リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

先住民文化に自分のルーツが見えた

2017年10月13日 | 日々の風の吹くまま
10月12日(木曜日)。雨。きのうはArts Clubの新作『Thanks for Giving』のオープニング
ナイトで、少し早めに出てちょっと遠回りだけど信号の少ないマリンドライブを行ったら、途
中2ヵ所で大渋滞に出くわして、6時に始まるレセプションに間に合わないとイライラ。何とか
グランヴィルアイランドに着いたら6時5分で、劇場に近いところに3時間のスポットが見つ
かってほっ。もっとも6時以降は有料の駐車場も全部無料になるので、ちょっと遅れたら得し
ちゃうわけだけど。

新作の作者ケヴィン・ロリングはBC州内陸のリットンという町の出身で、先住民インクラカ
プム族の一員。『Thanks for Giving』はArts Clubが新作開発のプログラムの一環で創作
を依頼したもので、感謝祭を背景にした先住民の一家の笑いあり、涙あり、怒りありのドラ
マ。ヒグマの一種であるグリズリー(ハイイログマ)の扮装をしたダンサーがゆっくり踊る場
面で始まって、一家の「家長」的存在のおばあちゃんが遭遇して歌を聞かせて退散させた
母グマを夫のクリフと息子と孫が仕留めるところから話が進み、夫が熊の胆や手足をこっそ
り密売業者に売ったことからてんやわんやの展開。

家族のやりとりには抑圧された先住民の歴史が濃く影を落としていて、感謝祭で帰省したレ
スビアンの孫娘は軍隊に入ると言う双子の兄と何かにつけて対立する。一般に猛獣として
恐れられているハイイロクマは、女家長制の先住民にとっては人間に贈り物をもたらし、食
べられる野草や薬草を教えてくれた「癒し人」のようなもので、双子で生まれた子はそのハ
イイログマの魂に導かれる強い存在なんだそうな。生まれ育った北海道の先住民であるア
イヌ人のヒグマを神が贈り物をもたせて人間の世界に遣わした客人と見る世界観と似てい
るなあと思いながら観ていて、共感というか連帯感にも似たような不思議な感情を呼び起こ
されて、自分でもびっくり。

最後は、おじいちゃんが死んですぐに孫娘とアジア系移民三世のパートナーの間に双子が
生まれて、新しい家族を囲んで慶びあう兄、母、叔父を見守るおばあちゃんが、民俗学者が
録音したと言うおばあちゃんのおばあちゃんの歌に乗って、ハイイログマと一緒に踊るとこ
ろで幕。いや、こんなに自分でもよくわからない感動で胸がいっぱいになったのは初めてだ
な。何というか、どうも南の縄文人の遺伝子が強そうなワタシって、北の縄文人の末裔を先
住民に持つ北海道で生まれ育った「北海道人」だったんだ、みたいな・・・。