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震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

子どもの実相  実戦教師塾通信五百六十九号

2017-10-13 11:45:21 | 子ども/学校
 子どもの実相
     ~30年ぶりの「現場」確認~


 ☆初めに☆
今週の日曜、つまり10月8日とは、50年前にゲバラがボリビアで逮捕された日です。

ゲバラが戦後、広島と被爆者を訪れたこと、そして、この6日に公開された映画『エルネスト』のことを、夏にレポートしたと思います。
 同じく、50年前のこの日は、当時の首相・佐藤栄作の南ベトナム訪問を阻止しようとしたデモ隊の学生、山崎博昭が亡くなった日でもあります。10月8日とは、そんな日です。

 それとは別なことですが、今年はロシア革命から100年という節目の年です。そのことを私たちは、いろんな形でこれから目にするはずです。ロシアの最後の革命は、「十月革命」と呼ばれました。
 ☆ ☆
前置きが長くなりましたが、今回はロシア革命のことをレポートしようと思ってたのです。でも、先週の岡崎さんとの対談を終えて、その報告をしておきたいという気持ちが優(まさ)ってしまった。少しだけ触れておきたく思います。

 1 「福島というインフラ」
 岡崎さんたちも、福島の子どもたちを名古屋に「呼ん」だそうだ。目的は体内のセシウム排出もあったのだろうが、福島の子どもたちが「大変だ」と思ったことが大きいようだった。
 「大変だった」子どもたちに、あちこち案内したり楽しい思いをさせようと、名古屋の子どもたちは頑張ったようである。しかしそのうち、双方ともに、なんだか「疲れた」。福島の子どもたちが、
 大変で/追い込まれてて/食事もままならず/外でも遊べず
なる、ないない尽くしでいることは事実だろう。でも、よいと思ってやった「おもてなし」の数々が、どのみち、
『「普通の」「普段の」暮らし』
でないことに、みんな気付いた。岡崎さんはそのことを、
「みんな『福島というインフラ』を作っていた」
と表現していた。
 そのインフラを、子どもたちはジワジワと崩(くず)していたことが、あちこちでニュースとなった。横浜いじめ事件はそのことを示していたというのが、私の見解である。
「東北を見なさい」
「甘えるんじゃない」
「幸せを自覚しなさい」
と叱咤(しった)した大人は、その一方で、
「(福島の車は)さっさと駐車場から出て行け!」
と、声を上げ張り紙をしていた。
 そんな大人たちの姿と、子どもたちは正直にタイアップしたのである。

 2 金魚の死骸(しがい)
 教室で飼っていた金魚が死んだ。子どもが聞いてきたそうだ。
「金魚って『燃えるゴミ』ですか」
この日の対談で、私が一番興味をひいたことだった。子どものなかには、金魚が死んだことで、泣いたりお墓を作ろうと思ったりする子がいたのかも知れない。でもこの子は、死んだ金魚を「ゴミ」だと思った。そして「ゴミなら処理しないといけない」と思った。さらには、これを分別しようと考え、一体どのカテゴリーなのだろうと思った。
 岡崎さんが、この出来事にアンテナを立てたのである。
「なるほど、大人や学校的発想としては、生き物は死んでも『ゴミ』ではないとするに違いない」
「そして『オマエは冷たいやつだ』と言うのかも知れない」
「では今のこの子の質問に、どう答えたらいいのだろう」
様々な思惑が、岡崎さんの頭をめぐったのだろうと思う。
 大人が築き上げてきた思慮分別とやらに、面白いものは少ない。しかしその点、子どもってやつは獣(けだもの)なので、すそ野が広く、かつストレートなのだ。岡崎さんは、どんな風にこの子に踏み込んだのだろう。
「金魚、ゴミなんだね? 汚い?」
『だって死んでるし。どうすればいいの?』
「このままじゃいけないって思ったの?」
『もう死んでるんだよ』
「犬だとおっき過ぎるしね。これなら燃えるかな?」
『資源じゃないよね』
「飼ってる子には(いいかって)聞いたの?」
『ボクが死んでるの見つけたんだ」
私の勝手な想像で書いてみたが、この場合チャンスをもらっているのは、大人/教師の方である。大人の考える思慮分別とやらが如何(いか)なるものなのか、この場でそれを確かめることが出来るかも知れないからだ。
 岡崎さんは、アンテナを自分自身に向けて立てている、そう私は思った。


 ☆後記☆
30年ぶりの再会は、浦島太郎的ズレを露呈(ろてい)するどころか、昨日話した続きをやっているかのような錯覚を覚えました。それはとてもラッキーで、私は駅ナカで、美味しそうなパンを買って帰ったのです。

     今年は遅咲きの我が家の金木犀です。
 ☆ ☆
今回の録画、いつもの動画「WIU」より配信されます。アップされたら報告しますが、60分ちょっとの話は、けっこうあっと言う間です。良かったら見てください。

     残念、シャラポワ負けちゃいましたね。

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