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リビアのアフガン化を防ぐために

2011-04-07 | ラジオ
アメリカのゲイツ国防長官は、どのような条件においても、アメリカ軍がリビアでの陸上作戦に入る事はないと言明し、西側諸国に対して、リビア蜂起軍に対する支援はイギリスばかりでなく、西側連合のあらゆる国々にとっての言わば任務であるとし、更なる支援を呼びかけた。

しかしリビアの在野勢力とは一体何なのか、カダフィ体制が打倒された場合、一体誰と交渉することになるのか、西側連合諸国にとって、そうした問題はまだ謎のまま残っている。
確かにフランスやカタールといった国々は、すでにリビアの暫定国家評議会を唯一の合法的政権と認めたが、今のところ納得できる答えは返って来てはいない。反政府勢力側には専門家による暫定政府も存在するということだが、ほとんどのポストはまだ空席のままだ。
この二つの機関、つまり暫定国家評議会と暫定政府が、いかなる権限を持って機能するのか、またその戦略や最終的な政治的な目的がどんなものか、これも明らかではない。

とは言え反政府側にアラブばかりでなく、世界でその名前がよく知られた人々が加わっているのも事実だ。
ロシア科学アカデミー・アフリカ研究所のトカチェンコ研究員は。次のように指摘している。
「そうした人物として、カダフィ大佐側近の一連の人々の名前を挙げる事ができる。
先ず外務大臣のムーサ・クーサ氏だ。彼は文字通りつい最近、カダフィ大佐のもとを離れ反政府側に移った。またすでに一定期間、暫定国家評議会の長を務めているアブドルジャリル前法大臣もそうだ。
彼はリビアで裁判にかけられていた、在野勢力のメンバー達を擁護した人物として知られている。国家計画評議会の議長を務めていた、ジャブリル氏も事実上、第一線にあった政治家の一人だ」
研究員は、このように述べている。

しかしいずれにしても反政府在野勢力のメンバー、そのリーダー、目的と可能性は西側ではほとんど分かっておらず、西側連合国が蜂起軍に武器援助した場合、リビアは第二のアフガニスタン化するのではないか、という懸念は正当であるように思われる。

中東問題の専門家アフメドフ氏の見解は次の通りだ。
「先ず第一に武器供与問題の検討は、国連安全保障理事会決議に対する直接的な違反行為だ。必要なのは今後いったい誰と交渉するのかを決めることだ。
アメリカがあのアフガニスタンで直面している、悲しむべき経験を考慮しなくてはならない。
私たちがすでに知っているように、アメリカの教官らがモジャヒディンに教えた技術や与えた武器の数々は、あのアルカイダのビン・ラディンにより自分達の側、アメリカとの戦いに用いられることになってしまったのだ」
中東問題の専門家は、このように指摘している。

なおロシア議会下院国家会議国際問題委員会のコサチョフ委員長は、カダフィ体制が倒れた後、蜂起軍が急速に状況をコントロール下に収める事は不可能だろう。
そうなるとイニシアチブはアルカイダに横取りされてしまい、世界共同体にとってリビアは、大変深刻な問題を抱えた国となってしまう。このように指摘している。  

4月1日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル