夕筋
~地道に続く(1)~
☆初めに☆
小雨でしたが、福島県・広野町の夕筋浜に行きました。広野町役場で、一体どこなのかと場所を聞いたのです。震災当時から職員をされている方だったので、誰もいない真っ暗な庁舎の中に積みあがった支援のミネラルウォーターや、庁舎の一部が東電の補償窓口になったことなど、当時の話で盛り上がりました。ポスターと一緒に、たくさん持って行ってくださいと、観光案内のパンフレットをいただきました。小雨の中でした。
これが観光キャンペーンのポスター。再掲示します。こちらは晴れ渡った空に、波が映えます。来ましたよ。
1 夕筋浜
空に延びる遮断機。踏切の向こうには、歩行者しか行けないような坂道が浜まで続いている。
やがて警報機が鳴り、遮断機がおり始めた。自分が踏切の中にいることを思い出して、慌てて外へ出る。
ツートンの鮮やかな特急が、あっという間に通り過ぎる。てっきり二両ほどのディーゼル機関車が、かわいらしく通り過ぎるものだと思っていた。ここは常磐線なのです。「撮り鉄の非常識」ってのをやっちゃってたみたい。
2 売り棚
「天気が良くて休みの日と来たら、夕筋の通りはたくさんの人でさ」、いつも通り、二ツ沼の直販所「のらっこ」に寄って踏切に行ったことを話すと、おばちゃんが言う。恥ずかしくて洗濯物を干せないよ、と近隣の人たちが言っているらしい。ポスターのことがある前から、撮影スポットとして注目されていたようだ。
熱心な読者は覚えているかもしれない、広野町で最初にお米の生産を再開した方の奥さんが、この日のレジのひとりだった。私の新刊につづられたまま、お米の生産と販売の苦労話、そして天皇陛下の「このお米は美味しい、どこの米なのか」というひと言がメディア上に出て、それからは注文の電話が鳴りっぱなしという話を振り返った。しかし、その後の経過は若干違っていたようだ。
「いやあ、そういう時期はあっという間に終わってね。阪神淡路大震災の被災者の皆さんを中心に支援をいただいたけど、興奮が冷めるように注文はなくなってさ。今でも続いて買ってくれてるのは一人かな」
第三者の「支援」なるものは、結局いい加減なのだろうか。話は続いた。どうにかなってるのは、息子夫婦の地道な営業努力のおかげ/ネットでの販売網を丁寧にひとつひとつ拡げて/お礼や時候の挨拶もかかさない等々。
「生産者の役割は、作ったらお終いという時代じゃないよ。売る方もやらないといけない時代だよ」
前回来た時に増して、「のらっこ」の売棚がさみしい。また売れてしまったというんですか、気になって尋ねる。実はね、今までは生産者組合がここの経営者だったんだけど、この春から「町営」になったんだよ、という。町が生産者を選別しているのだろうか。そんなはずはない。広野は楢葉と比して畑地の面積が狭いからな、とは楢葉の渡部さんの見解だ。生産者の生産意欲が下がって来たのだろうか。元気のいい組合長さんが、この日はいなかった。歯に衣着せぬ物言いを、次には聞きたい。広野産のニンニクを買った。本物ってこんなにと思うくらい、強い匂いは車に充満した。
3 祭の復活
牛の相場の底が見えて来た、とは値段が落ち続けてきたということだ。これから上向くかもしれないとういことではあっても、渡部さんの表情に陰りが見えるのは仕方がないことなのだ。私のような能天気が何のお手伝いもせず、ぶらぶらしてていいのかと多少の後ろめたさを持ちつつ、ぶらぶらしている。
お祭りの話になった。もちろん、福島と言えば「相馬野馬追」。奥さんが小学校の頃の運動会で、騎馬戦はこの野馬追もどきだった。天から降って来る神旗を奪い合う。新聞紙を棒状にしたもので、馬上の騎士が旗を絡めとる。これが祭だと、聞いていて思う。みんなそうやって、祭を受け継いでいく。千葉には祭はないのか、と聞かれた。そんな全国に名前を轟かせるものが、千葉にあるわけがない。ディズニーランドなら毎日お祭りやってるよ、逃げるが勝ちである。
体中ワクチンだらけだよ、6回接種したおばあちゃんが笑っていう。私が一度たりとも接種したことがないことで、嫌な顔をされたことがない気がするが、ホントはどうなんだろ。日本中が大騒ぎしていた頃、競り場の本宮では、ワクチン接種証明書がないと場内に入れなかった。そんなくだらないことをやってたのか、と口の減らない私である。重症化する病気だゾという渡部さんに、どんな病気でも重症化する人はいる、とやっぱり口の減らない私だ。そんなこと言って、コロナに感染して4日間で死んだなんて吠え面かくなよ、渡部さんのひと言で居間が笑いで膨れた。
☆後記☆
元気なお庭の花やコキア。隣にナスが沢山植わってました。
いつも通り、野菜をたくさんいただきました。みんなと分けましたが、ナスは私のもの。いいですね~ 旬の味は
柏でも4年ぶりにお祭りが復活します。街が動く、街を動かすという熱気が、今年は神輿の若頭の顔に満ちています
そうだ、花火も再開します。たまや~🎆
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