浜通りの台風
~断水のさなか~
☆初めに☆
いつも宿泊するホテルから「断水のため、シャワーが使えませんが」という打診の電話をいただきました。どうやら伝えられるニュースをなめていたようです。
☆ ☆
いわき四倉の干物工場「ニイダヤ」に連絡してみると、やはり断水で製造が出来ないといいます。在庫を売ってしのいでいるという。停電が重なったら品物もダメになっていたはずです。不幸中の幸いと言っていいのでしょうか。
今回の福島行は、お見舞いとなります。
☆いわきで☆
かく言う千葉県柏も、我孫子から利根川を抜ける道があちこち通行止めになっての出発なのです。
福島に着くと、この日ちょうど給水が始まったという。大丈夫ですと言うホテルはフロントのお姉さんが、笑っていました。ロビーにはまだ「トイレはこれで流してください」と書かれた大型のタンクが置かれていて、そばにバケツがたくさん重なっていました。
いくつかの家にお見舞いに行きました。被害のひどいところの見当はつくのですが、見るために行くものではありません。途中で出くわしたところを写真に収めました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/13/466e90dc809a7349583204b5d9254690.jpg)
こんなに秋いっぱいの装(よそお)いのそばに、こんなところもあるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/55/ce07e7f9262b8c4fec915f7410b8de05.jpg)
ここは夏井川下流ですが、来る時に見た水戸北インターの「下界」が、土色にまみれていたのを思い出しました。
家屋の写真は遠慮しました。東日本大震災の時、私は初めの二週間、申し訳ない気持ちで携帯のカメラを使えませんでした。でも同じボランティアの若者が「これを報告しないといけない」と住民の方にことわりつつバシャバシャ撮っているのを見て、私もそうするようになりました。やっぱりもっと早くから撮るべきだったと、今も思います。でも、今回は撮りません。ニュース以上のものを伝えられない気がするからです。
☆考えさせられる☆
せっかくですので、ドラッグストアで買って行った水を配りました。久しぶりに会った人たちもいて、長くおしゃべりをしたのです。
今回いわきの川は、河口より市街地に水をあふれさせるという異例の状況でした。私の知っている方の地区を、何度かニュースが伝えたのが耳に止まっていました。行って良かった。ちょうど片づけが始まったばかりでね、というその家は隣の家まで水が入って、あわてて二階まで荷物を運んであったというのです。
震災の頃の話はやがて現在の双葉地区にまで及びました。フレコンバッグを見たことがありますかという唐突な質問に、ないはずがないと言いそうになり、私は思わず知らず口をつぐみました。ニュースではもちろん見ているのだろう、でも現物を初めて見たという衝撃を語るのです。仙台まで行くときに高速から見えたという。おびただしい数の、地面をふさぐ真っ黒な袋。
いわきから車で30分も行けば見えるものである。でも、それこそわざわざ見に行くものでもないのかも知れない。知らないでいることは、それはそれでいいことなのだろうか。
様々なことが頭をめぐりましたが、それが「風化」というには、余りにも無表情なものに思えました。
別な方の話です。最近は小名浜港に出来た大型ショッピングモールに良く出かけるという。ニュースでモールのことは知っていました。同時にそのニュースでは、以前賑(にぎ)わった桟橋(さんばし)付近の市場がすっかりさびれてしまったことも伝えました。地元産の刺身やわかめが格安で売っていた、元気な市場のことを思い出します。そのお客がみんなモールに流れてしまうという。残念ですねという私に、
次の日は楢葉の渡部さんのところにお邪魔したのですが、丘の上に出来た大型体育施設を「一体誰が使うんですか」という私に、
「ありゃあ東電の策略だよ」
という渡部さんなのです。こっちの人には必要なんだよとは言わなかった。
やっぱり福島に来ると色々考えさせられる、改めて思います。
☆後記☆
楢葉では以前行った小学校にお邪魔いたしました。校長先生にお付き合いいただいたことは次回書きたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/18/5408e8c4a7a018ba9e13edfcf3aaa1db.jpg)
渡部さんの母屋の畑。白菜が元気で、玉が大きくなるのはこれからだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/96/cef0a1755437b06e0c5611393e8ef9e5.jpg)
これはおばあちゃんの手作り。ご馳走になるばかりでなく、お土産にももらっちゃいました。大根と里芋が美味しい!
☆ ☆
香港の人たちから台風の義援金が届いたそうですね。
~断水のさなか~
☆初めに☆
いつも宿泊するホテルから「断水のため、シャワーが使えませんが」という打診の電話をいただきました。どうやら伝えられるニュースをなめていたようです。
☆ ☆
いわき四倉の干物工場「ニイダヤ」に連絡してみると、やはり断水で製造が出来ないといいます。在庫を売ってしのいでいるという。停電が重なったら品物もダメになっていたはずです。不幸中の幸いと言っていいのでしょうか。
今回の福島行は、お見舞いとなります。
☆いわきで☆
かく言う千葉県柏も、我孫子から利根川を抜ける道があちこち通行止めになっての出発なのです。
福島に着くと、この日ちょうど給水が始まったという。大丈夫ですと言うホテルはフロントのお姉さんが、笑っていました。ロビーにはまだ「トイレはこれで流してください」と書かれた大型のタンクが置かれていて、そばにバケツがたくさん重なっていました。
いくつかの家にお見舞いに行きました。被害のひどいところの見当はつくのですが、見るために行くものではありません。途中で出くわしたところを写真に収めました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/13/466e90dc809a7349583204b5d9254690.jpg)
こんなに秋いっぱいの装(よそお)いのそばに、こんなところもあるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/55/ce07e7f9262b8c4fec915f7410b8de05.jpg)
ここは夏井川下流ですが、来る時に見た水戸北インターの「下界」が、土色にまみれていたのを思い出しました。
家屋の写真は遠慮しました。東日本大震災の時、私は初めの二週間、申し訳ない気持ちで携帯のカメラを使えませんでした。でも同じボランティアの若者が「これを報告しないといけない」と住民の方にことわりつつバシャバシャ撮っているのを見て、私もそうするようになりました。やっぱりもっと早くから撮るべきだったと、今も思います。でも、今回は撮りません。ニュース以上のものを伝えられない気がするからです。
☆考えさせられる☆
せっかくですので、ドラッグストアで買って行った水を配りました。久しぶりに会った人たちもいて、長くおしゃべりをしたのです。
今回いわきの川は、河口より市街地に水をあふれさせるという異例の状況でした。私の知っている方の地区を、何度かニュースが伝えたのが耳に止まっていました。行って良かった。ちょうど片づけが始まったばかりでね、というその家は隣の家まで水が入って、あわてて二階まで荷物を運んであったというのです。
震災の頃の話はやがて現在の双葉地区にまで及びました。フレコンバッグを見たことがありますかという唐突な質問に、ないはずがないと言いそうになり、私は思わず知らず口をつぐみました。ニュースではもちろん見ているのだろう、でも現物を初めて見たという衝撃を語るのです。仙台まで行くときに高速から見えたという。おびただしい数の、地面をふさぐ真っ黒な袋。
いわきから車で30分も行けば見えるものである。でも、それこそわざわざ見に行くものでもないのかも知れない。知らないでいることは、それはそれでいいことなのだろうか。
様々なことが頭をめぐりましたが、それが「風化」というには、余りにも無表情なものに思えました。
別な方の話です。最近は小名浜港に出来た大型ショッピングモールに良く出かけるという。ニュースでモールのことは知っていました。同時にそのニュースでは、以前賑(にぎ)わった桟橋(さんばし)付近の市場がすっかりさびれてしまったことも伝えました。地元産の刺身やわかめが格安で売っていた、元気な市場のことを思い出します。そのお客がみんなモールに流れてしまうという。残念ですねという私に、
「コトヨリさんのような東京の人たち(私は千葉ですが、福島の人はこう言います)には珍しくないもんだからそう思うかも知れないけど、こっちの人にはモールがいいんだよ」
相手の方はこう言うのです。便利でなんでも売っている都会の人間には分からないことがあるんだよ、そんなことをきっぱり言われた気がしました。次の日は楢葉の渡部さんのところにお邪魔したのですが、丘の上に出来た大型体育施設を「一体誰が使うんですか」という私に、
「ありゃあ東電の策略だよ」
という渡部さんなのです。こっちの人には必要なんだよとは言わなかった。
やっぱり福島に来ると色々考えさせられる、改めて思います。
☆後記☆
楢葉では以前行った小学校にお邪魔いたしました。校長先生にお付き合いいただいたことは次回書きたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/18/5408e8c4a7a018ba9e13edfcf3aaa1db.jpg)
渡部さんの母屋の畑。白菜が元気で、玉が大きくなるのはこれからだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/96/cef0a1755437b06e0c5611393e8ef9e5.jpg)
これはおばあちゃんの手作り。ご馳走になるばかりでなく、お土産にももらっちゃいました。大根と里芋が美味しい!
☆ ☆
香港の人たちから台風の義援金が届いたそうですね。
「日本に友好的な香港として、われわれも苦難の中にいるが、隣人のために支援の手を伸ばすべきだ」「日本がんばれ!」「香港と日本は困難に直面しているが、ともに乗り越えることを願います」
などの言葉が並んでいます。嬉しいですね。