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震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

全員担任 実戦教師塾通信九百六号

2024-03-29 11:33:37 | 子ども/学校

全員担任

 ~留まらない流れ~

 

 ☆初めに☆

大谷選手の続編リクエストをいただいていますが、後記で触れるにとどめます。私たちも試されているのです。

学校現場で静かに広がっているものがあります。小中学校一貫教育をめざす義務教育学校、そして学年の職員全体で児童生徒を担当する、全員担任制です。その流れは、勢いめいています。義務教育学校は大いに議論するべきもので、現場の声は一長一短を示しています。しかし、全員担任制はいかがなものでしょうか。例えば、今年度の「送る会」や卒業式を見るに、マスク着用の減少を著しく感じました。あれほどの頑なさで表情を覆っていた布切れが、子どもたちの後ろに退いています。マスクは口だけ覆っているわけではなかった。「顔が見える」とは、よく言ったものです。安心とは、私たちの五感を動員して出来上がります。その辺りから全員担任制を考えてみます。

 1 顧客管理

 少し前だが「一部上場企業」の方と話す機会があった。公務員に対し、憤ってらっしゃる方だった。公務員はいいですよね、と口火を切った。現場教員の「守られ方」を見ていると、確かにうなずくしかないものがある。休みに関しては、有給休暇や病休育休ばかりではない。乱暴に言うが、休もうと思ったらどうにでもなる、そんな多様な休暇が現在の教員を守っている。現場が悲鳴を上げるような休み方の教員がいる、現在の学校である。しかし、この方が問題にしたのは「顧客管理」だった。30数名の生徒を受け持つだけで現場の教員は手一杯だという、私の認識にひどく反発した。たかだか数十名の「客」のことだけ知っていればいいとは羨ましいかぎりですね、という。いやぁ、と私は進路の話を例に挙げて話した。倍率(実力)はもちろんだが、勉強したくない・制服の好み・仲良しと一緒に行きたい・最悪の同級生が受ける・駅が近い等々。そして、親が反対する・両親の仲が悪い・親がいない・家は貧乏だ・親が医者になれと言う等々。また、スマホと一日9時間向き合っている・自分には取り柄がない・みんなは自分をバカにしている・アンタ(担任)が嫌いだ等々。多種多様な生徒の在り方は、そのまま生徒の心身に反映している。これらはアンケートの類では、ほとんど出て来ない。それらを認知し対面も含めた対応をすることは、親からはもちろん、本人から信頼を得ていないと出来ない。学年全体150人~300人の生徒のそれらすべての事情を、学年の職員全員が把握することは不可能なのである。「一部上場」とは、何千か万単位の社員を抱えているのだろうか、営業所単位で言えば100人~500人ぐらいなのか、その「一部上場」の方の勢いが、次第に消えて行った。

 2 子どもが安心できる大人

 全員担任制が大きく動き出したのは、2015年の取手いじめ事件がきっかけである。2019年に出された報告書をうけて、「(取手)市いじめ問題専門委員会」が出した提言の中に、全員担任制はあった。ブログの繰り返しになるので簡単に振り返るが、落ち着かない学級を何とかしようとして、担任の打った対策が失敗した。しかし、そこで担任は退かず突き進む。この経過と今後の方向について、全体が共有しなかった。最悪の事態が起きたのに、学校は「重大事態に該当しない」との結論を出す。遺族の要請に応じた市の調査報告は、学校の報告に沿った内容だった。遺族は県に訴えて、再度の調査が始まる。そして、真っ当で踏み込んだ、学校の過ちを指摘する報告書が出される。顧みれば、遺族からの「自殺公表」の了解、アンケート項目の要請、聴き取りの追加要求など、学校はすべて「生徒の動揺」などを理由に「難しい」と却下する。この流れが示すのは、学校の見事な「チームワーク」だ。

 学校におけるチームワークは、このようにネガティブなケースもたくさんある。中学校は、教科担任全員でクラスを見ているようなものだ。小学校よりは風通しの良い環境にあるはずだが、なかなかそうならない。お互い大変だ/うまく行かない時もある/忙しい、からだ。報告は常に遅れる、または「ない」。ここにクラス担任の過剰な頑張りやプライドが加わると、介入や助言が難しくなる。あるいは、本人がお手上げ状態なのに、周囲(とりわけ管理職)が手をこまねいているケースなども、事態を悪化させる。取手に限らないが、これらはいじめ問題で重大な事態になる原因である。チームを作ればいいのではない。しっかりコミュニケーションを取らなければ意味をなさない。そのためには、遠慮なく言えるだけの実力を持ったスタッフが必要となる。そして、指摘されるスタッフが、安心して受け入れられる状態が不断に作られないといけない。形だけのチームが役に立ったためしはない。大変な努力の蓄積が要る。

 今週の1組担任は〇さん来週の担任は△さん、という信じがたい現実が始まっている。現場から抗議の声が出ているのが救いである。一部教科を専科でやってるとは言うものの、小学校でクラス担任が全教科を教えて来たのはどうしてか、まじめに考えた方がいい。しかし残念ながら、この全員担任制は必然的な流れと思える。家庭訪問廃止も行事の精選も、表向きは授業時数確保という理由だが、その背後には「それが嫌な」教員の姿がある。働き方改革とITの学校導入は生徒との対面を減らし、コロナ騒ぎは「対面忌避」を奨励した。子どもの目を見て話せない教員が増えたのは、当然と思える。今となっては、毎年のクラス替えは当たり前のようだ。子どもが安心できる大人の存在は、子ども自身が時間をかけて見つけていく。しかし、それが出来なくなる状況が加速度的に始まるのである。

 

 ☆後記☆

取手いじめ事件の当時の担任が、処分は不当であると訴えました。水戸地裁は、訴えを認めて処分を取り消す決定をしました。1月12日のことです。ひと月あと、県は控訴しました。早く一審の判決を読みたいと思っています。

遅かった春が、やっと来そうですね。寒かったし、雨ばっかりだったし☂ でも、早咲きの桜を見つけました🌸

曇天の花曇りって感じですね。下の写真は、手賀沼のジョギングコースで見つけた土筆で~す🚴

 ☆☆

オオタニさん、やっぱりやりました🥎 地元初戦で2安打1打点1四球&オーバーラン🏃 声援がすごい。そして、それならやってやる!と声援をがっしり受け止める笑顔☺ いよっ、待ってました🥁

会見の原稿メモぐらいあった様子ですが、紋切り型の「ご心配・ご迷惑」なるフレーズは一度もない(ニュース映像しか見てませんが)。思った通りの人だ大谷選手は、と留飲を下げた人は多かったはず。正直に生きると思えば、言葉もちゃんと生まれて来る!と励まされてる気分です。買い物から送迎にいたるまで、何から何まで水原通訳に任せるのは大人としてどうか、みたいな現地の声も聞こえます。しかし、その現地は、大谷選手を漫画からそのまま抜け出した来たようだとか、ユニコーンだとか言って来たのです。オオタニさんは「野球のために生きてる」と思ってたんじゃなかったのか? こういうのを「にわかファン」というのです。どっかのスポンサーが「期限満了のため」契約を打ち切ったというのがニュースに上がって、様々な憶測を呼んでます。こんな時こそ「契約が切れましたが、弊社は大谷選手を応援し続けます」ぐらい言えなかったのか、と思います👊


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