EV(電気自動車)
~F1から「ヨーロッパの傲慢」を見る~
☆初めに☆
今月半ばに、札幌でG7環境相会議が行われました。電気自動車の開発が「日本は遅れてる」との批判が目立ちます。日本の報道側でも批判しているのです。欧米が電気自動車の導入目標を盛り込むように迫っていますが、日本は抵抗しています。まるで日本がクリーンな世界の邪魔をしているかのように見えます。そうなのでしょうか。
1 ホンダへの挑戦
2020年10月、ホンダは突然のオンライン記者会見で「今回は2050年、カーボンニュートラルの実現という新たなチャレンジにリソースを傾けるという判断をしましたので、F1再参戦のことは考えておりません」と発表する。完全撤退宣言である。カーボンニュートラル、すなわち脱炭素社会を目指すため、ガス食いレースF1を止めようというのだが、これはウソだ。同じくとてつもなくガソリンをまき散らす、アメリカでのインディレースは継続したからだ。事実、ホンダのF1へのエンジン供給は嬉しいことに、今も続いている。ホンダのエンジン供給停止は、確かに時流に押されて発表した感はある。しかし、F1は、モナコグランプリに代表されるヨーロッパの文化なのだ。これが大事。
「オマエ、レースはいつやめるんだ?」
4代目の社長(川本信彦)に、本田宗一郎が言った。1986年、ホンダがF1の16戦中15勝と圧勝した年のことだ。ヨーロッパで日本人がいつまでも勝っていいわけがない、ということだったらしい。国際自動車スポーツ連盟(FISA)は、ルノーやフェラーリが勝ってる時には静観するものの、そうでない時は黙っていない。この時期ホンダ常勝の源だったターボエンジンを禁止したのも、ホンダにストップをかけたいFISAの戦略だった。
86年ウィリアムズホンダ。1000馬力オーバーのエンジンが載った車体は、軽乗用車並の540㎏だった。
2 セナ対プロスト
レースファンでなくとも、1989年・鈴鹿グランプリでのアクシデントを覚えている人は多いはずだ。マクラーレンホンダを操縦するセナとプロストは、傍目から見ていて良好な関係とはとても言えるものでなく、マシンの性能に差がある等々の言い争いは両者間でいつも絶えなかった。チャンピオンシップの争いも激しく、鈴鹿ではそれが最終周の最終シケインでの両者・両車の衝突となった。セナが無理に内側に入ったのかプロストが強引にセナを押し出したのか、今でも議論になっている。トップでチェッカーフラッグを受けたセナは、のちに失格となる。
セナのマシンが、最終シケインでプロストに突き進もうとする瞬間。
プロストはリタイアして車を降りるも、セナはマーシャル(係員)に押し掛けを要請しレースに復帰したのが失格理由とされる。この時プロストはパドックに戻らず、悠然とFISAのいるコントロールタワーに向かった。この時のプロストの直訴が、FISAの裁断を促した。以前も書いたと思うが、セナの常に口にしていた言葉は、
「僕たち(非白人)がジャングルで生き残ろうとしたら、ライオンを百頭殺さないといけない」
だった。ちなみにセナはブラジル人、プロストはフランス人だった。
3 もったいない
電気自動車(EV)を積極的に推進したヨーロッパは、脱炭素社会へとかじ取りをしたかった、のか。ヨーロッパが、ハイブリッド車で日本に引けを取らない車を作っていたのなら、そう認めてもいい。しかし、ヨーロッパのハイブリッド車の燃費は、どう頑張っても日本車より3~4割ほど悪かった。これで、不安定なオイル価格を理由とするのではなく、グリーン革命の呼び声を利用したと言っとこう。そこにウクライナ戦争という乱入もあり、石油はさらに不安定&高騰する。声はさらに大きくなった。日本は何をやってる的呼び声に、肩身の狭い思いを強いられたわけである。
ところが最近、様子がおかしい。ヨーロッパは、エンジン車の生産を継続するという。この動きは、二酸化炭素を排出しない燃料(e-Fuel)の登場もあるが、エンジンを必要としない車のおかげで、労働者の大量解雇が進んでいることが大きい。エンジンがなくなれば、燃料タンク・ホース・スパークプラグ・コード・プロベラシャフト、マニアックにはデファレンシャルギヤなんぞという、かなりハードな部品も含め全て要らなくなる。関連工場が要らないという、大変な社会的損失となっている。フランスは年金問題もあるぞ。そして、ウクライナ戦争は、燃料ではない次元のものをもう一歩進めた。それまでの中国と西側ーとりわけアメリカーとの関係を再考するように迫ったのである。バッテリ―に必要なリチウムの多くを、中国に依存しているからだ。電気自動車はバッテリーが燃料だ。トヨタの佐藤恒治新社長の「脱炭素は目的だが、電気自動車は手段の話」と言ったように、電気自動車は脱炭素戦略のひとつに過ぎない。大体が、電気自動車の大量生産と関連システムの変換で、環境にどれほど負荷をかけているのか、私たちは考えないといけないはずだ。いま乗ってる車、まだ使えますよね?
「もったいない」のです。
☆後記☆
F1は全くテレビで見られなくなりました。巨額な配信料金の問題は、テレビかネットかという通信の未来がネックのようです。どっちでもいいから、もっと開いてくれよ~
☆☆
コロナのおかげで、4年ぶりかなぁ。剛柔流・杉並本部道場に行ってきました。懐かしい顔や新しい顔。みんなにこやかで、嬉しかった。私の身体の柔らかさに、皆さんから感嘆の声をいただきました。先生が言うのは、コトヨリさん身体は柔らかいけど頭が固くてと、やっぱりバレてるんです
これは正面の神棚。左は剛柔流の開祖・宮城長順。右側は創始者・山口剛玄。その下が、若い時の二代目(現在)・山口剛史先生です。そう言えば祀られている神様を聞きませんでした。八幡神だったのでしょうか。
一昨日から福島に来てま~す