尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

今は安倍派の責任追求が優先だー岸田首相退陣要求の前に

2023年12月24日 22時25分11秒 | 政治
 クリスマスを迎え、今年は「聖地」の辺りもきな臭くなってしまった。ガザもウクライナも、その他の地域もクリスマスや新年の休戦などないらしい。日本人が能天気にケーキなど食べ、イルミネーションを楽しむのもどうなんだと思う。が、まあ取りあえずの小さな幸福を奪うまでもないか。いま、安倍派など自民党各派閥の政治資金問題が政界を揺るがしている。12月上旬に書いたままになっているので、その後の展開と合わせて書いておきたい。来年まで書くまでもないかと思っていたが、「今こそ岸田首相の退陣を」なんて真顔で言ってる人がいるようで、ちょっと書いておきたいのである。

 12月13日に臨時国会が終了し、すぐにも強制捜査が始まるかと思われたが、なかなか行われなかった。結局、12月19日になって安倍派二階派の事務所に家宅捜索が入った。遅れたのは全国から検事を集める態勢作りに時間が掛かったからだとも言われる。この問題が騒がれてから1ヶ月以上経ち、もう証拠などすべて隠滅されているのではないか。と思うと、案外そうでもないらしいという話だ。職員、秘書なども自分だけ責任を取らされるのを避けるため、メールなどでの指示、あるいは録音などを残していることが多いという。そう言えば、週刊文春なんかがよく音声データを公開している。
(安倍派、二階派に家宅捜索)
 今自分が国民の一人として言えることは、「この捜査の決着のあり方に声を挙げていくことが大事だ」と思っている。現時点で岸田内閣は総辞職せよなどと言うのは、捜査妨害の安倍派擁護である。岸田首相が辞任を表明しても、次の首相は与党第一党の自民党から選ばれる。経済も外交も問題山積のなか、自民党総裁選のために1ヶ月も空費するのか。そして「河野太郎」(マイナ保険証推進責任者にして、批判を許さない「ブロック太郎」)、「高市早苗」(エキセントリックな極右で、官僚に責任を押しつける体質)、「上川陽子」(オウム真理教死刑囚の大量執行命令者)、「小泉進次郎」(第二子誕生一ヶ月だから育児休業するべきだ)なんかが次の首相になるかもしれない。つまり今より悪い首相が登場するのがオチである。

 それを言うなら、今の国会構成を変えるべきであり、直ちに解散・総選挙をするべきだという意見もあるだろう。しかし、いま衆院選をやっても何が変わるだろう。自民党安倍派議員の「みそぎ」になるだけだ。野党がバラバラになっている状況は、それなりの理由があってそうなっているので、良いとも悪いとも決めがたい。ただ、野党がバラバラなままでは自民党が漁夫の利で勝つだけだ。それは野党の問題だとしても、責任を負って辞任するべき政治家がそのまま出馬して当選してしまう事態が起きてしまう。

 それでは今何を発言するべきか。それは「安倍派幹部の刑事責任をきちんと追及する」ということだ。与野党通じて、また自民党他派閥でも政治資金報告書の不記載はあるだろう。それはまず第一に会計責任者の責任である。それで良いのかという法改正問題はあるが、とにかく今は法律でそうなっている。だから安倍派や高額不記載議員の政治団体の会計責任者が起訴されることは確実である。だが、それ以上に議員本人が訴追されるかは微妙な問題になる。確実な指示、あるいは了解などの証拠がない限り、刑事責任を問うのは難しい。かの「桜を見る会」問題でも、秘書は略式起訴されたが安倍元首相は結局逃げ切れたのである。
(これが今年の安倍派パーティー)
 ところが今回の安倍派問題は全く様相が異なっている。マスコミでは誰がいくらキックバックされたかなどと報道されている。しかし、それも問題かもしれないが本質ではない。問題は「安倍派そのもの」にある。安倍派主催のパーティーなんだから、それは安倍派の収入だが、還流分不記載の額は総計5億円とも言われる。それをノルマ以上に売っていた議員に戻したというんだから、支出の不記載額も5億円になる。合計すれば10億円になるが、さらに参院選のある年はそもそも改選議員は派閥に収めなくてもよかったという話も出ている。つまり、10数億円の不記載という政治資金規正法違反事件上に類例を見ない悪質な事件なのである。

 もちろん、この不記載は会計責任者の職員が決められる問題じゃない。また、個々の議員側のミスで不記載だったのでもない。派閥ぐるみの方針で決められていたのである。従って会計責任者はむしろ従犯であり、主犯は方針を決めた派閥幹部である。それは誰だろう。僕には判らないけど、安倍派の有力議員には多かれ少なかれ責任があると思う。しかし、恐らく責任を認めて略式起訴に応じるのはごく少数だと思う。検察側も何十人も訴追するとは考えられない。検察が訴追するとしたら、多額な不記載があった数人、派閥の意思決定に責任があると証拠上固められた1人~数人に絞られると思う。

 略式裁判を選ばず正式裁判をするとなると、決着まで数年は掛かるから次の選挙に出られる。ましてや不記載があっても、数多くの安倍派議員が不起訴になるだろう。それに対し「検察審査会」に申立てをする人が出て来ると思うが、それでも大部分は逃れられるだろう。問題はそれで良いのかということだ。検察は国民の反応をよく見ていて、厳しく監視していかないとほんの僅かの議員を訴追して終わりにするだろう。そしてどんなに検察が捜査しても、証拠上政治資金規正法違反の共犯容疑を固められない議員が相当数出て来ると予想される。問題はそれを許したままで良いのかということだ。

 かつて東京佐川急便事件で当時の金丸信自民党副総裁が在宅のまま略式起訴になったことに国民の批判が殺到した。その結果、本人が議員辞職するに至った。今回も刑事責任を辛くも逃れたとしても、明らかに政治責任がある政治家には議員辞職を要求していかなければならない。つまり、次の選挙に出てはいけない人をはっきりさせることが最優先だと考えている。そのプロセス抜きで選挙をやっても、選ぶべきじゃない人を選んでしまう。選挙に出ちゃいけない人が一杯いるはずだ。安倍派だけで数十人になるかもしれない。そのプロセスが終わってから選挙をやりましょう。それまでは岸田内閣でやって貰うことになるけど仕方ない。

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