「はつ」と「つくし」
~春よ来い~
☆初めに☆
楢葉の渡部さん家にお邪魔したのは、ちょうど羽生君がショートのプログラムをすべる時間でした。平昌オリンピックを初めてライブで見ました。生で見るって、結果の分かってるニュースで見るのとは、全く違うんですねえ。
「いやあ、スゴイねえ」
茶の間のおばあちゃんが言います。私も興奮を抑えられず、すっかりだらしがない。
同時に、こんな間も内村君やマー君は、黙々と練習に励んでいるんだなあなどと、勝手に思ったりもしています。そして、両方から元気をもらってる気がします。
また忘れてはいません、藤井君の快挙にも驚き喜んでいる私です。いいニュースっていいですねえ。
福島・楢葉からもいいニュースを送ります。
1 子牛誕生
母屋(おもや)に移動したあと、渡部さんがしみじみと言う。
「一頭目はダメかもしんねえって思ったよ」
一月末予定の子牛は予定より早く生まれ、寒さに耐えられないのではないかと、ずいぶん心配したという。
「藁(わら)を変えたり毛布を用意したりね」
「足も細いし、顔なんか鹿みてえだ」
ホントに鹿のような顔です。美味しそうに飼料を食べている。
10日ほどあと生まれたもう一頭は、すぐに大きくなったという。私が見た二頭の大きさは、全く同じだった。写真を撮ろうとするのだが、怖がっているのかうまく行かない。
「この赤い色がよくないんですかね」
この日、赤いジャンパーを着てきた私は聞いた。
「関係ねえよ。牛は色盲(しきもう)だ」
闘牛士が牛を煽(あお)る赤い布は、
「ヒラヒラするんで興奮するらしいよ」
ということなのだ。
2 和牛ブランド
子牛が競(せ)りに出るのは、生まれて10カ月が過ぎてからだ。
「今の感じで行くと90(万)かな」
仕入れより安いし、飼料代もかかっている。それでは足が出る。
「何度か産んでくれねえと、採算がとれねえ」
そういうことか。私は改めて餌(えさ)を食べる牛たちを見るのだ。
でも彼女たちは、次々に素晴らしい子牛を産んでくれるかも知れない。
「そのうち、渡部さん家にベンツが3台になってたらどうしよう」
私の言葉に、コーヒーを飲んでいた大工さんが笑っている。
「いや、ベンツよりトラクターだよ」
渡部さんも笑って言うのだった。その頃は双葉地区12市町村の「支援事業」も終わっているからだ。
TPPへの不安もあるし、最近では「なんちゃって和牛」というか、日本での肥育法をコピーした外国産の「和牛」も出ている。また、日本のブランド牛の精子が流出したニュースもあった。こうなるとオリジナルの和牛が脅(おびや)かされかねない。
「でもよ、日本のような牛は日本でしか出来ねえよ」
渡部さんが言う。
「海外は結局、たくさん作るしか出来ねえんだ」
「日本は一頭一頭手作りだ。取引もそうなんだよ」
自信か確信のようなものが、渡部さんから流れてくる。
3 「そのためにやってんだ!」
「初めて生まれたのが『はつ』、二頭目は『つくし』なんですよ」
奥さんが言う。なるほど「初」と、春の「土筆」なのだろう。
「しりとりなんですよ。三頭目は『し』で始まります」
何があるか考えてください、と笑いながら言うのだ。
前も書いた。出産しなくなるまでのお付き合いがある乳牛と違って、和牛は育ったら出荷される。「肉」になるのだ。以前、渡部家が酪農(らくのう)をしていた時、親の乳牛を処分するのは悲しくて泣いたという。10年越しの付き合いはもう家族なんですよ、と奥さんは言っていた。一方、和牛は10カ月。
「肉になったら、こんな姿になっちまったって思うんですか」
私の問いに、思わねえよ、と渡部さんはすぐに答えた。
「そのためにやってんだ!」
珍しく熱くなって言うのだった。奥さんが笑っている。なぜか私も笑ってしまった。
☆後記☆
よく行く和食店で、昨年のフグ騒動のことを板前さんに聞いてみました。フグは肝(きも)も結構出回っているという私の認識は、やはり正しかったようです。どこでも売ってたし、みんな食べてた。
「養殖のフグの毒は弱いんですよ」
でも何かあったらという、それが法律でしてね、と。
「たまたまフグの調理人が、あのスーパーでみかけたらしいです」
こりゃまずい処理をしていると思ったのが真相らしい。
「釣り人が船の上で見よう見まねの処理をして、天然のフグを食べる」
これが一番危ない、ということでした。
☆ ☆
今や国税庁長官の肩書を持つ、佐川先生。森友問題でなめ切った答弁をして来たこの人物に、「辞(や)めろ」という要求が、国会初めあちこちから出ていました。でも、「トカゲの尻尾(しっぽ)切り」をこっちから言い出してはいけません。
「教育勅語」を推奨し、園児に「安保法案通過おめでとう!」とコールさせていた気持ちの悪い学園が、一体何故に優遇されたのかという、本当の追求を始めないといけないのはこれからです。でも、佐川先生辞めたらおしまいなんです。こういう野党の体たらくが、「まあ自民党しかないっしょ」という世論を生んでいるんですよねえ。
☆ ☆
気分を変えて。日本選手すごいですね~ スピードスケートに続き、パシュートも。3人くっつくのは、F1での「スリップストリーム」の効果と同じだったんだなあ。コーナーでのシーン、カッコいいですねえ。
春よ来い~
昨日の雪です。大杉漣、驚きました。
~春よ来い~
☆初めに☆
楢葉の渡部さん家にお邪魔したのは、ちょうど羽生君がショートのプログラムをすべる時間でした。平昌オリンピックを初めてライブで見ました。生で見るって、結果の分かってるニュースで見るのとは、全く違うんですねえ。
「いやあ、スゴイねえ」
茶の間のおばあちゃんが言います。私も興奮を抑えられず、すっかりだらしがない。
同時に、こんな間も内村君やマー君は、黙々と練習に励んでいるんだなあなどと、勝手に思ったりもしています。そして、両方から元気をもらってる気がします。
また忘れてはいません、藤井君の快挙にも驚き喜んでいる私です。いいニュースっていいですねえ。
福島・楢葉からもいいニュースを送ります。
1 子牛誕生
母屋(おもや)に移動したあと、渡部さんがしみじみと言う。
「一頭目はダメかもしんねえって思ったよ」
一月末予定の子牛は予定より早く生まれ、寒さに耐えられないのではないかと、ずいぶん心配したという。
「藁(わら)を変えたり毛布を用意したりね」
「足も細いし、顔なんか鹿みてえだ」
ホントに鹿のような顔です。美味しそうに飼料を食べている。
10日ほどあと生まれたもう一頭は、すぐに大きくなったという。私が見た二頭の大きさは、全く同じだった。写真を撮ろうとするのだが、怖がっているのかうまく行かない。
「この赤い色がよくないんですかね」
この日、赤いジャンパーを着てきた私は聞いた。
「関係ねえよ。牛は色盲(しきもう)だ」
闘牛士が牛を煽(あお)る赤い布は、
「ヒラヒラするんで興奮するらしいよ」
ということなのだ。
2 和牛ブランド
子牛が競(せ)りに出るのは、生まれて10カ月が過ぎてからだ。
「今の感じで行くと90(万)かな」
仕入れより安いし、飼料代もかかっている。それでは足が出る。
「何度か産んでくれねえと、採算がとれねえ」
そういうことか。私は改めて餌(えさ)を食べる牛たちを見るのだ。
でも彼女たちは、次々に素晴らしい子牛を産んでくれるかも知れない。
「そのうち、渡部さん家にベンツが3台になってたらどうしよう」
私の言葉に、コーヒーを飲んでいた大工さんが笑っている。
「いや、ベンツよりトラクターだよ」
渡部さんも笑って言うのだった。その頃は双葉地区12市町村の「支援事業」も終わっているからだ。
TPPへの不安もあるし、最近では「なんちゃって和牛」というか、日本での肥育法をコピーした外国産の「和牛」も出ている。また、日本のブランド牛の精子が流出したニュースもあった。こうなるとオリジナルの和牛が脅(おびや)かされかねない。
「でもよ、日本のような牛は日本でしか出来ねえよ」
渡部さんが言う。
「海外は結局、たくさん作るしか出来ねえんだ」
「日本は一頭一頭手作りだ。取引もそうなんだよ」
自信か確信のようなものが、渡部さんから流れてくる。
3 「そのためにやってんだ!」
「初めて生まれたのが『はつ』、二頭目は『つくし』なんですよ」
奥さんが言う。なるほど「初」と、春の「土筆」なのだろう。
「しりとりなんですよ。三頭目は『し』で始まります」
何があるか考えてください、と笑いながら言うのだ。
前も書いた。出産しなくなるまでのお付き合いがある乳牛と違って、和牛は育ったら出荷される。「肉」になるのだ。以前、渡部家が酪農(らくのう)をしていた時、親の乳牛を処分するのは悲しくて泣いたという。10年越しの付き合いはもう家族なんですよ、と奥さんは言っていた。一方、和牛は10カ月。
「肉になったら、こんな姿になっちまったって思うんですか」
私の問いに、思わねえよ、と渡部さんはすぐに答えた。
「そのためにやってんだ!」
珍しく熱くなって言うのだった。奥さんが笑っている。なぜか私も笑ってしまった。
☆後記☆
よく行く和食店で、昨年のフグ騒動のことを板前さんに聞いてみました。フグは肝(きも)も結構出回っているという私の認識は、やはり正しかったようです。どこでも売ってたし、みんな食べてた。
「養殖のフグの毒は弱いんですよ」
でも何かあったらという、それが法律でしてね、と。
「たまたまフグの調理人が、あのスーパーでみかけたらしいです」
こりゃまずい処理をしていると思ったのが真相らしい。
「釣り人が船の上で見よう見まねの処理をして、天然のフグを食べる」
これが一番危ない、ということでした。
☆ ☆
今や国税庁長官の肩書を持つ、佐川先生。森友問題でなめ切った答弁をして来たこの人物に、「辞(や)めろ」という要求が、国会初めあちこちから出ていました。でも、「トカゲの尻尾(しっぽ)切り」をこっちから言い出してはいけません。
「教育勅語」を推奨し、園児に「安保法案通過おめでとう!」とコールさせていた気持ちの悪い学園が、一体何故に優遇されたのかという、本当の追求を始めないといけないのはこれからです。でも、佐川先生辞めたらおしまいなんです。こういう野党の体たらくが、「まあ自民党しかないっしょ」という世論を生んでいるんですよねえ。
☆ ☆
気分を変えて。日本選手すごいですね~ スピードスケートに続き、パシュートも。3人くっつくのは、F1での「スリップストリーム」の効果と同じだったんだなあ。コーナーでのシーン、カッコいいですねえ。
春よ来い~
昨日の雪です。大杉漣、驚きました。