、緊張感が必要である。ライバル意識、羨望、収入、栄誉、人気・・、など何でもあり得る。ライバルに対する憎しみの感情すらも必要である。
 一月ほど前、世界女子テニスランキング1位のエナンが突然引退を表明したが、緊張感が何かを切っ掛けに突然萎えたとしか思えない。どんなに体力があっても、技術があっても、モチベーションの萎えは決定的である。潔い引退、これも良し。

 トップの地位にいる者の心理状況など、他人、特に私などに分かるはずはないが、少なくとも、物わかりの良い、融通、体面を気にするような者には勝負の世界で地位は守れない。プロ野球の監督がきわどい判定に興奮して飛び出し、審判に食らいつく姿、時に繰り広げられる乱闘さえも、私はその世界で生きる者の当然の姿だと思う。

 横綱は心技体ともに高い完成度が求められ、品格を持って正々堂々と努めるべきで感情など土俵の上で露わにすべきでない、などと本来勝負師が備えているはずの緊張感、心理状態をムリに抑制しているから不自然で面白くないのだ。格式、形を整えるのは良いだろう。しかし、勝負師としての感情までも抑制し、それが品格、品位だとするならば不自然だ。

 幕内力士の15人が外国出身者だという。しこ名だけからは私には区別できない。日本相撲協会をInternational Sumo Society(ISS)とし、年に一回はInternational Open Sumoとして外国人やアマチュアも出場できる場所にしたら如何か?
 イヤ、ここまでやって純粋に勝負だけにすれば、日本の国技とされてきた相撲は消滅するか。
 それにしても、ブルガリア人の琴欧州が古い日本の伝統、しきたりに順応してここまで到達したルーツは何なのか、興味がわく。

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両横綱のいがみ合い(1)さすが勝負師、と私は喝采を送る

2008年05月28日 06時44分40秒 | スポーツ、相撲、芸能など
 数日前の日曜日、病院で業務の合間に金聖響氏の本をちょっと読み始めたら無性に曲を聴きたくなって早めに帰宅、自宅でレコードでベートーヴェンの交響曲を聴きつつ書類など整理した。やはり私は自宅では未だCDよりレコードの方がしっくり来る。心静かにゆったりと楽しめる。

 18時少し前、NHKニュースを見るためにTVをつけたらちょうど千秋楽結びの一番であった。
 朝青龍と白鵬は共に優勝を逃したがやる気満々、緊張感が漲っていた。良い一番になると期待充分、立ち会いのぶつかりはさすが横綱同士と思わせる激しいものであった。
 勝負は思いの外短時間で決まった。引き落としか何か、私には決まり手はなど分からないが白鵬が両手を土俵につき四つんばいになった。その時、朝青龍がだめ押し的に白鵬の身体を押した。決して不自然な動きでわざとやったとは思えなかったが、白鵬が立ち上がった際に怒りをあらわに肩をいからせ一瞬にらみ合った。このときに白鵬の身体か肘が朝青龍にあたったらしい。それだけで両者は引き上げたが、アナウンサー、解説者は即座に「横綱らしからぬ見苦しい失態を演じた」、と解説した。

 私は素晴らしい一瞬を見たといたく感じいった。
 翌日の新聞等にもこの場面の評価が載った。総じて「後味悪い。横綱は品格を持って正々堂々と努めるべき。だめ押しは相撲の流れだが、白鵬の態度は良くない、理事長が注意してけじめを付けるべき」であった。が、私は違う。あの場面で、あの瞬間のにらみ合いだけで終わらせた事だけで横綱としての品位は充分保たれた、と思う。

 私は大相撲においては常になれ合い、譲り合いが存在するのではないかと疑問に思ってきた。だから大相撲はそんなに好みではなく、関心度も低い。新聞で見る限りの印象であるが、千秋楽では8-6で勝ち越しが決まった力士と7-7の力士が対戦すると大抵後者が勝つ。これは統計を取ってみれば面白いと思う。

 うがった見方かもしてないが、朝青龍が復帰した場所でいきなり優勝されたら、相撲界は何なのだ、他の現役力士は木偶の坊か・・と思ってしまう。良いところまで行きながら優勝を逃す、次の場所では優勝・・、私の予想の通りにコトが進んだ、と思っていた。今場所は星の数から見て朝青龍が勝つはず・・と思ってみていた。結果はそうなったが、その後のハプニングがとても良かった。

 私は「もしかすれば、私の考えが間違っていたかもしれない」、と私は先日の睨み合いの場を見て一瞬思ってしまった。

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後期高齢者医療制度と原油・食料品価格高騰  評議員会懇親会にて

2008年05月27日 06時14分06秒 | 医療、医学
 ---前段略---
 さて、今の医療界での大きな話題と言いますと4月から実施されております後期高齢者医療制度です。確かに、改善すべき点は多々ありますが、最大の問題点は国民の医療をどうすればいいのか、という最も基本的な論議を抜きに、世論の高まりを背景に政争の道具として使われていると言うことです。そこの論議は主に財政関連を中心に論議され、高齢者に対して暖かい医療を展開するためにどうすればいいのかという視点を全く欠いています。
 今後、この問題がどのように進んでいくか皆目分かりませんが、私どもは高齢化率の最も高くなる地域の医療機関として、高齢者を大切にした医療を今まで同様に推進していく所存です。

 もう一つ問題をあげるとすれば、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した投機筋の原油への投機、バイオ燃料問題に関連した穀物に対する投機による穀物価格の高騰で、世界経済が大きく揺れ動いていることです。
 従来、「価格は需要と供給のバランスで決まる」という基本的な公式があったのですが、今は贅沢をしなければ充分まかなえる量の原油や食料がありながら、投機家の指一つの操作で巨大な資金が頻回に出し入れされ、結果的に原油や食料品の価格が急激に高騰しています。しかも、それがコントロール不能であること、明日の価格が予測できないことなどで、世界経済にとって不定の要素ばかりです。
 特に、我が国は原油も食料も諸外国に大きく依存しているだけに、その影響は計り知れないものがあります。食料品、日用品の値上げのニュースには事欠きません。なのに、日本は何でこんなに平穏なのでしょうか。私には疑問に思えてなりません。
 このような状況の中で、与野党が政権論争している暇はないと考えます。いかにして日本の経済を立て直すかを真剣に論争してほしいものと思います。

 目を諸外国に向ければ、発展途上国の、特に恵まれない人々の生活はどうなるのか、心配でなりません。それと共に、私どもも含めて大規模な医療機関は大量のエネルギー、食材を必要とします。だから、私どもにとってもこの問題は決して過小に評価することは出来ません。

 このような不安定な経済状態の中で医業を運営していくのは困難が予想されますが、私どもには長い歴史を背景にした、親身な医療、暖かな医療は住民から大きく信頼されているという、無形ではありますが、大きな財産があります。 
 
 この無形の財産を背景に、今年度は「納得・安心・満足する医療の提供」、「医師確保等後継者育成」、「中通総合病院新築を視野に入れた強靱な経営基盤の構築」を柱としてあげました。
 この基本に沿って今年一年努力していきたいと考えます。
-----後略----

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