梅雨らしい日だ豪雨ではなくしとしとと降っている
こういう雨は植物にとって大変ありがたい
公園の緑も歓び静かに内観しているように感じる
雨の中樹木の下を静かに歩くのが好きしかも蛇の目を挿して 傘に落ちる雨の音を聞きながら歩くのが至福の喜び
蛇の目はとても賢い 雨が落ちたら外側に雨だれを落とす
そのため足元が濡れないようになっている こういう構図を考えた人は本当に偉い
合理的で美しい 日本の美は見事なまで単純で子供でもできるようなものを美しい形に仕上げている
蛇の目をさして歩いていたら小学生が「おばちゃん入ってもいい」と言って傘の中に入りいい音と言って一緒に歩を進める
こういう蛇の目は見たことがないので不思議に思うようだ
だけど美しさとその合理性にすっかり惚れ込む、子供にはいいものを見せてあげるのが大人の努めだと改めて思った
昭和初期の美人画の中に雨下駄を履き 雨コートを翻し蛇の目をさして歩く姿が描かれていたが、この時代はアスフアルトも少なく土の上に溜まった雨水に雨ゴートの姿が写りきれいな一瞬だなあと見入った覚えがある
雨ゴートは当然防水をされている または雨を弾く100%セリシンありの布を使っていたようだ
長姉が私が中学生の時雨傘を持って学校に現れ男子生徒の憧憬を受けていた
真っ赤な繻子の雨コートに紫色の蛇の目、雨下駄のつま先も紫(この人この姿良く似合っていた)他はともかくこの姿は美しかった
男の子たちは傘を受け取る相手は誰だろうと鵜の目鷹の目、それがチャコちゃん先生とわかったら「なーーんだ」とがっかりするその落差が面白く「ばっかみたい」とからかっていた
赤い繻子の雨コートに憧れて着物の仕事をするようになってすぐさま染めていただいたが、あの燃えるような赤には染まらない「素材と染料が当時と違うから」が理由
すでに昭和50年代でももう同じ色にならなかった
そのコートは姉から貰い受け私が着て義妹が着ていま布団になっている
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