実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

なみえ創成小学校 実戦教師塾通信七百二十一号

2020-09-11 11:43:28 | 福島からの報告

 なみえ創成小学校

 ~「創成のとき」は~

 

 ☆初めに☆

「浪江町立なみえ創成小学校」の校長先生から、お話を聞く機会をいただきました。レポートには事務的な部分もありますが、部外者としてのたしなみと思ってもらえればありがたいです。

浪江の学校として真新しくスタートした姿には、苦労はもちろんですが、慎重に少しずつという気持ちを感じました。

 

 1 和合亮一

空と海が 青くめざめて

星はやさしく 雲を追いかけ

はじめのかなた 光をはこぶ

風にあこがれ 夜明けの道で

知る 学ぶ  想う 愛する

歌う 笑う  駆ける はばたく

季節は ぼくに  きみは 未来に

声は いのちに  鳥は こころに

虹をかけたい

なみえの朝だ 創成のとき

読者は、原発事故直後に「放射能が降っています 静かな夜です――」と書き発信した福島在住の詩人、和合亮一を覚えているだろうか。その和合亮一によって作詞されたのが、このなみえ創成小学校・中学校の校歌(引用は一番)だ。

 

 2 ここで生まれ育った

 門をくぐり、玄関に入る。

新しい学校の色や匂いが、あちこちから漂っている。校長室からは、夏の日に白く照らされる広い校庭や、フェンス向こうの家々が見えた。

全校生徒21名。昨年より2名増えている。一番多い学年は2年生の8名。特別支援の生徒をここにひとり加えれば、9名となる。一番少ない学年は5年生の1名。学校関係者でなくとも、これはよく吟味した方がいい数字と思える。クラスは7つ。つまり特別支援の学級と、一学年ひとつのクラス。通常こういう場合「複式学級」と言って、たとえば2、3学年一緒でクラスを構成する。しかし、ここでは復興推進加配教員を活用し、複式ではなく単学級での学習指導を行っている。この方法が阪神淡路大震災の時に生まれたものだと、私は知らなかった。しかしこれは、10年を区切りとする。東日本大震災から今年で10年なのだ。校長先生は、この期限が延長されることを願っている。

「子どもがひとり転入しても出て行っても、その時の職員配置が大変でね」

本当だ、そう言われて気がつく。

 中学校はどうか。全校生徒は5名。生徒に教える先生は10人。つまりひとりが一教科を担当する。私の暮らす千葉県東葛エリアで考えても、国語や社会の先生はだぶつくことがあり、美術や技術の先生がなかなか見つからない。だからここの大変さは、きっとひと通りではない。また全学年を教えても、担当する授業が少なすぎる教科が出てくる。従って教科によっては、その不足分を隣の南相馬市の学校まで行って教える先生がいるのである。

 今までの苦労や先立つ苦労ばかりを考えるのでしょうか、私は聞いてみた。そうではない、仕方ないというか、ありのまま受け入れて行くつもりだ、と先生は答えた。そして、

「私はここ(浪江)で生まれ育った人間です。最後までここにいたいと思っています」

と言って笑うのだった。校長先生は、退職まであと4年を残している。

校歌の一番は以下のように続く。

空よ 海よ 風よ 銀河よ

はじめの 光を 胸に 生きる

高瀬 請土 川は 明日へ

なみえの朝だ 創成のとき

 

 3 アライグマ参上

 楢葉町・渡部さん家でのレポートpart2です。

庭先は早咲きのコスモス、種類が違うそうだ。

檻(おり)の中に、驚きのアライグマ。同時に入らないと扉が閉まるというのに、どうやったら二匹もかかるんだろう。かかっている写真が一杯あった。渡部さんが網から太い棒を差し込んで、これでもかとアライグマをこらしめている動画も見せてもらった。しかしこいつらはちっともひるまず、棒に食いかかってくるのである。アライグマ恐るべし。その後どうするのかと思ったら、山奥に行って放してくるんだそうです。こらしめるのは、もう来るなよという意味なのである。私は能天気に、動物園で引き取ってくれないのかなと言うのだが、渡部さんは笑うだけだ。

首をのぞかせて、これは新しい家族の猫。玄関先の「家」だ。車のボンネットに入ってたという変な話。おばあちゃんのひと声で「同居」が決まったそうだ。お年を召し、行方不明となった「うーちゃん」の生まれ変わりでしょうか。

 

 ☆後記☆

前回の「☆」に、多くの反応をいただきました。ありがとうございます。そうですね、皆さん気付いてますね、総理は引け際もアグレッシブだったのです。無能な野党の「辞めろ」の声と、自身の体調不安の間で退陣のタイミングを見図らっていた、というあたりが核心でしょう。「内閣の実績」と「体調不安」は別問題、とすることも出来ない野党と踏んだのです。今は「専守防衛」再検討に、その後の攻勢を続けています。中央の政治にいい加減に嫌気がさしますね。方や北海道の寿都(すっつ)町ですが、これは最終処分場の是非が提案されたと考えた方がよさそうです。福島にあるのは「中間貯蔵施設」であることを、私たちは忘れてはなりません。それを見守る福島県は、トリチウム排水に関する全国的議論も呼びかける一方で、来月には東電を提訴する準備をしています。地方政治、頑張りましょう。

今年もコキアを植えました。だいぶ大きくなりましたよ。

藤井君、谷川9段に勝ちましたね!


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