尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

東京都北区の都議補選の結果を考える

2020年07月20日 22時26分36秒 |  〃  (選挙)
 2020年7月5日の東京都知事選に関しては、先に2回書いた。もっと書きたい感じもしたが、特に情報も持ってないし、批判を書くだけだから止めることにした。しかし、「山本太郎の選挙戦をどう考えるか」「桜井誠の約18万票の得票をどう考えるか」などは重大な問題だろうとは思っている。これで終わりでもいいんだけど、都知事選と同時に「都議会議員選挙の補欠選挙」が5地区で行われた。全部自民党が勝利したのだが、それは当然だろう。都議選は本来「大選挙区」で行われるが、今回は全部定数1の「小選挙区」だったのだから。

 その中で、特に北区の都議補選女性候補5人の戦いとなった。さらに小池都知事の与党である地域政党「都民ファーストの会」が独自候補を唯一立てて、どの程度の得票になるかが来年の都議選に向けて注目された。この地区の開票結果をもとに、「コロナ禍」の選挙で何が変わったのかを見てみたい。最初に書いておくが、結果を分析しても全然面白くない。だからすぐには書かなかったんだけど、一応知っておいてもいいかなと思って書き留めることにした。

 ところで何で補欠選挙が行われたのだろうか。2017年の都議選で再選された音喜多駿(おときた・しゅん)が2019年の北区長選に出馬したことで、1議席が空白となったのである。音喜多は区長選に惜敗したが、7月の参院選東京選挙区に「日本維新の会」から出馬し、定数6のうち6位ながら当選した。音喜多は2013年に「みんなの党」から当選し、その後書くのが面倒だから省略するけど、いろいろと渡り歩き2017年は「都民ファーストの会」でトップ当選した。以後も迷走が続き、区長選には「あたらしい党」という名前だった。

 今回の開票結果は上の画像通りだが、ちょっと過去にさかのぼって調べてみる。2013年までは「定数4」だった。2017年から「定数3」に削減された。2009年は民主党政権成立直前で、都議選でも民主党が圧勝した。「民・民・自・公」で共産党が落選した。2013年には民主党が惨敗し共倒れして、「自・公・共・みんな」となる。自民(高木けい)は約3万4千票、公明(大松あきら)は約2万8千票、共産(曽根肇)は約2万5千票、最後の音喜多は約1万3千票だった。

 2017年都議選では、「都民ファースト・公・共」となって、自民が削減分の第4位になって落選した。トップの音喜多は約5万6千票、公明は約3万4千票、共産は約3万票、自民は約2万9千票、最下位で民進党の和田宗春が8千3百票だった。今回は音喜多辞任によるものだから、本来は「都民ファーストの会」が欠員となるが、音喜多は「維新」に移った。「維新」も出ているので、むしろそっちが音喜多票の後継になる。公明と共産は現有議席があるから、今回は公明は自民を、共産は立憲民主を推薦して選挙協力を行った。

 自民新人の山田加奈子は公明の票もあるから盤石のはずだ。結果は5万2225票で、ダントツのトップだった。しかし、2017年の自公票の合計は約6万3千票あるはずで、1万票ほど少ない。次点の立憲民主、斉藤里恵3万6215票だが、これは前回の共産+民進票(3万8千票)とほぼ同じである。3位が維新の佐藤古都で、3万3903票、次が「都民ファーストの会」の天風いぶきで、2万3186票。合わせると5万7千ほどで、これは前回の音喜多票とほぼ同じだ。

 今回は他に「N国」(ホリエモン新党)の新藤加菜が6126票で、この票はどこから出てきたのか。投票率は前回が57.16%で、今回が57.69%だからほぼ変わらない。都知事選の得票を見てみると、小池=9万7776票、宇都宮=2万2729票、山本=1万6547票、小野=1万5091票となっている。(桜井=4806票、立花=1156票)宇都宮+山本票は、ほぼ斉藤里恵票と同じだが、維新票は半分以上が小池に流れたのだろう。自公票はほぼ小池なんだろう。

 ここは衆院選小選挙区では足立区西部とともに「東京12区」である。東京唯一の公明党立候補区で、太田昭宏前代表の選挙区だ。2009年には民主党の青木愛が勝って、太田代表が落選した。2012年に復活して、2014、2017と当選した。年齢の関係で今期限りの勇退が決まっていて、比例区北関東ブロックで3回当選の岡本三成が小選挙区に回ることがすでに決まっている。北区在住と出ているが、知名度的には太田に大きく負けているだろう。次の衆院選も近い中、今回の都議補選できっちりと自民に「自公協力の価値」を示したわけである。

 一方、立憲民主党と共産党の選挙協力は何のプラス効果も生まなかった。維新は東京でも、「大選挙区」の都議選なら当選可能性を示している。全体として、全国のいろんな選挙を見ても、多少の波乱はあるものの大体は予想通りの結果になっている。コロナ禍で政治不信は高まったが、投票行動に大きな変化は見られない。街頭の選挙運動がほとんど出来ない状態では、有権者も今までの選択を維持しているのかと思う。ということで、全然面白くない結論になるが、日本はコロナでも変わらないらしい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大森立嗣監督の傑作「MOTHER ... | トップ | 「のぼる小寺さん」、青春部... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

 〃  (選挙)」カテゴリの最新記事