尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

熊本大地震の衝撃-次は関東?

2016年04月16日 23時34分23秒 |  〃 (震災)
 熊本県で大地震が続いている。4月14日(木)の夜9時25分頃、テレビでニュースを付けていたら「緊急地震速報」が流れた。その日、直前に東京で震度2ほどの地震があったばかりなので、それが前震で今度は東京に本震が来たのかとちょっと身構えてしまった。が、よく見れば画面では熊本県と出ていて、直後に「熊本県で震度7を観測」という緊急ニュースが流れた。その後、それは「益城町」と出て、位置も知らないし読み方すらわからない。調べると「ましき」と読んで、再春館製薬所の本社があるところである。土曜になると、死者9名、熊本城にも大被害という状況が伝わってきた。

 その後も「余震」が続いていたが、16日(土)午前1時25分頃に、震度6強、マグニチュード7.3の大地震が起きた。それを受けて、気象庁は14日の地震は「前震」で、16日未明の地震が「本震」だと発表した。そんなことがあるのか。震度5以上の地震は14回続いているそうで、断層地震でこれほど大きな地震が続くことは確かに稀らしい。地震は阿蘇から大分県にかけても被害をもたらしている。今夜から雨風も強くなるという予報で、屋外に避難している人も多いという話だから大変な状況。

 僕は2011年9月に熊本へ行ったことがある。(ハンセン病や教員免許更新制等の問題に関する熊本行だったのだが。)その前にも、阿蘇や人吉などを旅行している。九州は自分の車で行くには遠いので、あまり行ったことがないのだが、それでも山や温泉に何度かは行っているわけ。でも熊本の街中はは5年前が初めてだったので、熊本城にも行った。その時の写真を見つけてみると、こんな感じ。これかどうかは判らないが、この城壁が崩れたとは驚きだ。
 
 政治状況にも影響を与えると思うが、それは後で考えるととして、「地震」をめぐって今後の事を考えてみたい。今回は「断層」の動きによるものだから、地震そのものは局所的である。「日本が大変だ」などというレベルではない。ただ、九州中央で起こったことにより、福岡と鹿児島を結ぶ九州新幹線や九州自動車道などがストップしている。また熊本空港も本震により使えなくなった。そのことが支援活動や物流に大きな影響を与える可能性がある。

 また、断層はさらに大分県にも続いている。今後、四国へと「中央構造線」に影響を与える可能性を指摘する声もある。大分から四国へと続くと、四国電力の伊方電発がある。だけど、僕にはそれ以上に、まだ動いていない日奈久断層帯南部の方に影響があるかもしれないと心配である。熊本県南部だけど、その先に鹿児島県西北の出水断層帯がある。その場合、現在ただ一つ稼働している川内原発に近くなる。日本の主要活断層については、「活断層地図 主要活断層 98断層帯のリスト」というサイトが判りやすい。布田川・日奈久断層帯も出ている。

 もう一つ、「過去の地震を訪ねて、歴史的な経験に学ぶ」ということである。文科省は大学の文系学部の再編を求め、「文科系学問の価値」が改めて問われている。だけど、「文系」「理系」などという分け方自体を問い直す必要がある。「3・11」以後、歴史学の中で「災害史」が本格的に扱われてこなかったことへの反省がある。歴史学だけでなく、地理学、考古学、民俗学などの研究者が、地震や火山、土砂災害などの研究者と手を携え、列島に生きた人々の過去の経験を問い直し、学んでいく必要がある。理系の人も、古文書を読むまではともかく、自分の生きている場所の過去の情報に深い関心を持つ必要があるだろう。歴史学の中では、磯田道史氏が有名である。朝日新聞土曜版に連載され、中公新書で刊行された「天災から日本史を読みなおす」は必読。

 その磯田さんが16日の朝日新聞で指摘していた事実を紹介しておきたい。熊本県は決して地震がなかったわけではないが、前回の大きな地震は1889年なので、経験者がいない。今までも熊本城が崩落するような地震も起こってきたのである。中でも、1625年に起きた地震に注目するべきだという。この時は熊本城で火薬庫が爆発したという。年表を見ると、その前の1619年に同じ熊本の八代で大きな地震が起きている。さらに注目するべきは、「3・11」のちょうど400年前の1611年、「慶長三陸地震」が起きていることである。M 8.1の巨大地震で、津波で数千人の犠牲が出た。同じ年、「会津地震」も起きている。その4年後、1614年に日本海側の新潟県直江津沖で「高田領大地震」、1615年に相模、江戸に地震。1616年に再び宮城県沖地震で三陸地方に大津波。そして、1619年に八代地震、1625年に熊本地震。1628年に江戸で地震があり、江戸城の城壁が崩れる。そして、1633年に、寛永小田原地震で、1635年に江戸で大きな被害を出す地震

 日本ではどこでも地震があると思うべきだろう。過去に起きた通りに地震が起きるわけではない。だけど、ちょうど400年前にはこういうことがあった。東北地方で大地震があり、その後新潟や熊本で大きな地震が続いた。そして10数年後には江戸、相模に大きな被害が起きる地震があった。これを思う時、「首都圏」も十分に覚悟していなくてはいけないということはますますはっきりする。400年前のことだけど、決して無視はできない。過去の歴史を知ることは大切だ。
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