尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

不動産があれば自分じゃ難しいー相続を考える②

2024年05月01日 22時15分44秒 | 自分の話&日記
 今回相続をやってみて、一番感じたのは「不動産の有無」が問題だということだ。遺言がない場合、相続人が二人以上いると「遺産分割協議書」を作ることが多い。なくても出来るかもしれないが、銀行などの相続手続きを頼むと提示を求められる。その協議書は司法書士に作って貰える。司法書士事務所は調べるとあちこちにあるから、最初は自宅近くの司法書士に頼みに行ったのである。そうしたら自分では出来ないと断られてしまった。それは不動産があったからである。

 不動産、つまり土地や家屋がある場合、司法書士には出来ないと言われたのである。司法書士が誰か紹介してくれるのかと思うと、相続に詳しい税理士を別に見つけて欲しいという。そこでネットで探して、総合的に展開しているサポートセンターに頼んだ。結果的にそれで良かったと思う。母親が良く行っていた銀座松屋デパートのすぐ裏に事務所があったのも何かの縁だろう。

 やって驚き、よく「権利証」が大事だと言われる。後生大事に取っている人が多いだろう。母親もわざわざ銀行の貸金庫なんか借りて保管していた。この貸金庫を開けるまでも大苦労だったが、今はそれは省略。そんな大事な権利証が今はないのである。僕も相続の時には権利証が必要になると思っていたが、全く不要だった。売却するには必要なんだろうが、相続には不要。

 そして今は「登記識別情報通知」というものに変わっていた。それは12桁の符号(パスワード)で、不動産及び登記名義人となった申請人ごとに決められるという。それの通知書が従来の権利証に変わったのである。このパスワードは封印されていて僕は知らない。売却することでもなければ開けない方が良いと書いてある。次の所有権移転時の本人確認用に必要という話。
(登記識別情報通知書=見本)
 これは知らない人多いんじゃないかと思う。この新しい登記方法も、その気になれば誰でも出来るというけど、シロウトだと何度も通うことになると大体書いてある。よほど頑張れる条件があればともかく、相続財産がある程度あるならどこかに頼む方が良い。信託銀行はなかなか手数料が高いから、ネットでいろいろ探した方がベターだと思う。
(相続登記が義務化)
 4月から相続登記が義務化されたのは聞いている人が多いと思う。当然のことだが、自分が住んでる不動産なら登記はするだろう。と思うと能登半島地震のニュースでは何代も登記せずにいたという話が出ていた。都市居住者の場合、売買がひんぱんだから登記はしていることが多いはずだ。登記すれば、その人に固定資産税の納税通知書が送られてくる。大事なのは権利証よりこっちで、きちんと取って置く必要がある。親と別居している人は気を付けていないと後で困る。

 ところで僕の世代だと親が不動産を取得した人が多く、その住居で成人したケースが多い。女性の場合、80代を越えて90代、さらに100歳まで生きる人も多い。2023年は関東大震災(大正12年)から100年だった。つまり、大正末から昭和ヒトケタ生まれということになる。この世代だと、戦争と結核で大きな犠牲を被った。自分の両親もそうだが、そこを乗り越えられた人は壮年期に高度成長時代を迎えたのである。(戦争で男が戦死したので、結婚出来なかった女性も多かったが。)

 自分の場合、小中学校のクラスメートは大体自宅に住んでいた。都市近郊に育ったが、農業地帯がどんどん開発され、住宅地に変わっていった。同級生に農家もいたが、それより開発された住宅を買って移り住んだ人が多い。1970年頃にはほぼ高校に進学するようになっていて、同級生も二人を除き高校に進んだ。自分の場合、進学高校から大学へ進んだので、多分そこで出会った同級生も似たような境遇だと思う。典型的な都市中産階級である。

 その世代が買い求めた住宅が、いま相続時期を迎えているのである。僕の周りでも、多少遅い早いがあるのは当然だが、この10年ぐらいで親が亡くなった人が多い。自分は都市近郊で、そこに同居して住むことが可能だった。教員という地方公務員は、(交通機関が多い東京では)異動しても自宅から通勤可能だからである。これが地方出身者の場合、実家をどうするというのは大問題だろう。取りあえず自分の場合は、親が買った不動産の処理をしたわけである。

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