わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

骨董入門 18 (真贋について5)

2011-02-02 22:56:39 | 縄文土器の話、骨董の話
古唐津は、あらゆる陶磁器の中でも、最も偽者(贋作)が多い、陶器と言われています。

唐津焼は、大変人気のある、焼き物ですが、以下の理由によって、偽者が多いと思われます。

 ① 特別難しい技法がなくても、同じ様な作品が作れる事。(没個性的である事)

 ② 絵付けや、釉など特殊な物ではなく、容易に同じ様な物が、作れる。

 ③ 唐津の土と、似たような土が、容易に手に入り易い。

 ④ 唐津焼の、種類や量が、豊富である事。

 ⑤ 何より、唐津焼を、手に入れ様とする、需要が多い事です。

 ⑥ 唐津焼の、陶器片も人気が有りますが、これにも偽者が、多いとの事です。

唐津焼の偽者(贋作)には、以下の様な物が、有ります。

1) 明治~昭和前期に、作られた、贋作として

  茶道具に使われる、茶陶類が多く、絵唐津の茶碗、朝鮮唐津の徳利、皮鯨の片口と杯、向付、花入、

  香合などが、有ります。

 ・ 絵唐津の場合には、筆が伸びやかに、描かれていずに、線がぎこちなく、硬い感じがするそうです。

 ・ 「景色」に、こだわりが見え、意識して出している様です。

 ・ 故意に、小石を入れて、「石はぜ」を、演出している様に、見えるとの事です。

2) 昭和以降の贋作

  釉面に、フッ化水素などで、人工的に風化させた様な、作品が多いです。

  作品としては、酒器類が多く、斑唐津の盃、立ちぐい呑み、朝鮮唐津の徳利などです。

 ・ 作りは、明治期の作品よりも、上手に作られ、素直さが出ています。

   但し、唐津の「砕けた感じ」を、意識して出そうとして、反って締まりのない、だらしなさが、

   出ている物も有る様です。

 ・ 古色が全然ない作品や、発掘品では、有り得ない完品など、何処かに不自然さが、見られるます。

3) 以前にもお話した、後絵付けや、二度焼きの物も、多いです。

   特に、後絵付けでは、うさぎ(兎)、えび(海老)、さぎ(鷺)などの絵が、好まれる為、この様な

   図柄の物は、偽物が多いようです。

4) 唐津以外で作られた、唐津焼の写し

  日本各地では、唐津焼の写しが、大量に作られ、本物の唐津焼として、流通してしまう事も有ります。

 ① 鉄絵の唐津焼や、灰釉などは、各地にあり、有名なものは、京都で作られた、京唐津です。

 ② 他の窯場で作られた、黒釉や飴釉、白釉の作品が、黒唐津、朝鮮唐津、斑唐津として、取引される

   事も有る様です。 沖縄の湧田窯の作品や、東南アジア地域の作品を、見間違う事も、あります。

 ③ 「土見せ」部分で、産地を判断する事も、多いですが、唐津の赤褐色の土と、よく似た土も、各地に

   存在しますので、注意が必要です。

5) 約束事が、揃い過ぎるのも、偽者くさいです。

  古唐津には、「石はぜ」「土見せ」「三日月高台」「チリメン皺」などの、約束事があると言われて

  います。しかし、これらは、後の世の人達が、考えだした、約束事ですので、古唐津の時代には、

  余り意識されて、いなかったはずです。それ故、約束事の条件に、合い過ぎるのも、かなり疑問と

  成ります。

以下次回に続きます。

 唐津焼 贋作

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