わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動轤上達法(作品の振れ13)

2011-02-24 21:50:39 | 轆轤の上達方法
本日で、作品の「振れ」に付いての話の、最終回と致します。

 ⑬ その他 限界を見つける(見極める)事

  限界には、土が上部の重さを、支える為の物理的限界と、その人が持つ、轆轤作業の、技術的限界が

  有ります。轆轤技術の向上を、目指すならば、自分の技術レベルを、知っておく必要が有ります。

  その技術レベルを、乗り越える事により、より上達した事が、判るからです。

 ) 物理的限界

    土の種類、土の硬さ、使う水の量等の条件によって、又、作業者の技術的レベルによって、限界は、

    変化しますが、おおむね以下の様な事が言えます。

   a) 底が狭く、大きく張り出した皿や、極端な下膨れの作品では、上部の土の重さで、「振れ」や

     「潰れる」(腰が落ちる)場合があります。

   b) どの位張り出せば、危険なのか、どの位膨らませると、潰れるのかは、ある程度、経験から、

     割り出せます。即ち、「限界点を知っているか」と言う事です。

     この限界点は、経験によってのみ、知る事が出来ます。

   c) 限界点を知るには、当然、何回も失敗を重ねて、初めて体で覚える事になります。

     失敗を恐れていては、何時になっても、この限界を知る事は、出来ません。

   d) 指導者が見ている場合には、それ以上張り出したり、膨らませれば、「そこが限界だよ」と

     指摘して貰えるかも、知れませんが、一人で作業している場合は、ご自分で「この辺が限界かな」

     と判断する必要が有ります。

 ) 技術的レベル

   自分の技術的レベルを、常に意識している事が、上達の近道です。

  a) 土練が出来るか、土殺しが一人で出来るか、必要な土取りが出来るか、土を振れずに薄く延ば

    せるか、(1Kgの土を、どの位高く上げられるか)、轆轤の回転スピードを、適宜調整できるか、

    思い通りの形が作れるか、同じ形の物が作れるか、轆轤作業はスピーディーに行われるか、

    「振れ」が起きたとき、対処できるか、「こて」が自由に使えるか、指導者がいなくても、一人で

    全ての轆轤作業が出来るか、大きな作品を、作れるか、等々技術のレベルは、色々考えられます。

     どの時点で、技術的に停滞しているのかを、自覚する事です。

  b) 技術的レベルを見る、もう一つの方法は、形を見る目と、寸法感覚が、身に付いているかを見れば

    判ります。

  ・ 即ち、形作りの作業に入ると、刻々形が変化します。ほんの少しの形の違いでも、作品の表情は、

    劇的に変化する物です。物差しや、コンパスで測れる所は、スケールを当てる事で、違いが直ぐに

    判りますが、寸法では測れない、カーブの部分は、所定の形かどうか、判断する事は、特に難しく

    慣れない内は、轆轤から離れて見る必要があります。

  ・ 技術レベルが上がると、轆轤より離れなくても、形の違いを読み取る事が出来ますし、簡単に

    修正出来る様にもなります。

    同様に、物差しや「トンボ」等で、寸法を測定しなくても、身に付いた感覚で、間違いない寸法に

    仕上げる事が、出来る様になります。

    (先日、急須作りの名人が、急須の蓋の大きさを、測らずに、本体とぴったり作っていました。)

  ・ 余談ですが、人間の目には、縦横同じ寸法ならば、横より縦の寸法の方が、大きく感じらる物です。

    即ち、完全な球でであれば、やや縦長に見えるそうです。

  ・ 作る作品を、方眼紙(セクションペーパー)に、実物大で、設計しその通り作る場合があります。

    しかし、出来上がった作品は、設計した形と、大幅に異なる形になる事も、稀ではありません。

    勿論、紙に書いた平面と、現物の立方体では、受ける印象も異なるのは、最もな事ですが、

    それ以外に、人間の寸法に対する、特有の何かがあるからだと、思われます。

   この様な、感覚を身についているかも、技術レベルの一つの、目安になります。

少々、話が横道にそれましたが、「振れ」に付いての、話を終わります。

次回、轆轤の上達法の中で、別のテーマでお話します。
 
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