モノとカネがあふれる世界有数の金持ち日本。だが一方では、労働環境破壊、過労死、受験競争、老後の不安など深刻な現象にこと欠かず、大多数の国民にはゆとりも豊かさの実感もない。
日本はGDPが豊かだった時に、統計的に、疫学的に少子化・高齢化が予想され将来は右肩下がりの経済に陥ることの予想はできていたはず。
有識者と言われる方々、特に政治家が真剣に考えることなくこの状態を現在まで放置してしまった。日本は余力があるうちにすべきであった舵取りを完全に踏みまちがえた。
半世紀以上も前から指摘されながら、岸田内閣までほとんど手を打ってこなかった人口減少・高齢化で、人材の確保、再生産さえもおぼつかなくなった。このままでは社会機能の維持さえ困難になっていく。
個人の幸福や心の問題は、自己責任だと片付ける考えは正しくない。社会的に安心できる基盤が背景になければならない。
民主的な政治制度がある以上、法事国家である以上、この国をどうしていくのかは私たち自身が考えるべきで、最終的には国会に持ち込まなければならないのだが、明らかに日本人の精神は疲労しているように思う。問題点が上がってこないのだ。
日本人は社会のあり様、政治のあり様が自分の考えと異なっていても、政治的不祥事が頻発しているのにも関わらず、怒りの声は小さい。現在、最低賃金が問題になっているが、その賃金で働いている労働者自体からの意見は決して大きいとは言えない。その表れは選挙の投票率も現れている。社会のの問題点に気づいていたらまず投票に行かねばならないのだ。
日本は経済大国となったはずなのに、今も経済大国のはずなのに豊かさを感じられないのはなぜか。
社会の、個人の「本当の豊かさを手に入れるためにはなにが必要か?」
社会の歪みに対する批判的視点の回復であろう。改善には相当長期的な時間が必要になると考える。
昨今の日本社会を見ると、長時間労働はだいぶ減り、有休が一定日数取得することが義務化され、子どもの教育も多様化しているが、各分野に従事している労働者の環境は本当に良くなっているのだろうか。
教育界の労働の実態は??官僚たちの実態は??介護の分野などブラック企業に近いままではないのか??
さらに、最後のセーフティネットとしての社会保障は充実しているとは言えない状況にある。
今後、22世紀に向けて、人口減・高齢化社、経済力低迷の中でどう乗り切るのかが問われていく。