チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

竹の筬

2015年01月22日 18時24分18秒 | 日記
明治維新で近代化された日本はこのときから
日々失う物が多くなったと思う
着物関係で云えば
機織り機が自動化されたため
其の機械にあうような繭作りが始まった

今私たちが整った形の胡瓜やトマトを求めるように
常に形が安定して糸をとりやすくする養蚕が始まった

桑の植え方育て方
其の桑を食べる蚕の種類
蚕は遺伝子の研究には優等生なので
学者達は蚕の新種を次々に開発し
自動機械に係りやすい繭を量産してきた

其の結果本当に美しい糸とは縁が切れて
嵩のある強くて太い糸が奨励され私たちは
江戸時代の絹と似て非なる絹のきものを着ることになってしまった

筬が金属にいなったため
「手織りですから」といわれても
金属の筬を使っていれば糸の良さはおそらく出てこない

面白いことに竹筬で織られた布は本当に軽くて羽衣だ
着る人にしかわからない着心地なのだが
蚕の吐く糸を無理せずに筬に糸を通すので軽くて暖かく優しい反物になるのであろう

蚕を殺めるから着物は着ない
という若者が続出しているそうだ
昔の日本人は「蚕」の身になってその命を美しく使い切ることに
努力したのっだと思う
そのための竹の筬だった
コメント
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