引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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飛び入り小学生「おからの煮物」に挑戦!

2016年08月18日 | 出汁教室エピソード

<ブログ アーカイブ>

続けて仙台市での料理教室のアーカイブを

掲載いたします。

 

<だしをとって料理する教室>

 1、飛び入り小学生「おからの煮物」に挑戦!

さて、

午前の部が終り、一息入れようと

ティー・ブレイク中のこと。

 

「いい匂いがするけど、なにしてるんですか」

背後から声。

ふりむくと、

女の子数人が会場の窓からのぞいています。

「お料理してたのよ」

と窓に近寄ると、

窓枠まで背の足りない小さな子を合わせて

約10人の女の子たちでした。

会場の近所のY小学校の生徒で、

運動会が午前中で修了し、帰宅途中とのこと。

 

「わー、お料理したーい」

「入っていいですか」

「どーーぞ」と応えると、

「わーーい」と駆け足で入り口に向かいます。

入り口に並列に並び、声を揃えて、

元気よく「こんにちはァ」と挨拶し、入室。

リーダー格の体格のよい子が、1人、1人を

紹介してくれます。

1年生2人。2年生2人、4年生2人、5年生2人、

6年生2人の計10人。

紹介された子は、1人、1人、ぺこっぺこっと

頭を下げて、にっこりしたり、照れたり。

「お料理おしえてください!」

目が輝いています。

 

子供たちが飛び入りしてくるとは・・・。

ま、材料には余裕があるし、

「よっし、OK!、じゃ、やろうか!」と、わたし。

「やろう!、やろう!」

「なに、つくるんですか?」

「ごはんは、午前中つくったのがあるから、

おからの煮物、

豚のフライ(豚肉の梅香揚げ)、

とろろ昆布のお吸物ね」。

「おからの煮物って知らない」

「給食でも食べたことない?」

「ないですー」「ないよね」

「そう?へんだな、

お豆腐よりも栄養があるし、

食物繊維もあるしね。

おからの煮物ね、

女の子はしょっちゅう食べてると

美人になるのよ。

家では食べない?」

「おからの煮物って聞いたことないです」

 

「おからの煮物、わかんないけど、

わたし、つくってみたいです」と4年生の子。

「そう!じゃ、おからと一緒に煮る材料を

みんなで切って材料が揃ったら、

あとは、1人でつくる?」

「はい、やります」

 

リーダー格の子(以下リーダーの子)が

「これからやることをわたしに説明してください。

わたしがみんなにやらせますから」

レシピを見せて、プロセスを伝えたら、

見事に能力に応じて下級生に指示してくれました。

低学年の子には、飽きないように、

かんたんな仕事を次々与え、

失敗したら、落ち着いてさりげなく

手を出して助けるという姿勢に、感動。

他の子達も素直に従って調理しており、

小学生だって、なんでもできる!

すごいな、

こんなに素敵な子達が日本にはいるんだ、

と嬉しくなりました。

 

おからの煮物の作り方の手順は、

①鍋に、だし、砂糖、薄口しょうゆ、塩を合わせ煮立てる。

②下拵えした干し椎茸、にんじん、ごぼう、むき海老を、

香りがしてくるまで炒める。

③鍋を熱して油を入れ、おからを入れて炒める。

④③の鍋に、②を戻しいれて、①の煮汁を加え、

煮汁がほとんどなるまで煮る。

子供たちなので、ここで出来上がりにしておきました。

 

4年生の子は、仲間に話しかけられても一切乗らず、

ひたすら真剣にお鍋と格闘。

わたしが、

「はい、フライパンに火を点けて」

「はいッ」

「はい、ここでおからを入れて!」

「はいッ」

「木べらを大きくつかって混ぜてね」

「え?」

「お鍋の底の方から、

おからをひっくり返すように混ぜるの」

「はいッ」

と、猛特訓?(笑)。

できあがったとき、

彼女は、ちいさな声で

「できた・・・」と、にっこり。

「疲れた?」

ちいさな声で「楽しかった」と、

また、にっこり。

 

3品できあがり、配膳し、

いただきますのあと、

「おから初めて!」と言いながら食べはじめました。

最初の1~2口目は、味をたしかめていましたが、

3口目くらいから「おいしい」「おいしい」と言いはじめ、

残さず食べました。

 

食事中、リーダーの子が

「おから初めてだけど、おいしいです。

さっきから考えてたんですが、

この味は、きっとお父さんが好きな味だと思います。

お父さんに食べさせてあげたいので、

お鍋に残ったの、

少しだけ貰っていってもいいですか?

こういうの、うちのおかあさんには、

絶対つくれないから」

「絶対つくれないって、どうして?」

「おかあさん、フィリピン人なんです。

だから炒め物のパイナップル料理が多くて・・・。

お父さんの好きな、

おばあちゃんちで出てくるような、

お醤油をつかった、こういう味のは

絶対つくれないです。

持って帰ったら喜ぶと思います」

「今日のあなたの動きを見ていると、

お料理してるってこと、よくわかるんだけど、

ときどきつくってるの?」

「はい、おかあさんも働いてるし、

日本人のなかで働くのは大変だって、

土・日は、ぐったり疲れてるので、つくります。

あ、つくるといっても、スパゲッティくらいです。

妹や弟がスパゲッティ食べたいって言うんで。

もうひとつお願いがあるんですけど、

今日の、つくり方書いたのも、

持って帰れますか?」

 

結局、全員がおからの煮物を「お父さんに」

お土産にすることになりました。

お鍋を囲み、ビニール袋に詰めながら

「お父さん、喜ぶよね」

「つくったって言ったらびっくりするよね」

「これでビール飲むよ、ぜったい」

「ぜったいだよね」

ほんとうに楽しそうに袋によそう子供たち。

わたしが

「みんな、お父さん好きなのねーー」と言うと、

「好き~~!」

「大好き~~!」

 

帰るとき、全員がまた入り口に並列に並び、

「なんか、不思議、夢みたい!」

「お料理つくりたい」

「また会いたいな」

4年生の子は、ずっとわたしの顔をみつめていました。

その顔が、

ちょっぴり大人びてみえました。

 

レシピ片手に、いつまでも振りかえっては

手を振る子供たち。

おからの煮物、

おとうさんに喜んでもらえたでしょうか。

中高生になっても

「お父さん大好き!」って言うのかな。

 

 

コメント (1)
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