福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

新型インフルエンザ対策 最近の動き(2) 

2008年09月30日 05時15分55秒 | 医療、医学
 わが国の新型インフルエンザ新型イ」の対応は甘く、遅れているとされているが、政府は2008年4月に「新型イ」の「水際対策ならびに地域封じ込め対策案」を発表した。それ前後からいろいろな動きが見られている。その一部を列挙してみた。

● 秋田県:「新型イ」対応訓練横手市で施行(2月)。
● 厚労省:プレパンデミックワクチンを医療従事者1.000万人に接種を検討(4月)。
● 秋田県誘致企業が「新型イ」ワクチン1.000万人分製造供給と発表(5月)。
● 十和田湖畔で死亡白鳥4羽から強毒型H5N1ウイルス検出(5月)。
● 秋田県:抗インフルエンザ薬96.000人分備蓄(5月)。
● 与党プロジェクトが抗インフルエンザ薬の備蓄を、国民の50%迄分、と提言(6月)
● 三菱総合研究所がシミュレーション発表。最初の「新型イ」患者発生から4週間後に学校閉鎖でピーク時の新規患者40%減。電車運休で1週間ほどピークを遅らせるが新規感染者数減少効果は無し(7月)。
● 米国研究チームが「新型イ」による全世界で死者6.400万人と推計。96%が途上国、日本は1.200万人とした。
● 企業の「新型イ」対策は上場企業の10%のみ。対応予定無しが半数(7月)
● 全国知事会:「新型イ」パンデミック時の知事権限の強化など提言(7月)
● プレパンデミックワクチン2.000万人分備蓄(7月)。
● プレパンデミックワクチンを都内の医師など6.400人に接種開始(8月)。
● 厚労省:「新型イ」対策費4倍の705億円要求(8月)。
● 国土交通省:「新型イ」パンデミック時の交通手段検討。乗客数減少対策、マイカー通勤増時の道路使用制限など(8月)。
● 総務省消防庁:「新型イ」には患者移送用の隔離カプセル、宇宙服様の過剰な感染防御服は不要と発表(9月)。
● 警察庁:「新型イ」パンデミック時に医療機関周辺の交通規制、患者搬送で医療活動を支援。警戒活動、混乱の沈静化対策も計画(9月)。
● 厚労省:「新型イ」具体的対応策を4段階に分類して発表。各段階の判断は国または都道府県が行う(9月)。
● 政府:社会基盤維持のためのプレパンデミックワクチン優先接種100職種案を発表。対象は1.000-1.500万人。医療従事者、政府、地方自治体の意志決定者、国民の生活機能維持関連業者としている(9月)。
● WHOに報告されたH5N1鳥インフルエンザの人感染者数は本年9/10現在15カ国で383人で、うち241人が死亡(9月)。

 「新型イ」対策は今年になってから政府や各省庁の動きが活発になっていている。しかし、秋田県の状況をみても、現実の医療現場の対応方針とかは遅々としている。医師会でも「新型イ」の対応マニュアルを作成し、県のガイドラインにも生かされているが、発熱外来の設置などまだまだ不十分である。

 「新型イ」の対応の主役は行政、自治体である。医療機関は協力は惜しまないが、対策の主役ではあり得ない。対応案を早急に具現化して欲しい。

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気付かれ難い新聞広告  特に、紙面下段の広告と全面広告

2008年09月29日 06時39分22秒 | コラム、エッセイ
 秋田の地方紙である魁新聞に私共の法人と各病院の広告が今月26日から9回シリーズで掲載されている。
 医療法の広告規制が大幅に緩和されたために可能となった広告で、新聞社が企画した。県内の主要な病院がエントリーするとのことで当法人は3番目らしい。3番目らしい、としたのは、実は私は前に掲載されたという2病院の広告掲載に気づいていなかったからである。

 掲載2日目である昨日の夕食時にこの広告について話題としてみたが、やはり家族は誰もこの広告に気づいていない様子であった。家内、長男にわざわざヒントを与えて探させたがなかなか気づかなかった。それで、賄いの石井さんに「私の写真が今日の魁紙面に載っているがどこにあるか探してみて・・」と、あまり芳しくないことだが、5分間の制限時間で賞金3.000円かけて探させてみた。結果は探し出せなかった。最下段に載っているとは思いもしなかった・・とのことであった。これが一般的なところでなかろうか。

 広告は紙面の3-5ページ目の最下段に縦10cm、横は紙面の全幅を用いているから結構大きい。
 企画の段階ではなるべく目立つよう文章を少なくして画像を中心とし、字は大きくしている。しかもカラーである。にもかかわらず、この結果である。他の方の意見を聞いたわけでないので何とも言えないが、この調子だとあまり見てもらえていないのかもしれないと思った。

 私の場合は新聞を切り抜いて資料として保存しているので、材料としてなりそうな記事を隅々まで探し求めているが、先に掲載された病院、今回の当法人の広告は私のアンテナに一切引っかかってこなかった。
 その理由は、紙面下段の広告は書籍の広告、死亡広告等をのぞくとはあまり興味の沸かない分野の広告で占められているから通常は無視しているからである。これは全面広告でも同様である。今まで日本医師会が10回ほど全面の意見広告を掲載したが購読している朝日の紙面で気づいたことは一度もない。医師会からの文書を見て振り返って探し出して確認しているのが実情である。

 予想していた色調よりずっと地味に印刷されていることも目立たない一因かもしれない。
 ともあれ、せっかくの企画である。まだ6回も続く。何とか県民、市民の目に止まって欲しいものである。

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新型インフルエンザ対策 最近の動き(1) 

2008年09月28日 16時08分55秒 | 医療、医学
  地域産業保険センター便り2007.4月号巻頭言に「新型インフルエンザ対策を進めていますか?」を掲載した。その後約1年半経過した。幸い、新型インフルエンザ「新型イ」は未だ発生していないが、その可能性がさらに高まっている。

 その判断は次の理由による。
■鳥インフルエンザウイルス(高病原性H5N1)の野鳥等への流行が60カ国に及び、すでにパンデミックの状況にある。
■高病原性H5N1鳥ウイルスのヒトへの感染が多発し、本年9/10現在15カ国で383人で、うち241人が死亡している。
■ヒトから分離された高病原性H5N1ウイルスの遺伝子解析でヒト細胞への結合を容易にする変異が確認された。  

 政府も2008年4月に「新型イ」の「水際対策ならびに地域封じ込め対策案」を発表した。いずれも「新型イ」が発生した際の初期対応に関する具体的な対策が述べられている。

 それの概要は以下の如くである。
■直行分がある都市で「新型イ」が発生した際には航空会社に運行自粛を求める。
■医師、看護師を同乗させた政府専用機、自衛隊機で邦人の帰国を助ける。
■入国は空路は成田・関西・中部・福岡の4空港に限定、海路は横浜、神戸、門司の3港に限定し、検疫体制を強化する。
■感染者と接触した帰国者は医療施設の他、医師、看護師を配置した個室管理の出来る宿泊施設で10日間停留させる。
■医師、看護師にはプレパンデミックワクチンを投与する。
■既に発症した邦人は現地で治療する。
■・・・・

 日本の方針は早期帰国や侵入防止のみを考えているが、他の先進国は治療薬やワクチンの整備などウイルス侵入を前提に具体的な方針をとっており、日本の対応は甘すぎるし、利己的だ、との疑問の声も挙がっている。
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突前、小泉氏引退宣言 見事だが標的を失った感じだ

2008年09月27日 08時00分44秒 | 政治・経済 国際関係
 自分の進退に関してウジウジと口に出すものではない。小泉元首相の引退宣言は見事、さすがである。小泉構造改革内閣の骨太の方針に一定の距離を置いた麻生新内閣発足直後、解散総選挙直前、と言う発表のタイミングも彼らしさがあって絶妙だ。

 説明抜きで「自民党をぶっつぶす」「改革と成長」「抵抗勢力」等のエキセントリックな標語を掲げ、経済財政の構造改革を次々と進めた。公共事業費は01-06年度で約3割ほども、明らかに減った、とのことである。

 高支持率を背景に強引に「道路公団・郵政」の民営化、規制緩和も推し進め、実質経済成長率は年2%程度に回復した。しかし、結果として所得や地域間の格差拡大なども生み、雇用は低迷、国民の生活は苦しくなったほか、医師不足など社会保障分野の歪みも拡大し、退いてまだ2年しか経っていないが、今や全国で「医療崩壊」が大問題になっている。

 医療福祉分野における発言、方針は「三方一両損」「株式会社の参入」「混合診療解禁」「三位一体改革」「聖域無き規制緩和」・・等を挙げた。

 首相の改革の理念は、構造改革特区の募集要項に記載された、「生命・身体・健康に関するから、と言う理由で対象外にすべきではない」という文言に象徴・集約されている。経済活性化のためなら人の命・身体・健康を犠牲にしても構わないと言う考え方で、今までこれほどまで明言した政治家はいない。通常なら更迭・失脚の対象となる。これを言わせたのは論理性よりもムードを重んじ、政策でなく人気で投票する国民でもある。何故か、今でも絶大な人気である。

 彼が掲げた弱者軽視の方針は医療人として到底容認できないものであった。
 私共医師会は首相在任当時から今でも一貫して首相の方針に反対を唱えてきた。私の文章にも「小泉首相」「小泉元首相」と頻繁に出てくるが、それだけ今でも存在感が大きく、糾弾の対象として格好だったからである。それが突然の引退宣言である。

 敵前逃亡的イメージもある。逃げられた、と言う感じで気が抜けてしまった。

 ところで、政治家や官僚達の仕事の成果は数年後に、あるいはそれ以上経てから評価が決まる。その際、自分の仕事に関してどのように責任を負うのだろうか。過誤という考え方は無いのだろうか。

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麻生内閣発足 厚労大臣は再々度舛添氏

2008年09月26日 07時40分16秒 | 政治・経済 国際関係
 22日、麻生氏が自民党総裁に選ばれた。
 この総裁選は麻生氏が決定的に本命であったからこそ5人も立候補できた、いわば一種の政治ショーであった。
 麻生氏以外の4氏には深刻さはなく、自民党の広報活動に一役買いながら、とりあえず次のための基礎作りをしておこうと言うような気楽な雰囲気が漂っていた。党を挙げて経済対策が急務なのであるが、各候補が掲げた3様の政策におのおの見るべきものはあったが、どれも決定的なものとは思えなかった。自分の主張が正しいと真剣に考えてるのなら他の候補との対決姿勢を顕わにしても良かったのだがその雰囲気すら感じ取れなかった。
 もともとやらなくても良い総裁選だったのだ。これは自民党の総選挙対策の一環だったのだろう。

 麻生太郎自民党総裁が24日の臨時国会で首相に選出され新内閣が発足した。
 福田内閣もそうであったが、安部、麻生内閣とも国民の審判を受けない内閣で、暫定的内閣である。政界は既に衆院解散、総選挙の準備がなされ、小沢氏は虎視眈々と政権をねらっている。総選挙の結果によっては政権交代もあり得る厳しい政局を迎えている。新内閣発足時は内閣の支持率が高いから、早期解散、総選挙も一つの手段であるが、やはり日本をどう舵取りするのかの政策論争が重要である。

 麻生首相は高齢者医療制度の見直しをはじめ、年金問題、食の安全性確保など、どう処理しようとするのか。注目したい。
 首相は、また、小沢氏と真っ向から対決すると言っているのでこれは楽しみである。

 一方、小沢氏は次期衆院選を「政権交代のラストチャンス」と言っているが、これではダメだ。小沢氏にとっては最後だろうが、党にとっては政権を握れるかもしれない初めての機会である。このスローガンは民主党の人材不足、経験不足等の弱点を言い表している。だからこれを強調すればするほど自ら墓穴を掘っていく。

 厚労大臣は舛添氏、3期目である。発言に適正さを欠くことも少なくないが,かえってそれで注目され、前向きに議論を呼ぶなど、従来の厚労大臣には無いキャラクターである。後ろ向きに目立つ大臣は多いが、前向きに目立たない大臣では困る。
 小泉内閣で急速に悪化した医療・福祉の分野を立ち直らせるためには今厚労大臣の首をすげ替える要はない。舛添氏にはこの内閣でも一貫した政策を押し進めて欲しい、と期待したい。 

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