ナショナル・ジオグラフィック
アフリカのクロサイが、密猟で激減している。絶滅寸前のレッドリストにも載っている。
密猟者に人気の理由は、もちろん、あの見事な角だ。「サイの角のように、ただひとり歩め」という釈尊の名言を生んだだけあって、ホレボレするほど美しい、鎧を身にまとった一角獣。大昔の恐竜・トリケラトプスに似ている。
そんなサイのツノを珍重しているのは、やっぱり東アジア人だ。最近は、ベトナムで漢方薬としての需要が多いらしい。こればっかりは、東アジアに共通する傾向だ。日本も、古来から象牙の大需要地だっただけに文句は言いにくい。
だが、違うところはある。中国人の密猟者は、とにかく評判が悪い。この報道でも、「アフリカの道路工事で中国人が大勢来たところでは、ツノを切り落とされたサイの死体が増えた、という調査結果」が取り沙汰されている。幸いにして、日本人の場合、そんな風評が立った試しはない。やはり、そこが民度の違いだろう。
アフリカのジンバブエでは、ライフルでサイを狙撃し、そのツノを斧で切り落とすという手口の密猟が横行しているという。 「キジも鳴かずば撃たれまいに」という言葉もあるが、サイも美しいツノのおかげで命を落としている。立派なツノを持った大人のサイが狙われるので、子供のサイが迷子になっている。
そんなサイに、画期的な救出方法が考案された。鎮静剤を打ったサイを、ヘリコプターで空輸するというものだ。
高い空に吊るされて、安全な保護区まで運ばれるクロサイ。一頭あたり、10分ほどかけて運ばれるという。
雄大なアフリカの緑の大地をゆく、空の旅。筆者は高所恐怖症なので無理だが、なんとも気持ち良さそうだ・・・。