チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

龍言の女将さん

2015年08月30日 12時49分27秒 | 日記
新潟六日町に「龍言」という旅籠がある
チャコちゃん先生が十日町に取材に行き始めた頃は
十日町にはまだ商人宿しかなく
お風呂は女客は一番最後に使うと言う習慣が残っていた

父が私が外で仕事をする条件として
地方の宿に泊まるときは自腹を切ってでも一番好い旅館に泊まりなさい

その頃はまだ女が一人で取材に行き宿に泊まると云うことは珍しかったのだ

其の商人宿に案内されたとき
案内した社長に申し訳ないが自分で宿泊代を出すので
宿のランクを上げてほしいと

車で40分かかるが好い宿がある
と教えられたのが「龍言」だった
夜中の11時に着くと大きな玄関は(今も変わっていない)開けっ放しで
煌々と電気が土間を照らしている
何回声を掛けても誰も出てこない
フト足下を見ると新聞のチラシを切り抜いた矢印が置いてある
「お帰りなさい、この矢印に沿ってお部屋までいらして下さい」

「へーー」とおもいながら其の矢印を拾っては歩いて行った
長い廊下だったしかし廊下も明るく拾っていく作業が面白くなった頃
部屋に着いた

テーブルの上に
「ゆっくりおくつろぎ下さい」とお結びと手製の漬け物其れに
誰に聞いたのか(その頃のチャコちゃん先生酒豪だった)越乃寒梅の2号瓶が置いてあった

「お風呂は一晩中入れます」
と温泉の場所も地図で示してあり
ナマイキ盛りのチャコちゃん先生其の越乃寒梅を持って温泉へとしゃれ込んだ

それ以来のお付き合い40年余になる
有り難い
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