わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動轆轤上達法(作品の振れ7)

2011-02-18 21:14:44 | 轆轤の上達方法
引き続き、轆轤作業で起きる、作品の振れについて、お話します。

 ⑧ 肉厚のバラツキの問題

   肉厚に差が出来ると、確実に、土に振れが発生します。

   肉厚の差は、上下方向に出る場合と、円周上の一部に、発生する場合があります。

   特に、問題になるのは、円周上の一部に、発生する肉厚の差が、振れに大きく関係します。

  ) 上下方向に出る肉厚の差

     土の下部、即ち裾野と、土の上部、即ち口縁の肉厚は、当然差が出ます。

   a) 上部の土を、支える為には、裾野は肉厚でなければ、ならない事は、明らかな事です。

   b) 理想的には、裾野の肉が厚く、上部に行くに従い、肉厚が段々薄くなる事で、口縁部がやや、

     肉厚になる様に、する事です。

     口縁部が、薄過ぎると、割れが発生したり、口作りが、上手く行かない場合が、ありますので、

     ある程度の、肉の厚味が必要です。

   c) 初心者は、裾野が極端に厚く、口縁部が、極端に薄くなり勝ちです。

     裾野と口縁部の肉厚の差が、少ない程、轆轤技術が上達している、証拠にもなります。

   d) 土の硬さによっても、この差が、大きくなる事があります。

     即ち、軟らかい土では、裾野の肉厚が、どうしても、厚くなります。

   e) 挽き上げた、土の高さによっても、当然裾野の土は、厚くなければなりません。

   f) 高さの途中で、急に肉厚が変化すると、振れが発生し易いです。

    ・ 特に、一部で肉厚が、薄くなると、そこより上の土を、支えきれず、そこから、撚れが

      発生します。轆轤では、土を薄くする事は、得意ですが、薄くなった土を、厚くする事は、

      かなり難しい作業です。

      (尚、ある程度の、肉厚のある薄い土なら、肉を厚くする事は、容易ですが・・)

      それ故、一度撚れが発生すると、後々悪い影響が出ますので、思い切って、没にした方が

      良いでしょう。又は、撚れた部分の、やや下から、切り取る事を、薦めます。

    ・ 勿論、撚れを補修する方法は、あります。

      一般的には、轆轤の回転方向を、逆にする方法です(右回転を左回転にする)。

      但し、左右の手の使い方が、逆になります。

      又、回転方向は変えずに、手を上から下に移動させる方法です。

      更に、ドライヤー等で、撚れの発生した部分周辺を、乾燥させ、土の強度を持たせてから、

      上から下に手を移動させると、より効果的です。

    ・ いずれにしても、補修には、手間隙が掛り、没にして、最初からやり直す方が、早く綺麗に

      仕上げる事が出来ます。

    ・ 逆に、高さの途中で、肉が急に厚くなった場合は、その付近で、内外からの力が、弱くなって

      いる為です。原因は、その近辺で、空気や異物がある場合や、やや硬い土の塊が混入している

      場合です(練り不足)。空気や異物は度り除きます。硬い土の場合には、大きさと硬さに

      よって、対応が異なります。塊が大きい場合には、没の方が良いでしょう。

      少々の塊や硬さならば、やや強引に轆轤挽きで、解決する場合も、有ります。

    ・ 作品の振れに関しては、高さの途中で、肉が厚いからと言って、大きく関係する事は、ありま

      せんが、口縁が極端に、肉が厚くなると、「頭デッカチ」状態になり、振れが発生します。

 ) 円周上の一部に、肉厚の差が、発生する場合

以下次回に続きます。 

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続 電動轆轤上達法(作品の振れ6)

2011-02-17 22:32:25 | 轆轤の上達方法
作品の振れについて、話を続けます。

 ⑦ 底を広げる際の問題 

   土の中心に、穴を掘り込み、底の厚みが、所定の厚さになったら、底を作ります。

  ) 内側の底は、最初に形作ります。

   a) まだ土を薄く延ばす前に、底を作ります。穴の周囲が低い事により、作業がし易い為と、振れが、

      起こりにくい為です。

     後から、底をいじる事は、作品の根元を、変形させる事になりますので、振れの原因となります。

   b) 底の内側は、作品に応じて、平坦であったり、鍋底の様に、傾斜や丸味を持たせる事も、

      あります。

   c)  出来上がりの作品の、底が狭い場合は、内側の底は、狭くしますが、外側は、やや広くします。 

      即ち、裾野は肉厚にしておきます。

      裾野が狭いと、上部の土を、支えきれずに、歪んだり、土が、振れたりします。

      それ故、広く取る事は、これからの作業を、容易にする働きをします。

   d)  広く取った裾野の土は、乾燥後の削り作業で、削り取り、狭く出来ます。

      削り取った土は、無駄な土と見られがちですが、轆轤を挽く過程では、必要な土です。

      (乾燥させると、土は強くなり、狭くなっても、支える事が出来ます。)

 ) 底を作る

  a) 擂鉢状に掘り込んだ穴を、人差し指や親指を使い、中心より外側へ、押し広げます。

    この行為を2度程繰り返したら、指を中心に向かわせ、底の高さの狂いを、取ります。

  b) 皿の様に、底が広い場合などでは、内側の底に、轆轤目を付ける場合がありますが、底作りの

    際に、轆轤目を付けると、安心して作業が、出来ます。

    又、底が広い場合には、「コテ」等を利用し、広い面を一度で綺麗に、仕上げる事も出来ます。

  c) 大切な事は、内側の底の角の部分の、形状です。

    作品の外側の底周辺が、角ばる形の場合は、内側の角も、角ばらせます。外側が丸い形でしたら、

    内側も、丸くします。さもないと、角の肉厚が薄くなり過ぎ、削り作業で、穴が開いたりし、

    厚くなり過ぎた場合には、作品が重くなります。

    即ち、内側と外側の形状が、合う様に、内側の角を、形作ります。

    (外側は、内側のカーブに合わせて、削る様にします。)

 ) 底作りの際、周囲の壁(縁)の厚みと、高さを均一にする事。

   大きな作品の場合、内側の底を広げる時には、かなり大きな力を、必要とします。

   それ故、広げる手を、他の手で支える同時に、土の外側にも手を当てて、土が歪むのを防ぎます。

   ここで発生した歪みは、次の段階で、補正可能ですが、なるたけ歪まない様に、土の外側をしっかり

   押さえます。

 ⑧ 肉厚のバラツキの問題

   肉厚に差が出来ると、確実に、土に振れが発生します。

以下次回に続きます。
    
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続 電動轆轤上達法(作品の振れ5)

2011-02-16 23:18:06 | 轆轤の上達方法
引き続き、轆轤作業で、作品が、振れる原因と対策を、述べます。

一般に、轆轤で何かの作業をする際、手の位置が、しっかり固定されている事が、大切です。

 ・ 余談ですが、先日テレビで、「こけし」作りを実況していました。ちなみに、「こけし」を作る

   機械もロクロと言うそうです。「カンナ」と言う、やや長めの鉄棒で、材料の木を、回転させながら、

   削っていました。その鉄棒の操作は、梃子の原理によるもので、特に頑丈な支点を、上手に使い、

   名人芸を、披露していました。

   鉄棒を、好みの位置と、角度を持たせるのは、丈夫な支点があるからです。

 ・ 同様に、陶芸の轆轤でも、手の位置が、しっかり固定できる事が、重要になります。

   固定する為には、片手のみで作業せず、必ず他の手を添えて作業する事と、手(腕)の支点即ち肘を、

   しっかり、太ももや体に、密着させる事です。

前置きが、長くなりましたが、本日のテーマについてお話します。

⑥ センターに穴を掘り込む際の問題

  土殺しが、完了すると、次に土の中央に、穴を掘り込みます。

 ) 土取り: 「数挽き」の場合、土の上部より、必要な土の量の下に、溝を付け、土の量を決めます。

    当然、作品の大きさによって、土の量は変化します。

    尚、溝は上下を、区別する物ですから、深く掘る必要は、ありません。径を細くし過ぎると、

    溝から上が、振れ易くなります。

 ) 穴を掘る場合には、作品の大きさにより、片手の親指を使う場合と、両手の親指を、揃えて真下に

    掘り込む方法があります。

    当然、土の頂上の径は、親指の径よりも、大きくなければ、なりません。さもないと、穴の縁に、

    割れが生じます。   

 ) 両手の親指を、土の中央に置き、真下に掘り込み、口もやや広げます。

    やや掘り込んだら、穴の中に、手ですくった、水を流し込みます。この作業がないと、指は、

    滑らかに中へ、入って行きませんし、指で土を剥ぎ取る事になります。 

 ) その際、親指以外の8本の指は、土を抱える様にして、土の外形を、押さえます。

    手を「じゃんけんのパー」の様に、開いて使いますと、土の中央から、親指が「ズレ」易く

    なります。 又、穴の縁に、割れが発生する事があります。必ず指10本を使います。

 轆轤挽きの方法は、各自、自分の方法で行いますので、掘り込む方法も、決まりはありませんので、

 詳しくは述べませんが、以下基本的な事を、述べます。

  ) 穴は常に轆轤の中心にあり、真下へ擂鉢(すりばち)状に、掘り込みます。

     中心から「ズレ」ない様に、しっかり、手の肘を固定します。

  ) 大きな作品では、親指のみでは、届かなくなりますので、右中指を、中心に置き、更に掘り込み

     ます。 重要な事は、穴の周囲の壁の肉厚を、一定にする事です。肉厚に差があると、轆

     轤挽きは、上手く出来ませんし、必ず振れを、発生させます。

  ) 穴の深さ(底の厚さ)は、高台の形、大きさ、高さによって決まります。

     底の肉厚は、作品全体の重さに、大きな影響を与えます。この件に関しては、別の項で述べる

     予定です。

以下次回に続きます。
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続 電動轆轤上達法(作品の振れ4)

2011-02-15 22:35:13 | 轆轤の上達方法
引き続き、作品の振れに付いて、お話しします。

 ⑤ 土殺しが不十分 

   土を中心に移動する行為を、土殺しと言っています。轆轤作業では、どうしても、行う必要がある

   大切な、基本的作業です。

  ) 土の量

    土が多過ぎても、少な過ぎても、土殺しは、やり難いです。

    0.5~1Kg程度の土の量が、やり易いです。

   ・ 1.5Kgを超えると、この土全体を、殺す事は、かなりの力が、必要になります。

     女性の力では、土が言う事を、聞いてくれません。その為、水を多量に使い、土を軟らかくして

     仕舞勝ちです。又、最初から、軟らかくした、土を使いたくなります。

   ・ 0.5Kg以下の土では、少な過ぎて、掌で全体を、上手に囲い込む事が、難しくなります。

     それ故、土の外形が、綺麗な円になり難いです。

     (少ない土の場合、通常の土殺しではなく、布などを使って、別の方法で、行います。)

   ・ 2~3Kgの土を、轆轤上に据えても、上部の1Kg程度しか、土殺しができません。

     それ故、大きな作品を作る為には、2~3Kgの土を、殺す必要がありますが、熟練者でも、

     体力勝負となります。

  ) 土殺しが、終わらない内に、作品を作る事は、出来ません。土が轆轤の中心に載っていないと、

     土は、不安定な動きをして、まともな作業が、出来ません。

  ) 土殺しは、延べ上げと、延べ下げが、1セットとなり、数度行います。

     延べ上げよりも、延べ下げの方が、難しく、上手に行かない人が、目立ちます。

    ・ 即ち、延べ上げは、両腕の肘(ひじ)を、太ももに固定して、両方向から、締め上げる様に

      して、土を上に延ばします。当然、手に水を付け、手が滑る状態にします。

    ・ 延べ上げで注意する事は、スムーズに上方に、手を移動させる事です。

      一箇所で手が、止まってしまうと、その位置から、土が「ねじ切れ」る、恐れがあります。

      下部では、径が大きいですから、強い力が必要で、上部に行くに従い、力を除々に、抜いて

      生きます。手は、途中で離さず、最上部まで、移動します。

      (途中で手を離すと、必ず狂ってきますから、注意が必要です。)

    ・ 延べ下げが、難しいのは、上から潰す事に、気を取られ、土の外形を「しっかり」押さえ込ま

      ない事で、綺麗な円に成ってなく、外形がいびつに、成り易いです。

      土の裾野まで、両手で「しっかり」押さえ込みむには、「コツ」と「力」が必要です。

      (土を押さえ込む際には、両手の肘は太ももに、固定しておきます。)

  ) スピードも大切です。

     土殺しに時間を取られると、土が水を吸い込み、腰が弱くなります。

     それ故、手早く終わらせたいものです。

  ) 土殺しの終了の確認

     轆轤上の土を、左手(時計回転の場合)で抱え、その手が動かずに、固定されていれば、完了

     です。手が振動していれば、土殺しが不十分と、言う事になります。

     この場合には、振れが止まるまで、数度土を殺して下さい。

⑥ センターに穴を掘り込む際の問題

以下次回に続きます。

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続 電動轆轤上達法(作品の振れ3)

2011-02-14 22:27:35 | 轆轤の上達方法
前回に続き、電動轆轤作業で、作品が振れる問題の、原因と対策について、お話します。

1) 振れの原因

 ④ 水の使い方(過不足なく使う)

   轆轤で作品を作るには、水(又はお湯)を使いますので、別名、水挽きとも言います。

   水を使う最大の目的は、土と手が抵抗なく、滑らせる為です。

   又、最大の欠点は、土がその水を吸収し、腰がなくなり易い事です。

  ) 初心者は、水不足になり易いので、多めに使った方が、良いでしょう。

     水切れは、手が土に「ひっかり」作業がし難い事と、土の撚り(より)の、原因となります。 

     これらは、直ぐに、振れに直結します。

  ) 最初に水を使う場面は、土を轆轤上に載せた後、土殺しを始める段階です。

     即ち、手又は土そのものに、水を掛けて、濡らします。轆轤の回転と伴に、手で土を撫ぜ上げ

     泥(どべ)を出します。ここでは泥を出すのが、目的ですから、力を入れないで、下さい。

     この行為を数回繰り返します。(その都度、水を付けます。)

  ) 次に、土殺しに入り、土の延べ上げ、延べ下げを、行います。

     この場合でも、力任せではなく、手を滑らせながら、行います。

     初心者の中には、力を入れ過ぎて、土が摩擦熱で、暖かくなってしまう場合も、有ります。

     手が滑らないのは、水不足のせいですので、手や土に水を掛けます。

  ) (両方又は片)手に濡れた布を巻きつけ、水切れを防ぐ、やり方もあります。

  ) 轆轤に慣れた方は、水の替わりに、出た泥を使います。

     泥の利点は、土に入り込む水を、少なくすると伴に、手の潤滑を、助ける事です。

  ) 水は、轆轤作業が終わる時まで、使い続けますので、十分な量が入る桶を、用意しておきます。

     但し、熟練者になるに従い、水の使う量は、少なくなってきます。

   ・ 水を多く使うと、土が弱くなります、それ故、初心者は、弱い力で、形が変わるので、作り易い

     と勘違いして仕舞がちです。小さな作品ならば、どうにか誤魔化して、作品に仕上げる事も

     可能かも知れませんが、やや大きな作品になると、形が崩れて作品になりません。

     高く伸ばしても、直ぐに縮んでしまいます。

   ・ 土が水を吸い込む量は、水の使う量だけでなく、時間の長さにも、関係します。

     初心者は、どうしても、作業に時間が掛り、その分土が弱くなっています。

   ・ 弱くなった土は、始末に負えない物です、それ故、思い切って、壊して最初から、新たな土で、

     やり直した方が、上手くいきます。(又、途中でドライヤーで、乾燥させる手もあります。)

   ・ 水は単に、手を滑らせるだけでなく、皮、竹べら、糸(しっぴき)、弓、針などの、小道具を

     使う場合にも、必ず水に漬けてから、使用すると、土ともなじみ、使い易くなります。 

  ) 轆轤作業では、水を使う場面は、しょちゅう出てきます。その場面に応じて、必要な量の水が、

     使える様になる事が、轆轤上達の一つの方法です。
      
 ⑤ 土殺しが不十分 

以下次回に続きます。

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続 電動轆轤上達法(作品の振れ2)

2011-02-13 21:54:23 | 轆轤の上達方法
前回に続き、電動轆轤作業で、作品が振れる問題の、原因と対策について、お話します。

1) 振れの原因

 ③ 土を轆轤に据える問題 

   轆轤上の土は、必ず轆轤の中心に載っている事が、必要です。この中心に置く作業を、土殺しと

   呼んでいます。但し、土殺しを、無事に終わらせるには、前準備が必要です。

   この一寸した準備を省くと、土殺しに、苦労しますし、上手くいもきません。

  ・ 大きな塊から、数個作る「数挽き」ならば、土取りする量の土が、中心に有れば良く

    轆轤に接している土が、少々中心から「ずれ」ていても、さほど問題になりません。

    「数挽き」は、湯呑み、ご飯茶碗、一合徳利程度の、小さな作品を作る際に、行います。

  ・ 一塊の土から一つの、作品を作る場合には、轆轤に接している部分を含めて、全ての土が、中心に

    載っている必要があります。

    さもないと、最初から、土が振れている状態から、スタートとなるからです。

    比較的大きな作品を、作る時の方法で、亀板を使う、大きな作品は、必ずこの方法で行います。

 ) 轆轤上には、同芯円状に、数本の円が、彫刻されています。

    (亀板を使う場合には、設置した段階で、鉛筆等で、練り上げた土の、底辺より、やや大きめの

     円を、亀板上に、描く必要があります。)

 ) この円の中心に向かって、土を叩きつける様に、載せるのですが、何度やっても、中心に載せる 

    事は、出来ません。勿論両手を使うのですが、出来ないのが普通です。

   (熟練した人でも、かなり困難なはずです。) 必ず円の中心から、「ズレ」ます。

 ) この「ズレ」た状態で、土殺しを始めても、土は首を振るだけで、まともに土殺しは、出来ません。

    勿論、ある程度の経験者ならば、土殺しで、この「ズレ」を取り除く事が、出来ますが、かなりの

    力と練習が必要です。

 ) 大抵の本には、上記の様に、最初に、土を轆轤面に、強く叩きつける事と、書かれています。

    目的は、轆轤と土を密着させ、土が動かない様にする為です。

   ・ しかし密着した土は、轆轤面から移動できないので、轆轤に接した土は、土殺しで綺麗な円に

     する事は、大きな力が必要になり、初心者にはかなり、難しい作業と、成ります。

 ) 一寸した準備とは、轆轤面に強く叩きつけるのではなく、やや強めに中心めがけて、土を落とし

    ます。当然、轆轤上の彫刻された円より、「ズレ」れます。ここで、土の裾野の部分と、円との

    隙間が、一定になる様に、その裾野を真横から、叩いて移動させます。

    轆轤面とは、強く密着していないので、移動する事が、可能です。大まかでも、この行為を行えば

    次の土殺しは、より容易になります。(轆轤は電源OFFで、フリーの状態です。)

 ) 次に、土と轆轤面に、水が浸透しない様に、土の裾野を、両手の小指の根元で、下に押し付け、

    更に、両手の掌で、土を叩き、土の先端が、轆轤の中心に来るように、調整します。

 ) ここで初めて、轆轤のスイッチを入れ、手に水を付け、土を濡らし、泥(どべ)を出してから、

    土殺しに、入ります。

  ・ 上記の行為をしても、土の裾野が、綺麗な円に、ならない事もあります。

    その際には、竹べら等で、出っ張った裾野の土を、剥ぎ取り、綺麗な円にします。

    (但し、剥ぎ取った土は、再度付ける事は、できません。)

 ④ 水の使い方

以下次回に続きます。
    
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続 電動轆轤上達法(作品の振れ1)

2011-02-12 21:41:42 | 轆轤の上達方法
前回に続き、轆轤の上達法について、お話します。

電動轆轤で、技術的に、難しい事柄は、幾つもありますが、その中に、作品が振れる(土が振れる)という

問題があります。振れが起こり易く成る場面は、作品の高さが、高くなるに従い、振れが大きく成る場合と、

大皿の様に、直径が大きくなる事により、発生する振れがあります。

 (尚、轆轤技術が、未熟な人では、高さも、大きさも、さほど、大きくなくても、振れが発生する事も

  有ります。)

1) 振れの原因

  原因となる事柄は、多肢に渡ります。 列挙すると、以下の様な事柄に成ります。

  ① 土そのものが原因 ② 土の練り方の良し悪し ③ 土を轆轤に据える問題 ④ 水の使い方

  ⑤ 土殺しが不十分 ⑥ センターに穴を掘り込む際の問題 ⑦ 底を広げる際の問題 

  ⑧ 肉厚のバラツキの問題 ⑨ 土を上に伸ばす際の問題 ⑩ 形を作る際の問題 

  ⑪ 径を狭める時の問題 ⑫ 振れが発生した時の、対応(対策)の問題 ⑬ その他

 即ち、轆轤作業の、全てに於いて、振れの原因が、存在します。

 それ故、振れのない作品を、作れる様になる事は、その人の技術レベルを、測る物とも言えます。

 一つづつ、説明して行きます。

  (当然、「そんな事は、判っているよと」、言う方も、おられるでしょうが、参考にして頂ければ

   有り難いです。)

 ① 土の問題 

  ) 土の種類に拠っては、轆轤に向かない土もあります。特に伸ばすのが、困難な土もあります。

     但し、一般に市販されている土は、轆轤挽きがし易い様に、調合されていますので、ほとんど、

     問題ありません。特に、轆轤向きの土も、販売されています。

  ) 土の固さも、轆轤挽きに大きな影響を、与えます。特に軟らか過ぎる土は、直ぐに「ヘタリ」

     思うように、言う事を聞いてくれません。大きな作品を作る際には、やや硬めの土を使う事です。

     但し、硬めの土は、力不足の初心者にとっては、ある意味、取り扱い難い土とも、言えます。

  ) 次に述べる土練とも、関係しますが、土が均一の固さに、成っていない場合や、異物が混入して

     いる場合などは、土の伸び方が、部分部分によって異なり、肉厚に差が出て、振れが発生します。

 ②  土の練り方の良し悪し

  ) 確実に、空気を抜く事、土の中に、空気が存在すると、肉厚を薄くするに従い、空気の存在が

    判る様に成ります。空気がある所は、手に「コツコツ」と当たり、轆轤作業も、やり難いですし、

    土もその部分が、十分伸びません。それ故、見つけ次第、剣先で切り裂き、空気を逃がします。

    空気が逃げれば、その箇所は、凹みます。菊練りは、難しく、マスター出来ない方も、多いです。

  ) ①の)で述べた様に、全体の硬さを、均一に練る事です。練る回数を増やせば、均一化が

     進みますが、練る前に、硬い土と軟らかい土を、交互に重ね合わせ、糸で二分し、更に重ね合わ

     せる事を、10回以上糸で切れば、1000層以上になります。この状態で、土練すると早く

     均一にする事が、出来ます。

 ③ 土を轆轤に据える問題 

以下次回に続きます。

 作品の振れ
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続 電動轆轤上達法(回転速度2)

2011-02-11 21:47:37 | 轆轤の上達方法
前回に続き、轆轤の回転速度について、お話します。

2) 回転速度が、遅過ぎる。

  電動轆轤が、中々上達しない原因の一つに、轆轤の回転速度が、遅過ぎる事が、上げられます。

  前回も述べました様に、遅過ぎる回転は、遠心力が弱くなり、遠心力を利用して、作品を作る

  目的に、相反する行為とも、言えます。

 ① 回転が遅い理由

   初心者は、どうしても、回転が、遅く成り勝ちです。それは、速度に対する、恐怖心に由来

   していると、思われます。

   早く回ると、土の肉厚に差が出易く(轆轤目など)、その結果、作品が振れるのでないかと、

   又、一寸したミス(変化)で、それが、大きく増幅されるのでないか、更には、慎重に轆轤作業を

   すれば、振れも起こらないと、勘違いしている様です。

 ② 回転が速い方が、振れは少ない。

   独楽(こま)の原理と、同様に、ある程度の速さで、回転している物は、振れは起こり難いです。

   独楽も、止まりそうな、ゆっくりと、回転するに従い、自然と振ら付きが、発生します。

   (余談ですが、昔ベーゴマで、遊んでいた時には、この振ら付いた状態を、「笑う」と言った

    ものです。笑って来ると、独楽の勢いがなくなる事で、止まるのも間近になります。)

 ③ 回転が速い事は、手の動きが、その回転の狂いに、追従できなく成る事です。

   (追従している限り、狂いは直せません。追従できない事こそ、狂いを直す事が、可能になります。)

   手の位置を、「しっかり」固定する事は、轆轤上達の、もう一つの重要な要素です。

   轆轤が上達しない人は、手の位置を、固定できない方も、多いです。

   (この件に付いては、後日お話します。)

  ・ 手の位置が「しっかり」固定できなくても、回転が速いと、轆轤上の土の、小さな振れに、

    手の動きが、追従できず、結果的に、その小さな振れを、止める事が出来ます。

  ・ 但し、大きく振れている土は、回転を早くすると、一部に遠心力が強く働き、余計に振れが大きく、

    成ります。その為、最初は回転を押さえ、ある程度振れが、収まったら、回転を上げる事です。

 ④ 回転を早くすると、土を薄く伸ばし易い。

  ) 何度も述べる様に、遠心力は、土の外側の手(時計回転方向では、左手)によって、土を上に

    伸ばす方向に、変換されます。

  ) この力を利用すれば、強い力でなくても、土を上に伸ばす事が、出来ます。

    即ち、回転が速ければ、速い程、上への力が出てきます。

    但し、遠心力に負けない様に、「しっかり」外側の手を、固定する必要があります。

   ・ 外側の手が、「しっかり」固定されていると、土の外径は、細くなります。

     径が大きくなるのは、遠心力に負けている為です。

以下次回に続きます。

 回転速度
   
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続 電動轆轤上達法(回転速度1)

2011-02-10 22:05:28 | 轆轤の上達方法
製作現場から、離れた話が、多くなって来ましたので、「実技のお話を」したいと思います。

作陶では、何と言っても、電動轆轤が、どうしても上手く行かないという声を、多く耳にします。

十年以上陶芸を、続けている方でも、思うように、作品が作れないと言う、話も聞きます。

轆轤は、練習が最大の上達方法と、言われますが、いくら練習を積んでも、上達出来ない人もいます。

勿論、憶える作業も多いのですが、その他、やり方が悪いと、思われる方も、多々見受けられます。

 今回は、再度轆轤の上達法を、お話したいと思います。

 (以前述べた事と、重複するかも知れませんが、ご了承下さい。)

1) 回転スピードについて

  言うまでもなく、轆轤は連続回転させながら、作品を作る方法です。

  轆轤技術の下手な人は、この回転力を、上手に使っていない人です。

 ① スピード、コントロールが、出来ていない人

   回転速度は、作品の大きさ、高さ、粘土の固さ、土殺しの際の速さ、土が振れた際の速さなど、

   その場その場に応じて、スピードに、変化を持たす必要があります。

  ) 常に同じスピードの人:作品の径に関係なく、常に一定の速さで、回転させている人。

  ) 段々スピードが速くなる人、逆に段々スピードが遅くなる人。

   電動轆轤は、ペダルを足で踏み込む事により、速さを、調節する機械構造の物が多いです。

  ・ どうしても、手の方に関心が向き、足の方が、疎か(おろそか)になる結果です。

   爪先に力が入れば、段々スピードが上がり、踵(かかと)の方に力が入ると、段々スピードは、

   遅くなります。手元の作業のみに、集中するのではなく、足元にも注意を、向けて下さい。

   但し、足元を見る必要は、ありません。

 ② 場面場面に応じて、スピードに変化を持たせる。

   速い遅いは、好みにより、又、熟練度により、差が出てきます。

  ) 回転速度が速いと言う事は、仕事が速い事に成ります。即ち轆轤の遠心力が、強くなる結果、

    土も素早く、上方へ伸びていきます。又、削り作業でも、カンナで、多く削っている事になります。

    (尚、遠心力は、回転速度の二乗に、比例します。速さが2倍ならば、力は4倍になります。

     逆に速さが半分ならば、力は1/4に成ってしまいます。)

  ) 轆轤の回転力(遠心力)を、上手に活用できれば、さほど、力は要りません。

    回転力は、中心からの距離に、比例します。径が大きいほど、遠心力が強く、作品を外側に、

    押し出す力が、強くなります。

  ) 作品が、振ら付くき出すと、上手に止める事が、出来ない方が、多いです。

     (勿論、振ら付かない様に、するのが、一番ですが、それについては、後日述べます。)

   ・ 振れが発生した場合には、回転速度を落とします。振れは、中心からの距離が、一定でない

     状態ですので、振れの大きい方向に、より強い遠心力が働き、振れをより大きくする力の働きが

     強くなります。

   ・ 振れが発生すると、径を小さくて、補正しがちです。勿論、間違っては、いないのですが、

     轆轤は、径を小さくするよりも、径を大きくする方が、(遠心力の力で)もっと簡単です。

     即ち、振れの最大径まで、全体の径を大きくして、振れを止めた後に、全体を手で抱え込み、

     全体の径を、小さくします。

   ・ 但し、径が小さくなるのには、ある程度の、肉厚が必要です。肉が薄い作品は、径を小さくする 

     事は、はなはだ困難です。

以下次回に続きます。   

   

   
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骨董入門 24 (骨董の楽しみ方)

2011-02-09 22:26:07 | 縄文土器の話、骨董の話
1) 骨董市では、そば猪口を始め、ご飯茶碗、各種の豆皿、なます皿、角皿、小鉢などの、古伊万里の

   染付け磁器等が、比較的安価に、購入出来る、候補に成ります。

   勿論、明治以降の「印判手」と呼ばれる物が、値頃感があり、購入しても、損は無いでしょう。

    注: 豆皿は、径が10cm前後の皿で、丸型以外に、菱型、丸山型、糸巻型、銀杏型、繭(まゆ)

      型、松型、三つ葉型、扇型、半開扇型など、絵柄の面白さと共に、形の面白さも有ります。

2) 骨董市では、値切る事が、頻繁に行われています。

   一般人が、値段を下げる様に、交渉する事は、ほとんど無くなりましたが、骨董市では、値引き

   交渉は、普通に行われています。

 ① 交渉したからと言って、必ずしも、値引きに応じないかも、知れませんが、一般に一割程度の

   値引きは、してもらえるそうです。

   元々値引く事を前提に、値段をつけているとも、言われています。

 ② 二割の値引きならば、得をした気持ちに成れます。

   値引きに応じて、もらえなくても、欲しいと思った作品は、出来るだけ購入した方が、後々悔いが

   残りません。

 ③ 3割4割も、値引きする場合は、用心する必要がありそうです。何らかの欠点などが、隠されて

   いる可能性が、あるからです。

 ④ 傷や、にゅう(割れ)が有る作品は、相場の1/2~1/3の値段に、成るそうです。

3) 骨董市で購入した、焼き物は、良く洗う事です。

  大体の物は、熱湯に潜(くぐ)らせれば、良いでしょう。但し、直しがされていると、思われる物は、

  避けた方が良いでしょう。磁器の場合の「シミ」を取りたい場合には、漂白剤で取る事が、出来ますが

  陶器の場合は、漂白剤は避けた方が、良いでしょう。

  尚、金彩や上絵付けされた物は、軽く洗う程度にし、強く擦らないで下さい。

4) 汁物を入れる器では、実際に液体(水)を入れて、漏らない事を、確認します。

   細かい割れでも、じわじわと、漏れ出て来ますので、ある程度そのままの、状態で観察します。

   同じ様に、小花瓶なども、注意が必要です。

   少しの水漏れならば、水漏れ防止剤(食器用、その他用)を、器の中に入れ、5分ほどしたら、

   中の液体を、こぼし、一晩放置すれば、水漏れ防止が、出来ます。その他、水漏れ防止には、

   昔からの方法(重湯を入れる)も、有りますので、何らかの処置は可能です。

5) 購入した骨董品は、実際に使用する場合と、インテリアとして、飾て見る場合が有ります。

   食器などの器は、実際に使ってみて下さい。使う事により、その物がより良く成る場合と、良く

   見えない場合が、有ります。その原因を、追究し、次回の為の勉強としたいです。

   尚、お皿など、絵柄に方向性の有る物は、意外に使い難い事が、有ります。

6) 一つの作品は、色々な事柄を、我々に語り掛けてくれます。

   生まれた年代、制作場所、絵柄、形、職人の技、古(いにしえ)の生活など、想像するだけでも、

   楽しくなるでしょう。 その語り掛けてくれる言葉も、経験を積めば、積む程、多く語ってくれる

   はずです。物言わぬ骨董と、会話が出来る事も、骨董品の魅力です。

以上にて、「骨董の話し」を、終わりにします。

又機会がありましたら、「続、骨董の話し」をしたいと、思っております。

次回からは、別のテーマで、話す予定です。

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