工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

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死ぬための生き方

2007年10月01日 20時04分30秒 | 気になるニュース
こんばんは、院長でございます。
今日は非常に残念な話題から。

悲痛…吉田美和 33歳の夫が急死(スポーツニッポン) - goo ニュース

まだ33歳の若さですからねぇ・・・。運命の前では人間ってこうも無力なものなのでしょうか。いろいろと考えさせられる悲報です。
お昼に偶然ホンダ・オデッセイのCMを観ましたが、何ともいえない物悲しさを感じてしまいました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。



もうひとつ。



町工場を世界企業に 起業家草分け、鬼塚喜八郎氏死去(神戸新聞) - goo ニュース

先月29日、僕が大好きなオニツカタイガーの創始者で、現アシックス会長である鬼塚喜八郎氏が亡くなったそうです。一代でアシックスを世界に誇れる大企業に成長させ、日本人に限らず世界中のトップアスリートから支持され、そしてスポーツ振興に尽力したその功績は計り知れません。
ご冥福をお祈り致します。



私の手元には『死ぬための生き方(新潮社)』という本がございます。この本を見つけた小学生の子に「この本の題名、意味わかんないんだけど(-_- )」と言われた事がございますけれど、まだまだ若いなお主、という言葉がふと頭に浮かぶってのが『鍼のおっちゃん』と呼ばれる所以でもありましょうか。
まぁ古い本でございましてね。昭和63年発行という20年も前の本なのですが、この本には各界の著名人42人の死生観が一同に集約されており、大変興味深い一冊となっております。
そしてこの本を締めくくる42人目は私の大好きな解剖学者・養老孟司氏なのですが、氏は「解剖学者から見る死の哲学」という寄稿において、非常に個性極まる死生観を語っております。
「死んだ本人にとっては死に方も生き方も区別はなく、今生きている以外の状態はない。死んだ後は他人の問題であって私は知らない。」だから「実は死というのは所詮は他人事だ」と。
自分の死は他人事。何だかわかったようなわからないような言い回しですが、全くもってその通り。なぜか妙に納得してしまう私ですが、この後に続くお父様の死に関する件に私は大きな感銘を受けたのであります(このお話は確かご自身の出版物でも触れられていたように思いますので、知っている方も多いのではないでしょうか)。

氏は30歳を過ぎるまで人とまともに挨拶を交わした事がなかったのだとか。なぜそんな人間になってしまったのか自分でもわからなかったそうなのですが、氏はある日ふと気付きます。
氏のお父様は、氏が3歳の頃に亡くなられたのだとか。目の前でにっこりと氏に微笑んですぐ喀血して絶命したそうなのですが、その当時氏はわずか3歳。子どもながらにその異常な光景に圧倒されて声も出せず、周囲に促された最後の挨拶もできなかったそうです。あまりに現実離れした出来事に、お葬式でも泣けなかったといいます。
それから30年経ったある日。
地下鉄に乗車中、「父にもしなかった挨拶を他人にする事ができるか」「他人に挨拶をする機会に出会うごとに、罪の意識を認識していた」という潜在的な思いを抱いている事に気付き、「他人に挨拶をしない限りは、父はいつも私にとっては生きていたのである」「だから数十年経って初めて父の死に気付いた時、私は地下鉄の中で突然泣いた」というのです。

「死者を生かすも殺すも、それは生きた人間の所業である。」

氏にとって、お父様の死というのは『地下鉄で人目もはばからず泣いた日』なのです。実際に目の前で亡くなる姿を見ていたというのに、それから30年もの長い間、氏のお父様は氏の中では生きていた・・・。
それが幸か不幸かは私にはわからない事です。
ですが、その人の死を認めてあげなければその人は死ぬに死ねない状態になっているのでしょうし、そういう状況にしてしまっているのは残された者であるという事実。あるいは、他人が死を認めない以上はその人は死なないし、それは他人に与えられた使命でもあるという事実。いずれの解釈にしろ、残された者はそれらをきちんと認識して生きて行くべきなんだろうなぁってね、この文章に出会ってそんな事を考えるようになりました。



最後に、最愛の妻が発した名言を。



「あんたが今死んだら私は遺族年金をどれくらいもらえるの?」



ああ、あたしゃこれ、死んだらすぐ成仏できるなぁってね。
そう思ったら死にたくなってきました_| ̄|○
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