昨日学術大会の会場でお話しした先生からお電話を頂きました。
つたない発表でしたが、その内容に興味を持って頂いたそうです。ありがたい話でございます。
これは個人的なメッセージになってしまうんですけどね。
偉そうな事は言えませんけど、何か伝わるものがあればいいなぁ。
かなり昔のお話ですが、開業直後からご来院頂いていたおばあちゃんがおりましてね。時々ご来院頂いては腰が痛いとか、肩が凝ったとか、そんな治療をしておりました。3年ほど定期的に来てくださっておりましてね。畑で作った野菜を頂いたり、おばあちゃんには本当にお世話になりました。
そんなおばあちゃん、ある日突然、ぱったりとお見えにならなくなりましてね。
半年ほど経ったある日、おばあちゃんから「往診に来て欲しい」と電話がございました。久しぶりに声を聞けて私も嬉しくてね。張り切って往診へ出かけましたら、あんなに太っていたおばあちゃんがげっそりとお痩せになって、ベッドから起き上がれない状態になっておりました。ご家族の方に事情を聞いても何も教えてくれないのですが、おそらく本人にも告知していない消化器系の末期がんだったのでしょう。
背中が刺すように痛いと申しておりまして、おばあちゃんは非常に苦しそうにしておりました。脈を診てもわけわかんない。普通じゃないっていうのはわかるんですけどね、どうしたらいいものか、皆目見当もつかないわけですよ。何とか治療を始めたのですが、治療中も頻繁に黄色い胃液を吐くんです。横向きに寝てもらって吐きながらの治療でしたが、治療後は「楽になった」と言ってくれるんですね。本当に楽になっていたのかどうかはわかりませんでしたが、私は毎回必死に拝見させて頂きました。その日から1ヶ月ほど通い、毎回治療後には「楽になった」と言ってくださいました。間もなく、おばあちゃんはお亡くなりになられました。
今でも思いますよ。3年も通ってくれていたのに、あたしゃ何の異常も察知できなかったと。
もう少し注意深く脈を診ていれば、もう少し私に経験があったなら、もしかしたらあんなに進行する前に気付けたかもしれない。おばあちゃんがあんなに苦しむ事もなかったかもしれない。たくさんの後悔が頭をよぎりました。
おばあちゃんは毎回「楽になった」と言ってくれました。でもね、楽になんてなっていなかったと思いますよ。苦しいに決まってますもん。あんなに激しく吐いていたのですから、その言葉はきっと本心ではなかったと思うんです。それでも私を家に呼んでくださって、身体を診せてくださいました。
とっても悲しい出来事でしたが、ただ単に「悲しい」「悔しい」で終わらせる事は出来ません。おばあちゃんは最期の最期、自分の命を以って私に重篤な消化器系の病の際に出る脈を診せてくださいましたし、死脈を教えてくださいました。
私はこの経験を無駄にはしません。
つたない発表でしたが、その内容に興味を持って頂いたそうです。ありがたい話でございます。
これは個人的なメッセージになってしまうんですけどね。
偉そうな事は言えませんけど、何か伝わるものがあればいいなぁ。
かなり昔のお話ですが、開業直後からご来院頂いていたおばあちゃんがおりましてね。時々ご来院頂いては腰が痛いとか、肩が凝ったとか、そんな治療をしておりました。3年ほど定期的に来てくださっておりましてね。畑で作った野菜を頂いたり、おばあちゃんには本当にお世話になりました。
そんなおばあちゃん、ある日突然、ぱったりとお見えにならなくなりましてね。
半年ほど経ったある日、おばあちゃんから「往診に来て欲しい」と電話がございました。久しぶりに声を聞けて私も嬉しくてね。張り切って往診へ出かけましたら、あんなに太っていたおばあちゃんがげっそりとお痩せになって、ベッドから起き上がれない状態になっておりました。ご家族の方に事情を聞いても何も教えてくれないのですが、おそらく本人にも告知していない消化器系の末期がんだったのでしょう。
背中が刺すように痛いと申しておりまして、おばあちゃんは非常に苦しそうにしておりました。脈を診てもわけわかんない。普通じゃないっていうのはわかるんですけどね、どうしたらいいものか、皆目見当もつかないわけですよ。何とか治療を始めたのですが、治療中も頻繁に黄色い胃液を吐くんです。横向きに寝てもらって吐きながらの治療でしたが、治療後は「楽になった」と言ってくれるんですね。本当に楽になっていたのかどうかはわかりませんでしたが、私は毎回必死に拝見させて頂きました。その日から1ヶ月ほど通い、毎回治療後には「楽になった」と言ってくださいました。間もなく、おばあちゃんはお亡くなりになられました。
今でも思いますよ。3年も通ってくれていたのに、あたしゃ何の異常も察知できなかったと。
もう少し注意深く脈を診ていれば、もう少し私に経験があったなら、もしかしたらあんなに進行する前に気付けたかもしれない。おばあちゃんがあんなに苦しむ事もなかったかもしれない。たくさんの後悔が頭をよぎりました。
おばあちゃんは毎回「楽になった」と言ってくれました。でもね、楽になんてなっていなかったと思いますよ。苦しいに決まってますもん。あんなに激しく吐いていたのですから、その言葉はきっと本心ではなかったと思うんです。それでも私を家に呼んでくださって、身体を診せてくださいました。
とっても悲しい出来事でしたが、ただ単に「悲しい」「悔しい」で終わらせる事は出来ません。おばあちゃんは最期の最期、自分の命を以って私に重篤な消化器系の病の際に出る脈を診せてくださいましたし、死脈を教えてくださいました。
私はこの経験を無駄にはしません。