通常国会182日 共闘の力と共産党① 野党共闘 改憲論議吹き飛ばす
改ざん、隠ぺい、ねつ造、虚偽答弁…。歴史上かつてない“異常国会”となった通常国会が22日、閉会しました。32日間の会期延長を含め182日間。国民主権と議会制民主主義を壊す安倍政権の暴走に対し、野党があらゆる場面で共闘。日本共産党の論戦が力を発揮し、安倍政権をぎりぎりまで追い詰める国会となりました。
1月22日から始まった通常国会は、安倍晋三首相の当初の思惑とは大きくかけ離れ、「数の力」におごる安倍政権の根幹を揺さぶる事態が相次ぎました。
安倍首相は1月4日の年頭会見で、「憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国、民的な議論をいっそう深めていく」と宣言。通常国会に自民党の改憲案を提出する意思まで示しました。
ところが、通常国会の論戦が始まると事態は一変。今国会の目玉として打ち出した「働き方改革」一括法案の柱だった「裁量労働制」「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」にかかわる労働時間についての厚生労働省のデータねつ造が次々と判明しました。さらに、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん、加計学園の獣医学部新設でも安倍首相と加計孝太郎学園理事長の面談を記した愛媛県文書が発覚。「存在しない」と国会で答弁してきた陸上自衛隊イラク派兵部隊の「日報」が存在し、防衛省・自衛隊が1年以上にわたって隠ぺいしていた事実も明らかになりました。
どの問題も、国民主権と議会制民主主義を破壊する前例のない異常事態です。当初、安倍首相がもくろんでいた改憲スケジュールそのものが白紙に戻り、「働き方改革」一括法案からは、裁量労働制の拡大が丸ごと削除されるところまで追い込まれました。
国会共闘が発展するなかで繰り返し開かれた野党合同ヒアリング(左上)と野党合同院内集会(左下)。安倍内閣不信任案の賛成討論に立つ日本共産党の志位和夫委員長(下)
自民議員の嘆き
こうした事態に、自民党議員からは「狙いは完全に吹っ飛んだ」「もう憲法どころではない」という嘆きも。安倍首相目身も通常国会閉会直前の7月20日の党代議士会で「この国会を、政府は『働き方改革国会』と銘打ったが、大変厳しい国会となり、迷惑、苦労をかけた」と苦渋をにじませました。
安倍政権をここまで追い詰めた背景には、安倍退陣を求める市民のたたかい、野党の国会共闘の発展とともに、国会論戦をリードしてきた日本共産党の活躍があります。
森友公文書改ざん問題では、「朝日」が第1報を報じた直後の3月2日の参院予算委員会で、小池晃書記局長が、改ざんの調査をかたくなに拒む政府を追及。
日本共産党には、「国会の追及を見ていると資料を安心して託すことができる」と次々と内部告発が寄せられ、その国会論戦はメディアでも大きく報じられてきました。
他の野党が野党合同ヒアリングで、日本共産党が暴露した内部資料をもとに政府を厳しくただす場面もしばしば。こうした力が財務省に改ざんを認めさせ、改ざん前文書、森友側との交渉記録を国会に提出させる原動力となり、政府が隠し続けた真実をあばく成果をあげました。
緊密な協力体制構築
「野党の国会共闘は、画期的な前進をとげた」―。日本共産党の志位和夫委員長は20日の党議員団総会でこう述べ、野党が結束して安倍国政を動かししました。
野党の緊密な協力体制を築く足場となる野党国対委長連絡会(野国連)は、今国会から毎週水曜日に定例化され、野党間の重要な情報交換や意思統一の場となってきました。
野党合同ヒアリングの主なテーマと回数
通常国会(1月22日~7月22日)での主な出来事
大きな威力発揮
野党が合同で省庁担当者から聞き取りを行う「野党合同ヒアリング」も新しい取り組みとして定着。“第二の予算委員会”とも呼ばれ、「働き方改革」でのデータねつ造疑惑、森友決裁文書改ざん問題をはじめ11テーマで118回開催され、安倍政権を追い詰める大きな威力を発揮しました。
さらに、野党合同院内集会は、国会の節目節目で計8回開催。野党の結束が、裁量労働制の方が一般の人より労働時間が短いとした安倍首相答弁の撤回・陳謝、財務省の佐川宣寿前理財局長の証人喚問を実現する上で大きな力となりました。
政策面でも野党共闘は前進しています。
6野党・会派は、共同で2018年度予算の組み替え動議を提出。野党の共同組み替え要求は03年予算以来です。
また、被災者生活再建支援金の上限額を300万円から500万円に引き上げる被災者生活再建支援法改正案をはじめ、全原発の速やかな停止・廃炉を掲げた原発ゼロ基本法案など20本の法案を野党共同で提出。さらに、西日本を中心にこの30年間で最悪の被害をもたらした豪雨災害にたいしては、6野党・会派の党首がそろって首相官邸に行き、行政府、立法府一体で、災害対応を最優先に取り組もうと要請しました。
国民の怒り代弁
6野党・会派は通常国会の最終盤の20日にも党首会談を開催し、安倍政権への多くの国民の怒りを代弁して、安倍内閣不信任決議案を共同提出。同日の衆院本会議の賛成討論で、志位委員長はこう決意を表明しました。
「市民と野党の共闘をさらに大きく発展させ、安倍政権を倒し、憲法が生きる新しい政治をつくるために全力をあげる」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年7月23日付掲載
一覧にしてみると野党合同ヒアリングはこんなにもあるんですね。
行政当局との法案の中身や疑惑問題で突合せ。こちらは議席による時間制限はないからね…
やられっぱなしの国会と思いきや、改ざんを認めさせたり、無いと言っていた文書が出てきたり…。与党のがわのボロがゾロゾロ出てきた国会でもありました。
改ざん、隠ぺい、ねつ造、虚偽答弁…。歴史上かつてない“異常国会”となった通常国会が22日、閉会しました。32日間の会期延長を含め182日間。国民主権と議会制民主主義を壊す安倍政権の暴走に対し、野党があらゆる場面で共闘。日本共産党の論戦が力を発揮し、安倍政権をぎりぎりまで追い詰める国会となりました。
1月22日から始まった通常国会は、安倍晋三首相の当初の思惑とは大きくかけ離れ、「数の力」におごる安倍政権の根幹を揺さぶる事態が相次ぎました。
安倍首相は1月4日の年頭会見で、「憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国、民的な議論をいっそう深めていく」と宣言。通常国会に自民党の改憲案を提出する意思まで示しました。
ところが、通常国会の論戦が始まると事態は一変。今国会の目玉として打ち出した「働き方改革」一括法案の柱だった「裁量労働制」「残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」にかかわる労働時間についての厚生労働省のデータねつ造が次々と判明しました。さらに、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん、加計学園の獣医学部新設でも安倍首相と加計孝太郎学園理事長の面談を記した愛媛県文書が発覚。「存在しない」と国会で答弁してきた陸上自衛隊イラク派兵部隊の「日報」が存在し、防衛省・自衛隊が1年以上にわたって隠ぺいしていた事実も明らかになりました。
どの問題も、国民主権と議会制民主主義を破壊する前例のない異常事態です。当初、安倍首相がもくろんでいた改憲スケジュールそのものが白紙に戻り、「働き方改革」一括法案からは、裁量労働制の拡大が丸ごと削除されるところまで追い込まれました。
国会共闘が発展するなかで繰り返し開かれた野党合同ヒアリング(左上)と野党合同院内集会(左下)。安倍内閣不信任案の賛成討論に立つ日本共産党の志位和夫委員長(下)
自民議員の嘆き
こうした事態に、自民党議員からは「狙いは完全に吹っ飛んだ」「もう憲法どころではない」という嘆きも。安倍首相目身も通常国会閉会直前の7月20日の党代議士会で「この国会を、政府は『働き方改革国会』と銘打ったが、大変厳しい国会となり、迷惑、苦労をかけた」と苦渋をにじませました。
安倍政権をここまで追い詰めた背景には、安倍退陣を求める市民のたたかい、野党の国会共闘の発展とともに、国会論戦をリードしてきた日本共産党の活躍があります。
森友公文書改ざん問題では、「朝日」が第1報を報じた直後の3月2日の参院予算委員会で、小池晃書記局長が、改ざんの調査をかたくなに拒む政府を追及。
日本共産党には、「国会の追及を見ていると資料を安心して託すことができる」と次々と内部告発が寄せられ、その国会論戦はメディアでも大きく報じられてきました。
他の野党が野党合同ヒアリングで、日本共産党が暴露した内部資料をもとに政府を厳しくただす場面もしばしば。こうした力が財務省に改ざんを認めさせ、改ざん前文書、森友側との交渉記録を国会に提出させる原動力となり、政府が隠し続けた真実をあばく成果をあげました。
緊密な協力体制構築
「野党の国会共闘は、画期的な前進をとげた」―。日本共産党の志位和夫委員長は20日の党議員団総会でこう述べ、野党が結束して安倍国政を動かししました。
野党の緊密な協力体制を築く足場となる野党国対委長連絡会(野国連)は、今国会から毎週水曜日に定例化され、野党間の重要な情報交換や意思統一の場となってきました。
野党合同ヒアリングの主なテーマと回数
茂木敏充経済再生相秘書らの選挙区での線香配布問題 | 1回 |
「働き方改革」の虚偽データ疑惑など | 41回 |
財務省の森友学園決裁文書の改ざん問題 | 25回 |
加計学園疑惑 | 16回 |
イラク日報隠ぺい問題 | 6回 |
文科省による前川喜平前事務次官の授業介入問題 | 5回 |
財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題 | 13回 |
カジノ実施法案問題 | 5回 |
児童虐待防止対策 | 3回 |
文科省局長の受託収賄疑惑 | 2回 |
古屋圭司衆院議院運営委員長のパーティー券過少申告疑惑 | 1回 |
通常国会(1月22日~7月22日)での主な出来事
2月14日 | 安倍晋三首相が労働時間データで述べた答弁を撤回・謝罪 |
28日 | 安倍首相が「働き方改革」一括法案から裁量労働制拡大を全面削除すると表明 |
3月2日 | 「朝日」報道で森友学園の国有地取引の決裁文書改ざん疑惑が発覚 |
9日 | 財務省前理財局長の佐川宣寿国税庁長官が辞任 |
12日 | 財務省が改ざんを認め、改ざん前文書を公表 |
16日 | 文科省が、前川喜平前事務次官が行った中学校授業の報告を求め、圧力をかけた教育介入問題が発覚 |
27日 | 衆参予算委員会で佐川氏の証人喚問 |
4月2日 | 防衛省が「存在しない」としてきたイラク派兵部隊の日報が見つかったと発表 |
10日 | 加計学園の獣医学部新設問題で学園、愛媛県、今治市側と面会した柳瀬唯夫元首相秘書官が「本件は、首相案件」と発言したとの愛媛県文書が判明 |
16日 | 防衛省がイラク日報約1万5千ページを公表 |
24日 | 財務省の福田淳一事務次官がセクハラ疑惑で辞任 |
5月10日 | 衆参予算委員会で柳瀬氏の参考人質疑 |
21日 | 愛媛県が参院に、安倍首相が加計学園の加計孝太郎理事長と15年2月25日に面会し、学園の獣医学部構想について「いいね」と応じていた行政文書を提出 |
23日 | 財務省が森友側との交渉記録と改ざん前決裁文書全文を国会に提出 |
23日 | 防衛省がイラク日報調査報告書を公表 |
6月4日 | 財務省が改ざん問題での調査結果を公表 |
19日 | 加計学園の加計理事長が記者会見し、安倍首相との15年2月25日の面会について「記憶にも記録にもない」と否定 |
20日 | 自民、公明が32日間の会期延最を強行議決 |
29日 | 自民、公明、維新が「働き方改革」一括法の成立強行 |
7月18日 | 自民、公明が参院定数6増の改定公職選挙法の成立強行 |
20日 | 共産、立憲民主、国民民主、無所属の会、自由、社民の6野党・会派が安倍内閣不信任決議案を共同提出(自公維が否決)。 自民、公明、維新がカジノ実施法の成立強行 |
大きな威力発揮
野党が合同で省庁担当者から聞き取りを行う「野党合同ヒアリング」も新しい取り組みとして定着。“第二の予算委員会”とも呼ばれ、「働き方改革」でのデータねつ造疑惑、森友決裁文書改ざん問題をはじめ11テーマで118回開催され、安倍政権を追い詰める大きな威力を発揮しました。
さらに、野党合同院内集会は、国会の節目節目で計8回開催。野党の結束が、裁量労働制の方が一般の人より労働時間が短いとした安倍首相答弁の撤回・陳謝、財務省の佐川宣寿前理財局長の証人喚問を実現する上で大きな力となりました。
政策面でも野党共闘は前進しています。
6野党・会派は、共同で2018年度予算の組み替え動議を提出。野党の共同組み替え要求は03年予算以来です。
また、被災者生活再建支援金の上限額を300万円から500万円に引き上げる被災者生活再建支援法改正案をはじめ、全原発の速やかな停止・廃炉を掲げた原発ゼロ基本法案など20本の法案を野党共同で提出。さらに、西日本を中心にこの30年間で最悪の被害をもたらした豪雨災害にたいしては、6野党・会派の党首がそろって首相官邸に行き、行政府、立法府一体で、災害対応を最優先に取り組もうと要請しました。
国民の怒り代弁
6野党・会派は通常国会の最終盤の20日にも党首会談を開催し、安倍政権への多くの国民の怒りを代弁して、安倍内閣不信任決議案を共同提出。同日の衆院本会議の賛成討論で、志位委員長はこう決意を表明しました。
「市民と野党の共闘をさらに大きく発展させ、安倍政権を倒し、憲法が生きる新しい政治をつくるために全力をあげる」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年7月23日付掲載
一覧にしてみると野党合同ヒアリングはこんなにもあるんですね。
行政当局との法案の中身や疑惑問題で突合せ。こちらは議席による時間制限はないからね…
やられっぱなしの国会と思いきや、改ざんを認めさせたり、無いと言っていた文書が出てきたり…。与党のがわのボロがゾロゾロ出てきた国会でもありました。