尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「ピーク時電力不足」への対応問題

2011年06月26日 22時37分01秒 |  〃 (原発)
 「電気というもの」「節電とは何か」ということについて、何回か断続的に書きたい。(東電の責任というテーマが終わってないが、それはまた後で。)
 今年はとにかく節電である。例えば、箱根登山鉄道が恒例の「あじさい列車」の夜間ライトアップを今年はしないという記事があった。ホームページには、「今年(2011年)は電力需給状況から夜間のライトアップは中止とさせていただきます。光に彩られたあじさいの観賞をお楽しみにお待ちいただいたお客さまにおかれましては、大変申し訳ございませんが、何卒、ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。」と書いてある。しかし、これはおかしいのではないだろうか?

 なぜ今年は例年以上に節電が叫ばれるのだろうか。僕が思うに、節電には3つまたは4つの理由が考えられる。
経費節減。景気低迷、震災で企業利益が減り、家計、税収も減ってるから経費を節減しなくてはならない。
地球環境への配慮。火力発電で出る二酸化炭素量を減らすために、電気を節約する。
原発事故で夏のピーク時電力供給に不安がある。大規模一斉停電を避けるために、電力を節約しなくてはならない。
④もう一つ、震災以後の「自粛」ムードに配慮して、今年は派手な行事を止めたり、「震災に配慮してます」というポーズのために電気をつけず暗いままにしておく。

 ④は理由になってないが、実際は批判されないために④の理由で節電してることも多いのではないか。①②は昨年もあるが、今年特に節電というのは、③の「ピーク時供給への不安」からのはずである。だから節電対策はピーク時の電力需要を減らすことが中心でなくてはおかしい
 
 6月だというのに急に暑い日が続き、東電管内では需要が供給の「90%」を超えた日が出た。その時のピークは午後2時から3時だという。毎日電力予想が出てるが、ピークはいつも午後2時頃になっている。これは常識で理解できる。
 だから、夜寝るとき暑い日があったら、その時は会社や工場はほぼ休んでて電力は余ってるからクーラーを控える必要はないはずである。節約したいとか健康に悪いとか別の理由ならともかく、電力事情だけを見れば大丈夫なはずだ。
 箱根登山鉄道に関して言えば、むしろ昼間は来ないでくれ、夜のライトアップは今年もやるから、できるだけそっちに来てくれというのでないとおかしくないか。説明として「電力需給状況」を理由にしてるなら、「ピーク時の電力供給」を下げるため客を夜に回す方がいいはずだ。

 今いろんなところでやってる節電対策という名のサマータイムとかクールビズとか、皆「ピーク時の電力需要を下げる」という対策にはあまりなっていない。家庭に対して、脅しのように節電しろというだけなので、このままでは熱中症になるお年寄りが増えるだけで大変なことになる恐れがある。

 しかし、ではピーク時電力需要を下げるにはどうすればいいのだろうか
 安斎さんは先に紹介した本の中で「朝日新聞に対して、高校野球を秋にすればと言った」という話を書いてるけど、朝日もそう言われても甲子園はすでに押さえてある以上困るだろう。しかし、決勝戦は朝にするとか、阪神は「死のロード」に出てて夜も空いてるんだから、大胆に「シエスタ」を取る(第3試合の開始を午後5時頃にする)などの対策はできるはずだ。

 では、同じような発想で映画館なんかも午後の上映は中止にしてしまうというのはどうか。いやしかし、もっと考えてみると話は逆で、平日の午後の映画は無料にしてしまうほうがいい。家でクーラーつけてテレビを見てる元気な老人、夏休みで部屋に引きこもってゲームしている青少年諸君が、できるだけ近くのシネコンに映画見に行った方が効率がいい。どうせ映画館は冷やしてるんだから、皆が利用して家庭のクーラー使用を減らした方がいい。まあ無料はともかく、「平日午後の映画は1000円」ならどうか。ペイするのではないか。またスーパーなども「平日午後安売り」を行う。地域商品券も「平日午後使用の場合のみ割引」にして行政が売り出してはどうか。もっともこうして暑い時に出歩くのがいいかどうかという問題もあるが。
 といろいろ思いつくのだが、こういうアイディアを出しあう方がいい。そして夜の電力は大丈夫だとアナウンスするべきだと思う。(夏休みに夜間照明を過度に抑えるのは犯罪対策上疑問だ。)

 もちろん、僕はむやみにキンキンギラギラするのは好きじゃないから、節約するべきはした方がいいと思っている。しかし、この世はとかく住みにくい。憂きことばかり多い。そういう時には「たまにするちょっとしたムダ使い」はとてもよく効くクスリとなる。昼間の電力事情を気にするあまり、夜もガマンしてストレスをためたらおかしい。(観点を少し変えて、この問題を続けたい。)

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