☆ 時代の流れで
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何年前になるかは定かではありませんが、その頃から執筆依頼が
いつの間にかだんだん増えて、わたしはスタジオのレッスンや、
カウンセリング、またときどき入る講演依頼などの合間に、いつでも
休みなく本を書いていました。
その頃は手書きでしたが、だんだんワープロを使う人が増え
てきたため、わたしも使うつもりで習ったのですが、メカオンチの
わたしは「これはわたしには合わない」とすぐに止めました。
ところがある大手の出版社から依頼があり、書くことが決まり
ました。ところがそのときに編集者が持ってきた原稿用紙は
ナントたった三冊でした。
ふつうは紙袋にイッパイにその社名入りの原稿用紙を持ってくる
のですが、そのとき編集者はとても申し訳けなさそうにこう言った
のです。「もう我が社ではワープロの原稿が多くなったため、原稿
用紙は作らなくなったので、不足分は、他店で買い求めて後でお届
けしますから」と。わたしは少なからずショックを受けました。
☆ PCと格闘した頃
嫌いなことは一切やらないわたしですので、ワープロはすぐに
諦めたのですが、これからは手書きの原稿はなくなるのかもしれない
と感じました。そしてホームページも開きたいと思い、インターネット
もできるパソコンを習おうと一念発起し、すぐに学校に入りました。
ところがその学校では進むスピードが大変速く、とてもついてい
けません。そのため諦めようとしたときに、「大丈夫気長にやれば必ず
できるから、がんばって!」と励ましてくれたのが、現在大学教授に
なった友人です。
それから我が家に先生に主張してもらい個人教授を受けましたが、
何しろメカオンチのわたしにしては物凄い努力をし、どうにか
使いこなせるようになったのです。
そしてPCをマスターしてから、こんなに便利なものを今まで使わ
なくて損だったと後悔するほど、原稿を書くのが大変早くなりました。
それにしても嫌いなことにはまったく根性がないわたしを、励まして
くれた友人のお陰で、わたしは何とか習得できたのです。
「持つべきものは友達だ」と、諦めの早いわたしを勇気づけて
くれた友人に今でも本当に感謝しています。
現在ではPCがない毎日など想像ができませんが、でも時代に
遅れずついていくのは、わたし達高齢者にはとても大変なことですが、
でも投げ捨てずに努力したお陰で、まだ物書きとして活動できるの
は有難いことだと思っています。
そして今も「あれだけの努力をすれば、必ず何事もできるのだ」
と信じて、やさしい友人に教えられながら、来年ロシアで開催される
国際心理学会でのプレゼンテーションのために、毎日ひたすら英語
を勉強しているわたしです。
能里子