福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

時間について2017(6) 徒然草から学ぶ(5) (108段) 寸陰惜しむ人

2017年04月30日 11時59分17秒 | コラム、エッセイ
 徒然草からはいつ読んでも新しい発見がどこかにある。
 今回は108段「時間について」。今の私は反兼好的な考えである。
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(108段)
 寸陰惜しむ人なし。これよく知れるか、愚かなるか。
 愚かにして怠る人のために言はば、一銭軽しといへども、是をかさぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の一銭を惜しむ心、切なり。刹那覚えずといへども、これを運びてやまざれば、命を終ふる期、忽ちに至る。
 されば、道人は、遠く日月を惜しむべからず。ただ今の一念、むなしく過ぐる事を惜しむべし。もし人来りて、我が命、明日は必ず失はるべしと告げ知らせたらんに、今日の暮るるあひだ、何事をか頼み、何事をか営まん、我等が生ける今日の日、なんぞその時節にことならん。
 一日のうちに、飲食・便利・睡眠・言語・行歩、やむ事をえずして、多くの時を失ふ。その余りの暇幾ばくならぬうちに、無益の事をなし、無益の事を言ひ、無益の事を思惟して時を移すのみならず、日を消し、月をわたりて、一生を送る、尤も愚かなり。
 (中略)光陰何のためにか惜しむとならば、内に思慮なく、外に世事なくして、止まん人は止み、修せん人は修せよとなり。
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 (私の意訳)
 一瞬の時間を惜しむ人は少ない。物事をわかっているからか、愚かだからなのか。
 愚か者に言うと、一銭は軽いが重ねれば、貧者を富める人にできる。商人が一銭を惜しむ心は、切実なのだ。
 短い時間を軽視していると、命を終える時がたちまち来る。
 仏教の修行をする人は、修行にかける長い時間を惜しむべきでない。ただ、この一瞬はを惜しむべきだ。もし、人が来て、自分の命は明日まで、と告げらせたなら、今日一日が暮れるまでの間、何事をするだろう。我々が生きている今日という一日は、明日死ぬといわれた後の一日と何か違うことがあるだろうか。
 一日のうちに、飲食・排便・睡眠・会話・歩行など、やむを得ないことで多くの時を失う。余りの時間が乏しくなったなら、無益な事をなし、無益な事を言い、無益な事を考えて時を過ごすことは、一日を浪費し、一月を浪費し、一生を浪費する。まったく愚かである。
 ほんの短い間でも、一瞬という短い時間を惜しむ心が無ければ死人と同じ。一瞬を何のために惜しむかといえば、雑念を無くし、俗世間と交わりを断ち、悪を止め、善を行え。
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(語句)
■飲食おんじき:仏語、飲食。■便利:仏語、大便・小便。■風雲の思ひ:立身出世を願う。

(メモ)
 いやはや、お堅い考えである。
 兼好だけではない、道元の正法眼蔵に「この一日の身命は、尊ぶべき身命なり。一日をいたずらにつかふことなかれ・・・」、とある。

 私も昨年までは同じように考えていたが、今の私にとっては「むなしく過ぐる」時間などは一瞬すらも無い。何も考えずに呼吸しているからといって「むなしく呼吸してます」、と言うべきだろうか。呼吸無くして人生そのものが無くなるのだから。

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北朝鮮2017(5) 中国がにぎる鍵 中国はなぜ北朝鮮を擁護するのか

2017年04月29日 08時43分27秒 | 政治・経済 国際関係
 今回の北朝鮮を巡る米国との過緊張状態は一発触発の危険を孕む。

 しかしながら、米国、トランプといえ、すぐに武力行使はできない。北朝鮮国内に張り巡らした軍事拠点を一斉に攻撃する必要があるが実効性は疑わしい。そうなれば、韓国や我が国にも甚大な被害が及ぶだろう。韓国には28.000人余、我が国には49.000人余の米軍が駐留していて、攻撃の標的になりうる。

 局面打開のカギを握るのは中国である。
 03年1月に北朝鮮が核不振散条約から脱退を宣言し、核問題が持ち上った。3月にブッシュ米政権が、「単独で」でイラクを攻撃したが、それに衝撃を受けた中国が仲介に乗り出し、米中朝の3者協議をへて、8月に6者協議が始まった。

 最近、北朝鮮の勝手な振る舞いに対して、中国は若干発想を変えたとはいえ両国はまだホットな状況にある。今年2月には北朝鮮産の石炭の輸入を全面的に停止するなど、経済制裁にやっと重い腰を上げた。北朝鮮への原油供給を止める動きもある。

 北朝鮮問題は中国が鍵を握るのは明らかである。
 いや、それ以上に北朝鮮をここまでのさばらせた要因の一つが、オバマによるだんまり戦術であり、国連安保理決議の経済政策実践に非協力的であった中国でもあるから、両国ともに大きな責任がある。

 中国が米朝対話を仲介する動きを期待したい。トランプも振り上げた拳を下ろすために、中国の動きに期待している。

 ところで、中国と北朝鮮の関係はどうなっているんだろうか。
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 中国・北朝鮮関係の歴史をさかのぼれぱ、中国は1950〜53年の朝鮮戦争で同じ社会主義国の隣国である北朝鮮が苦境に陥ったため「人民志願軍』を送り、ともに韓国・米軍中心の「国連軍」と戦った。結果は優勢な状態であった。
 両国間は「血で結ぱれた同盟」とされ、61年には「中朝友好協力相互援助条約」を締結した。戦争の際には、直ちに軍事その他の援助をする「自動介入条項」もある。しかし、92年に中国と韓国が国交を樹立したことで、中国が朝鮮半島の紛争に北朝鮮を即座に援護して介入する可能性は低くなった。

 金正恩は11年に権力を継いでから中国をおとづれたことはなく、関係は冷えている。


 中国は地理的に緩衝地帯である北朝鮮を崩壊させることは絶対にない。
 中国は、核実験に際して北朝鮮を強批判する一方、米国や日本、韓国などには冷静に対処し、話し合いで解決せよという立場を繰り返している。
 今回のASEAN外相会議でも同様の姿勢をとった。
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 北朝鮮は武力介入はないと踏んでミサイルや核実験を繰り返し米国を威嚇し続けている。これは危険である。

 中朝関係が冷え込めば、北朝鮮は、天然ガスなど資源が豊かなロシアとの関係強化に乗り出す。安保理決議の経済制裁の新しい抜け穴となりうる。
 韓国大統領選挙は、文氏が有力とされている。文氏は朝鮮半島の安全保障に関し、韓国が中心になって北朝鮮に直接働きかけるとの意向であるからなんらかの進展が見られるかもしれない。
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北朝鮮2017(4) 驚くべき北朝鮮軍事力

2017年04月28日 05時16分32秒 | 政治・経済 国際関係
 韓国と北朝鮮が朝鮮半島の主権を巡り争った戦争が「朝鮮戦争」である。北朝鮮が38度線を越えて侵攻し開戦。中国と北朝鮮の「連合軍」と韓国と「米軍を中心とした国連軍」の戦いは、前者の優位な戦況が続いた。マッカーサーは原爆投下もトルーマン大統領に提言した。返事はマッカーサーの更迭であった。トルーマンは広島・長崎への原爆投下を深く反省していたのだろう。

 結局、3年間に及ぶ朝鮮戦争は、「朝鮮戦争休戦協定」に署名し休戦した。だから、北朝鮮と韓国は未だに戦争状態が続いている。
 北朝鮮が未だにアメリカに敵意を見せているのは、これが原因と思われる。北朝鮮と米国との間には国交もない。

 この間、朝鮮半島情勢を巡っては、軍拡の中国、世界一の米国、力を蓄えた韓国、米国の同盟を背景にした日本が、各々の国の思惑で緊張感を高めている。

 米国のトランプ政権は北朝鮮の身勝手な振る舞いに関して、これ以上容認できないと表明し両国間で緊張が高まっている。どのように解決を図るのか、今のところ見えない。

 北朝鮮は核を放棄する動きは全く見えない。
 米国攻撃を視野に入れて準備していると言うから、いずれ米朝が衝突する可能性は否定できない。北朝鮮は核弾頭の標準化のためにさらなる実験が必要とみられる。
 6度目となる核実験を強行した場合、米国は軍事行動も辞さない構えでいる。

 先日25日に創建85周年を迎えた。当日はミサイル発射はなかった。

 北朝鮮軍の軍備の脅威は何なのか。ブリタニカなどで調べてみた。
 北朝鮮の軍備は決して侮れないレベルにあると思われる。 

 北朝鮮は経済が崩壊した1990年代から、通常兵器の整備増強を事実上断念したようであるが、敵の防御の弱い部分などを狙う作戦の準備に力を注いできた。
 また、一方で大量破壊兵器の開発を通じて、米国や近隣諸国に脅威を与えている。

①核や生物化学兵器などの大量破壊兵器の開発と保持。
②ゲリラ特殊部隊
③ソウルなど韓国各都市を破壊する長距離砲 

 かつては北朝鮮は「犬の遠吠え的」に米国に脅しをかけていたが、最近は米国も具体的危険を察知している。

 要するに、小さなサソリが強力な毒針を要してその存在感を提示しているようなものである。

 北朝鮮の脅威は脱北者の証言、韓国の軍事白書などから以下のように纏められよう。
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 @1 北朝鮮は兵器用プルトニウムを50Kg以上保有?? 近い将来、計50個の核爆弾を保有できる、との指摘もある。
 化学兵器や生物兵器も保有する。

 @2 弾道ミサイル1000発以上保有。
 そのうち、主に韓国を攻撃する短距離のスカッド。約200発は射程1300Kmのノドンで日本と在日米軍を攻撃できる。約40発のムスダンは射程は3000Kmでグアムの米軍を想定する。さらに、米国本土を意識した、核弾頭を載せられる大陸間弾道弾を開発中。

 @3 特殊作戦部隊
 計20万人の部隊とされる。1人で一般兵士5-6人に相当する力があるとされ、7-8人で1戦闘単位を構成する。有事の際、敵国に侵入し、市民生活を混乱に陥れるための訓練を続けている。

 @4 長距離砲を計1000門程度保有。うち、南北軍事境界線沿いに300-500門が配備している。これらは1時間で6-7000発以上をソウルに向けて発射できる。

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腰痛2017 腰痛二日目 外来の看護師は気づくかな??

2017年04月27日 17時55分11秒 | コラム、エッセイ
 昨日起床時からかなりの腰痛が生じている。原因は不明である。異常な姿勢で寝たのだろうか?

 歩行はもとより、会話、深呼吸、欠伸、しゃっくり、くしゃみをしても、蕎麦をすすっても腰にくる。ベットからの起床は極めて困難、そろそろと体をベットのヘリに移動して足を下ろしてからゆっくり立ち上がる。昨日はバスで病院に行ったが、本日は歩行も辛いから家内の出勤のプリウスに同乗した。乗り降りも辛い。

 私の腰痛歴は大学時代にさかのぼる。
 1965年、大学の医進過程の体育で腰の屈伸運動で痛めた時から、時折、年に何回か、不用意な姿勢を長時間とったとき、重いものを持ち上げた時、テニスの時、園芸で中腰になった時などに発症し、一週間ほど続く様になった。50年にもわたる経験だから慣れている。ひたすら耐えるだけである。2015年8月崖から滑落して腰部を強く打った。この時は一月ほど腰痛が続いた。この時もかなり辛かったが薬物などは一切用いない。

 薬物を一切用いない、は嘘である。2005年に一回だけ腰部ヘルニアの疼痛に座薬を用いたことがある。痛みは消え、地獄から天国にワープしたかと思われる様な快感を得た。座薬の効果に驚いた。逆に、薬効の強さに恐ろしさも感じた。その後は一切使っていない。

 私は疼痛に耐えるのが好きな様だ。

 過去の話であるが、2007年、私は膀胱憩室と膀胱頸部硬化症の手術を受けた。ヘソ下から7cmほどの傷がある。手術後、硬膜外麻酔テューブは主治医の配慮で翌日抜去となったが、抜去後強い下腹部痛が襲ってきた。体動時の痛みはそれこそ地獄の痛みであった。看護師達は座薬等の鎮痛剤の使用を勧めてくれたが、私は自身の対疼痛忍耐力を試してみることにした。結局、鎮痛剤を一度も用いないで済んだ。この術後疼痛に耐えたことは私の自信と誇りにもなった。
 この話を時に披露するが、バカな試みと後日笑われた。

 本日の外来はGW前であることもあって予約数が多く、4時間以上かかると推定され、大変さが予想された。
 私は腰痛に耐えている姿を診療介助のスタッフにどこまで隠せるのだろうかを試してみようと考え、可能な限り通常に振る舞ってみた。会話も辛い状態であったが、外来終了時に「私の様子に何か異常を感じなかったか??」と問うてみたところ、「気がつかなかった」とのことであった。平常な姿を演じ切ったことになるが、無理したせいか夕方から夜間にかけての疼痛が一層増した。
 バカな試みと家内に笑われた。私もそう思った。

 自分の腰痛を受け入れ、半分遊びに転化している私は能天気でもあるが、これも一過性の痛みと予想できるからである。もし、ガンに罹患して激しい疼痛が襲ってくる様な状況なら耐え抜く自信はない。
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時間について2017(4) 時間の平等性と非平等性 でも、明日は来る 

2017年04月26日 02時54分09秒 | コラム、エッセイ
 自分の体内時計のリズム、テンポが遅くなると、私はこれを生物学的テンポ、と思っているのだが、自然界のテンポは悠久であり不変であるから自分が遅れてしまうことになる。その結果、「おおい、時間よ待ってくれ、なんでそんなに急ぐのだ」ということになる。これが高齢者が例外なく??感じる「年齢とともに時間が早く過ぎる」ルーツである(と思う)。

 歳をとったら時間がゆっくり流れてもよさそうに思うが、実際は逆である。高齢になると早朝覚醒が多くなるのは体内リズムの狂いで説明できるかもしれない。

 年寄りは時間が早く経過するから、待つ事に我慢強くなるはずである。しかし、外来などで待ち時間が長くなると騒ぎ出すのは決まって高齢者である。15分程度の遅れなのに1時間も待ちました、という。
 年寄りの短気は、決して時間の問題だけでは説明できない。瞬時の変化に対応できなくなっているからでもある。高齢のドライバーはブレーキとアクセルを踏みまちがえた、というが、その思いがけない車の動きに驚き自身がフリーズして対応できないために生じていると思う。構造的に見て、若いドライバーでも踏み間違いは起こっているだろうが、瞬時に対応できている。瞬間的な時間感覚を含めて高齢者は余裕が乏しくなっている。「もう少しお待ちください」、と説明しても5分もすれば「まだですか・・」である。

 個々人によって時間感覚は異なっていくとはいえ、時間は誰にとっても平等に経過していく。この点は素晴らしい。人間にとってこの世の中は不平等で不公平に満ちているの
だが、時間だけは誰にとっても平等である。それが万人に気づかれていないだけ。太陽光、月光、空気なども同様である。

  法然上人の「月影の いたらぬ里は なけれども ながむる人の 心にぞすむ」といった名句がある。私は、月の光も時間も誰にでも平等なのだが、そのありがたさに気づくか否かで人生に及ぼす意味が異なってくる、と解釈する。これは重要なことである。時間について関心と興味を持っている私は恵まれている。

 ただ、平等なはずの時間には決定的な不公平も備わっている。それは死をもって時間が途切れる、ということである。

 逆に、時間の一番いいところは、一度に一日ずつでしかないが、生きている限り確実に朝がやってくる、ということ。こんな贅沢な、幸せなことはない。

 数年前までは、「時間は大切だ、浪費している暇などない、有意義に使おう・・・」と書いて前向きの姿勢で小文の締めにするのであるが、今は違う。今は「時間は大切だ、時の流れに身を任せ、ゆったりと使おう・・・」、と閉める。

 私も長い人生を経て、確実に進化している。
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