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震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

科学 実戦教師塾通信八百六十九号

2023-07-14 11:20:18 | 福島からの報告

科学

 ~民主と科学(2)~

 

 ☆初めに☆

小見出しが「2」なのは「福島からの報告」で「2」。今回は、安斎育郎先生のレクチャーが中心となります。話を始める前に、現在ニュースをにぎにぎしくしている「汚染水の海洋投棄」についてです。IAEA事務局長の報告書は、実に漁業関係者をバカにしたものです。とても看過できるものではありません。冒頭で、

「処理水の放出は日本政府による決定であり、報告書はその方針を推奨するものでも支持するものでもない」

と言いつつ、以下は海洋放出を「支持する」文言が続く。分かったような顔せず気を張り詰めていれば、思わぬ動きが見えることもあります。二年前に政府が処理水の海洋放出する方針を固めた当時、総務省の大臣だった高市早苗が怒っている。この海洋放出文書の差出人に、本人も知らぬ「高市早苗」署名公印があったからです。この時経産省大臣が留守だったので、自分が代理を務めることになったのだろうとも言っている。でも、誰からも報告・連絡がないではないかという驚きと怒りでした。私は2016年の、イラク自衛隊日報問題を思い出しました。廃棄したものだから存在しない、と答弁していた防衛大臣・稲田朋美ですが、結局、知らなかったのは稲田本人だけだったあのことです。思いがけなく、官僚国家が姿を現す時があるのです。

 

 1 汚染水安全諮問

 私のいい加減な汚染水の海洋投棄の認識は、良く言う「安全と安心は違う」程度のものだった。しかし、私たちはトリチウムの安全を諮問した小委員会に、漁業者あるいは漁業者の推薦する科学者を入れなかったという事実を知らない。肝心な当事者である漁業者を蚊帳の外に置いて議論を進めたという事実に気づいてない。このことをメディアが伝えただろうか。いつかどこかでやったのかもしれない。でもそうだとしても、繰り返しの報道はしなかった。

「だから、汚染水の問題ってのは、科学の問題っていうよりは民主主義の問題なんだよ」

この日、楢葉町の伝言館で安斎先生は話した。私たちが年明けにも聞いたことである。科学的に安全かどうかって言うなら安全だよと、やはり繰り返した。40分の1に薄めてから流すというのは、広い海のことを考えれば無駄な感じもするのだが、という私の疑念にも「その通りだよ」とあっさりしたものだ。要するに、今まで福島や福島の海を裏切って来た後ろめたさがあるからだと、はっきりした物言いが続く。

 先だって書いたことを繰り返す。昨年の降水量の減少と施設周辺工事の進行によって、汚染水保管タンクの満杯時期が大幅に延びた。それによれば早くて今年の秋(11月)、遅ければ来年の3月になった。「関係者の納得が得られないうちは海洋放出は行わない約束」のための時間が出来た。しかし、IAEA事務局長の「放出後も観測は継続する」なる文言は「関係者の納得」と全く関係がない。

 

 2 甲状腺ガン

 もうひとつ、ずっと気になっている「原発事故と甲状腺ガンの因果関係は不明」というものだ。あるに決まってるという、いかにも分かった風な推論は、怠惰な態度がもたらしている。煩雑で膨大な資料から、それなりに分かって来たことがある。ヨウ素の「半減期が8日」が意味するのは、それが短期間のうちに体内に発見出来ないものとなること。その点がセシウムとは違う。厄介なのは、放射性物質は自然消滅するわけではないこと。ヨウ素131が通過した後、甲状腺が肥大する。ヨウ素は甲状腺に蓄積するからだ。半減期の早いヨウ素は、それがガンになる頃には全く姿を消している。「原発事故と甲状腺ガンの因果関係は不明」とは、ヨウ素がどこにも見当たらないものを根拠にする。証拠がないのだ。まさに「渡りに船」とはこのことだ。外部被爆の理論は、生物的濃縮には全く役に立たない。

 一方で、福島での青少年の甲状腺ガン発症は300人を超えた。これが多いか少ないか、そして「過剰診断」という議論がされている。同じ「精度の高い」計測法で、広域検査が行われたのは2014年だ。その結果、福島の突出はなかった。しかし、これが2巡目になって数値が変わる。このことを安齋先生は「潜伏期間」の問題ではないか、と考えている。大切なのは、経過観察を続けることだという。福島で200人近い子どもたちが、甲状腺ガンの手術を受けた。ガンと聞いて多くの親が動揺したのだ。しかし、甲状腺ガンは、手術を要しない「良性ガン」であることが多い。手術を受けたのが、果たしていいことだったのかどうかと、多くの人たちが苦しんでいる。当事者の思いは「原発事故と甲状腺ガンの因果関係は不明」かどうかにはない。どうすることが「正解」なのか、という切実なものだった。

 

 ☆後記☆

これでも専門用語や細部に触れず書いたのですが、力任せのレポートになりました。暑苦しいなと思った読者に、お詫び申し上げます。ついでに、もうひとつ「約束」でムカついてます。マイナンバーカードの取得は、あくまで「任意」だという「約束」です。人為ミスだの不完全なシステムだのって、そんなの全く興味ないです。「任意」でいいです。

暑さが少し和らいでいる、ここニ三日です。ありがたいですね、ホント。風鈴が涼しさにそよいでます 🎐

こども食堂「うさぎとカメ」、明日ですよ~ チラシ裏側は、明日用の記事で~す。ニンニクとピーマン使わずに、子ども向けに作ります。美味しいよ🍝

我が家の金木犀の下で砂浴び、暑さを何とかしようとスズメさんです。見えるかな?

そして、さあ、あと三日の登校で夏休み みんなみんなあと少しだよ


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