福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

この一年(2)医療界の動きをキーワード的に見ると

2008年12月31日 08時15分03秒 | 季節の話題
 光陰矢のごとしである。時間の経過は実に早い。
 08年の医療界は一体どんな年だったのか?自分のメモや記録を見直しながらザッと並べてみた。

■ 大野病院事件で担当医が無罪に(8月)。杏林大割り箸事件も無罪(11月)。
■ 医療事故調査委員会問題、厚労省第三次試案提示されるも結論でず(通年)。

■ 社会保障費2.200億円の削減議論。結局継続となったが、堅持するから維持するに表現が若干変わった(通年、12月)。
■ 来年度予算で社会保障費2.200億円の削減方針は実質230億円抑制となる(12月)

■ 医師不足、地方交付税減額で地方の公立病院を中心に閉鎖、診療縮小が続いた(通年)。
■ 産科医不足で分娩を中止する医療機関が相次いだ(通年)。東京都で8病院が受け入れ困難(10月)。

■ コンビニ受診、クレーマー、勤務医激務問題(通年)。
■ 参加型病診連携、柏原病院小児科母の会などの動き(通年)。
■ 医師抑制策を転換、医学部定員増に(6月)。

■ 後期高齢者制度、メタボリック症候群を指標とした健診スタート(4月)。
■ 臨床研修制度の見直し着手(9月)。
■ 血糖測定用採血器具使い回し問題(5月)。

■ 生活保護受給患者には後発品を(4月)。舛添厚労大臣、国民から乖離した医師会などの利益団体は存続できないなどと発言(5月)。麻生総理の医師は社会常識に欠けるなどの非常識発言(11月)。
■ 全国医師連盟発足(6月)。

■ 秋田大学に総合地域医療推進講座開設(10月)。
■ 厚労省新型インフルエンザ専門家会議が医療関係者にプレパンデミックワクチン接種決定(4月)。

 まだまだ挙げきれないが、一応ここまで。

 医療・福祉の世界は生命や健康を扱うと言えども別格ではあり得ない。むしろ社会情勢の影響を受けやすい。
 次年度は景気の落ち込みの影響がじわりと医療界に及日厳しい運営が迫られてくるだろうと思う。
 医療・福祉を欠いては人は生きられない。だからこそ、厳しい状況だからこそ、砦としての医療・福祉を私共医療人は強固に護って住民に提供して行かねばならぬのだ。

 そう言うミッションの中で仕事を続けている私共は、例え厳しくとも、幸せなのだ、と思いつつ今年を終えたい。あと一日である。

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この一年(1)社会の動きをキーワード的に見ると

2008年12月30日 07時47分08秒 | 季節の話題
 光陰矢のごとしである。時間の経過は実に早い。

 この2008年は自分の目から見て一体どんな年だったのか?年の暮れを迎えるにあたって自分の記録を見直しながらザッと思い出してみた。かなりの項目を忘れてしまっている。記録を付けることは重要なことと再確認できた。

 今年は例年以上に、国内外共に国民生活に直接・間接的影響をもつ重大な出来事が続いた。

 地球レベルでは「自然破壊」、「温暖化」が、医療面では「医療崩壊」が継続的問題であった。共にこの一年で何が良い方向に変わったのかよく見えなかった。

 2007年夏以降、原油や穀物が投機の対象になり、国際価格が高騰、企業の経済活動はもとより家計を直撃した。原油自体には余裕があったのだが、NY原油は一時最高値160ドル近辺まで高騰し、最近は32ドルまで落ち込んでいる。マネーゲームで世界が翻弄され続けた。9月に安倍首相は政権を放棄、福田政権が誕生した。その後も政局は不安定のまま2008年の年明けを迎えた。
 こんなことで果たして良いのだろうか、と危惧された年明けであったが、マネーゲーム、国内政治共に同じ轍に嵌った年となった。

 この一年を経時的に追って代表的な項目を挙げて見た。

■ 1月:中国製餃子に毒物。食の安全に関する衝撃的ニュースで年明け
■ 2月:イージス艦漁船と衝突。
■3月:揮発油税、日銀総裁人事で国会空転。
■ 4月:後期高齢者医療制度発足。 
■5月:中国四川大地震、ミャンマーサイクロン大災害 共に未曾有の大惨事。
■6月:秋葉原で無差別大量殺人。14日には宮城内陸地震で多くの方々が死亡。ガソリン180円台。
■7月:地球環境保全と経済の安定をテーマに洞爺湖サミット。
■8月:北京オリンピック。ロシアとグルジア間で大規模な武力衝突。
■9月:福田首相も政権放棄、麻生政権が誕生。米国発の金融危機が全世界的に急拡大、株価大暴落、円高で大手企業も業績悪化、倒産企業、失業者が急増。遠藤氏ラスカー賞受賞。
■ 10月:4人の日本人がノーベル賞を受賞
■ 11月:次期アメリカ大統頷にオパマ氏。ムンバイでテロ。元厚生次官殺傷事件。
■ 12月:景気後退 トヨタ等自動車業界未曾有の減収 失業者急増。史上最大規模で大盤振る舞いの09年度国家予算が閣議決定。

 新春丑年は、恐らく、苦しく厳しい年になるだろう。座して死を待つ様であってはならない。みんなでよく考えて、スクラムを組んで、力を尽くして苦境を乗り切りたいものである。

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経済失速(3)  09年度社会保障費予算をどう見る? 単年度限りの不安定財源

2008年12月29日 09時19分00秒 | 政治・経済 国際関係
 政府は24日の閣議で前年比6.6%増の88.5兆円と膨らんだ2009年度の政府予算案を決定した。
 私共にとって無関心でいられない社会保障関係費に注目すると、一般歳出51.7兆円の中に占める社会保障関係費の割合は、前年比1.9%増の48%となっている。

 厚労省医政局全体の予算案は前年比8.4%増の2.132.億6千万円となった。社会保障関係費配分の中では、重点項目として、特に深刻な医師不足が指摘されている産科・救急分野へ重点的に配分している。また、問題化している福祉・介護人材確保には前年比125億円増の169億円を、また、難病対策費は前年度4倍の100億円配分する等、ところどころに評価できる重点配分を見ることが出来る。

 発表された予算の配分項目を見ると、印象としては悪くない予算に見える。
 しかし、社会保障費2.200億円削減問題については、たばこ税が見送られた段階では後発医薬品の使用促進で約230億円抑制するほかは、殆ど財源の目処が立っていない。そのために今年は一般財源化される道路特定財源の一部、霞が関埋蔵金の一つとされる「特別保健福祉事業資金」を活用して何とか穴埋めすることにしている。しかし、これらの財源は単年度分しかないために再来年以降の計画は全く立たない。

 2009年度予算の政府案に対して日本医師会は、社会保障費の年2.200億円の抑制が継続されたことについては残念なこととしながらも、実質的な削減額は後発医薬品の使用促進による230億円にとどまる見通しとなったことを評価した。また、重要課題推進枠の中から、775億円を社会保障等に充当することになった点も高く評価したい、とした。

 確かに日医は立場上こういわざるを得ないだろうが、実際には来年度以降の目処は立っていない等、実に厳しい内容である。

 今、世界的経済不況の中、我が国の社会は騒然とした状況にある。
 身分不安定なパートや派遣労働者は職や住まいを失っている。そんなニュースしか聞こえてこない。病院や医療関連業には大きな直接的影響は現れてきていないが、医療は経済の影響を大きく受ける。だから、来年以降にジワーっと影響が出てくることが予想される。医療の冬の時代はまだまだ続いていく。

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経済失速(2) 景気対策で2009年度国家予算は最大規模の88.5兆円に膨らんだ!!!

2008年12月28日 06時52分25秒 | 政治・経済 国際関係
 世界的経済不況の中、2009年度の国家予算案が提示された。
 景気高揚対策を何よりも最優先し、一般支出を大幅に増し、地方交付税も増やしたために2008年度の当初予算比では6.6%も増えている。これはすごいことである。

 一般的に予算は使う側から支出計画の方を中心に考えるのであるが、当然収入予算でもある。国の収入は税金であるが、来年度は不景気で税収が大幅に減少する見込みであるから、何とかして収入を確保しなければならない。だからといって国が営業活動できるわけでもない。
 今回は「霞ヶ関埋蔵金」と称される何だか分からない資金、要するに国家の「へそくり?」から6兆円を、更に33.3兆円の国債新規発行、すなわち「借金」でまかなう計画であるから、本来は大変な予算案と言わねばなるまい。

 私は経済関係に疎い。だから基本的考え方は正しいかどうかは分からないが、少なくとも国の大きな目標であった国家財政健全化は大幅に遠のくことになる。それでも国民の生活擁護、一刻も早い景気浮上を目論んでのことと言うので正しいのかもしれない。一方では日本の借金残高は先進国中で最悪状態にあり余裕は全くない。この中でこの様な借金を中心にした予算設定は明暗双方の意味がある。

 問題は支出を増やすだけでは効果が乏しいと言うことである。税収が今後も予想以上に落ち込む可能性もある。だから、同時に景気浮上策をどう提示出来るのか、にかかっている。

 長年に渡る医療費削減政策が医療崩壊をもたらした。そのことがやっと認識され改善の兆しが見え始めた時に、食料品や原油価格の高騰による社会不安、福田内閣の突然の辞任による政治不安、更に、サブプライムに端を発した金融不安が追い打ちをかけ、今社会は騒然としている。特に会社の倒産や、パート労働者の大量解雇など連日伝えられている。

 その中で支持率低迷に喘ぎながら、麻生内閣は大盤振る舞いに近い予算を提示したが、この予算の中で私ども医療関係者が一番心配していた社会保障費の抑制策を小さくしたことは評価すべきだろうし、注目すべきだろうと思う。

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経済失速(1) 自動車不況は何故なのか 消費者が二極化し必須でない車

2008年12月27日 09時33分24秒 | 政治・経済 国際関係
 世界的経済不況の中、特に自動車産業の不振が大きい。自動車がダメになれば金属、ガラス、繊維、電子など広範な産業に影響を与える。自動車生産が基幹産業になっている国にとって大変な問題である。

 米国のビッグ3は何をやっているのか?判断が甘いのではないか?と思う。世界の市場が燃費や維持費の安い小型車にシフトしているというのに、大幅な利益を得ることの出来る贅沢な中・大型車にこだわり続け、売りさばいてきた。企業戦略が誤っていたのに、なんら改善策を提示することなく国の支援を求めている。国も自動車産業を潰せないはず、見殺しに出来ないはずだ、とタカを括っているようなイメージにみえる。

 ビッグ3車の販売対象はローンが不要な、あるいは余裕を持ってローンを組めた米国国内及び世界の富裕層であった。こんな人たちは既に高級車を何台か持っているだろうし、このサブプライムローン破綻の影響で大きな欠損を生じたはずである。こんな状況の中で急いで買い換えたりする必要がない。だから、購入を控えているのだろう。

 何で地道な運営経営の企業として世界的に評価の高かったトヨタがビッグ3並の影響を受けているのか?は、トヨタも高級化、大型化の道をたどり始めたから、とされている。今まではビッグ3が作らない車を作ってきた。確かに、国内でもLexasブランドで富裕層をターゲットにした戦略を始めていたが、そんなに売れていない。今テキサスに作っている大型車の工場は大きな足かせになっている。

 同じことは発展途上国への売り込みにも言える。中国やロシアの市場をターゲットにした新需要は企業にとって魅力である。世界の車メーカーが注目するのも当然であるが、この経済事情では生きるのに精一杯となり、もう車どころではない。もともと持っていなかった人たちにとって車など焦って買う必要のない、贅沢品である。ここでもトヨタを始め日本のメーカーは大打撃を食らっている。
 車はあればいい。今は、現代社会は車は必需品であるが、この様な時勢では高額な付加価値の付いたものを急ぎ購入する必要はない。それに、大事に乗れば20年近くは使用できる程丈夫である。

 この様な厳しいご時世の中で分かったことは、車の買い換えや新車購入は消費者の要求から発したのではなく、メーカーの購買戦略に踊らされていたと言う現実である。

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