チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 313

2020年04月07日 11時11分21秒 | 日記

猫神様のお話

江戸時代は養蚕農家は猫を飼っていた、というより猫を飼うことが奨励されていた

何故なら

鼠が蚕を食べるので、大切な現金収入である蚕を守るためには猫様が必要であった

馬が一両であった江戸時代猫は5両もしたのだそうだ(松浦静山「甲子夜話」)ねずみが大発生した時代があり、その時は猫の値段10両近くまで値上がりしたらしい。すでにこのころから猫を専門に商いするブリーダーがいたわけだ

長屋に住む人達が年間5両で生活できていたらしいが、猫様の値段のすごさは昨今のブランド猫よりすご値

 

鼠の繁殖力はすごいので、猫様の価値は日々高くなっていったようだ

今と違って繁殖が目的という育て方ではなく、猫の繁殖期を自然に守る育て方なので猫も人間の思惑通りには出産しなかった。さらに鼠をとる能力にたけた猫という縛りもあり、猫様は人間の思い通りにはいかなかったみたい。ホホ

 

江戸時代に出版され世界的なベストセラーになった「養蚕秘録」「蚕飼養法記」にもネズミ駆除には猫が一番いいと書かれている。この本は桑の栽培、蚕の飼育,製糸方法などが詳しく、今でも養蚕農家の聖書のような存在

この本はシーボルトが持ち帰り、フランス、イタリア語に翻訳されて世界的評価を受けた。フランスもイタリアも日本の養蚕の思想を受け次いでいい生糸を作っている

 

この本は世界的に養蚕業のバイブルになっている、挿絵には猫がちんまり座っていてかわいい

一万年前にメソポタミアで猫の家畜化が始まったらしい。農耕作業が始まると鼠が出てきて食い散らす、そのネズミ駆除に猫が活躍という図式、源氏物語に光源氏の正妻三宮が猫を飼っているという描写があるが、このあたりから猫は愛玩動物にもなったのであろうか

昭和5年(1930年)養蚕農家は220万戸(現在は179戸)農家数の40%が養蚕農家という時代、日本は世界で一番の生糸の生産国でもあった。その陰には猫様がいた

 

猫神様のいらっしゃる神社は多い、養蚕業の盛んな地域、関東が全国でも一番多い。東京農工大学の横山岳先生が歩いた猫神様の神社は全国で21社。まだまだあるらしいがこのコロナで散歩がてら探してみるのもいいかも。猫神様喜ばれる

チャ子ちゃん先生は前橋の蚕影神社、立川の水天宮、新潟の八海山尊神社、長野の猫大明神にお参りしたことが在る

誰も守る人がいない神社もあり、蚕を守った猫神様に心から感謝したい

絹のマスクを作り、絹の良さに目覚めた人たちが絹を身にまとうようになったときまた養蚕業が発展し、猫神様の助けを借りながら蚕がのびやかに動き回る、そういう景色を夢見ているチャ子ちゃん先生

#猫神様 #シーボルト#養蚕業 #東京農工大横山岳先生 #チャ子ちゃん先生 #メソポタミア#は猫の家畜化 #秋桜舎 #鼠の繁殖力

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