大きくなったら何になる？

日に日にお天道さんが沈むのが早くなって参りましたねぇ。夕方6時過ぎにはもうすっかり日が落ちてしまいます。
夕闇のブルーにまぎれて今彷徨う・・・と歌いましたのは90年代に静かな繁栄を迎えたスターダストレビューの根本要さんでございましたが、その夕闇のブルーにあたる時間帯はきっと会社帰りの時間帯にでも該当するでしょうか。私、中学時代にこの楽曲を耳にして以来、「きっとオイラもトワイライトアベニューな社会人になるんだろうなぁ」などとわけのわからない未来を想像しておりました。それがどういうわけか、気付けば今は夕闇のブルーを窓から眺める鍼灸師。
全く、何がきっかけで未来が変わるかわからないものでございます。

子どもの頃はスーツにネクタイという出立ちで会社に向かう、そんな未来を思い描いておりました。田舎育ちでしたから電車にゆられるという発想はなく、とにかく何らかの手段で会社に着き、自分のデスクに山のように積まれた書類を必死にチェックしたりなんかして。
何となくですがそんな大人になる日を夢見ていましたからね、昔の自分がタイムマシンか何かで訪ねて来ようものならそりゃ～あなた、さぞかし驚くだろうなぁと思います。いや、驚くというよりも、大人になった自分が漢字ばかりの古い書物を読んだり白衣着て鍼持ってたりするのを見たら、「スーツは？ネクタイは？書類ペラペラしないの！？何の仕事してんの！？」とまぁ、そんな仕事があったのかと感心して唸っているかも知れません。

世の中にはいろんな人がいて、いろんな職業があって、皆各々がいろんなかたちで社会に貢献している。
それはごくごく当たり前の世の中の仕組みですが、日本という国がそんな社会だったなんて、子どもの頃の私は全く知りませんでした。

ですからね、自分の子ども達には同じような思いをさせたくないという考えは常に持っております。
働く事の意味、喜び、楽しさ、そしてそれだけではなく辛さや苦しさを知る事はとっても大切な事だと思うんです。そういう事を知った上で、世の中にはいろんな職業があって、その中から自分に向いている職業を見付けられたら幸せだと思います。
好きな仕事に就くために信念を持ってチャレンジできるかどうか。夢を持ってがんばれるかどうかが大事なんじゃないかなぁって。私、機会があるたびにそんな小難しいお話を坊主に致します。
まだ坊主には現実味の薄いお話ですからね、わかったんだかわかってないんだか「ふぅ～ん」とつれないお返事があるのみですけれど、そんな坊主も小学2年生になり、ここ最近は以前みたいに無邪気な顔して「警察官になりたい」とか「消防隊に入りたい」などとは申さなくなりました。どうやら坊主、この世には危険をともなう職種もあるんだという事に気付き始めたらしいのであります。

「死んじゃうかも知れないお仕事は嫌だなぁ」

「危なくないお仕事がいいなぁ」

それも立派な意見だと思うし、危険な仕事は向いてないって事に気付くのも大切だと思うよ。
ただね、そう思っているならその職業に就いてがんばっている人の事を尊敬できる人間にならなきゃダメだよ。そういう思いを大切にすれば、きっとおまえさんはでっかい夢を持った立派な大人になれるはず。

そんなお話をね、坊主と風呂に入りながらしゃべっておりましたが、この子はこの子なりに親の知らないところで大きく成長してるんだなぁって。
そんな風に感じてちょっぴり嬉しくもあり、悲しくもあり。