過熱する貿易摩擦① 報復の連鎖 世界経済に衝撃
トランプ米政権は、中国が知的財産権を侵害したとして同国から輸入する製品に25%の追加関税を課す貿易制限措置を発動しました。中国も同規模の報復関税を実施。関税の報復合戦は、世界経済に重大な影響を与えます。
世界最大の経済大国の米国は、巨額の貿易赤字を抱え続けています。2017年の貿易赤字は7962億ドルでした。このうち中国が約半分を占めています。トランプ氏にとって巨額の赤字は貿易相手国に「負けた」と映ります。
トランプ氏は、ツイッターに「貿易戦争は良いことだ。簡単に勝てる」「中国は不公正な貿易をやめ、障壁を解体しなければならない」「中国に知的財産権を盗まれている」などと繰り返し投稿してきました。「貿易戦争」に打ち勝つトランプ政権の手段は、輸入品に高い関税を課し、貿易を制限することです。

種まき機に大豆の種を入れる農民=米ミズーリ州(ロイター)
知財侵害理由に
トランプ政権は3月、米通商法301条に基づき、中国の知財権侵害を理由に制裁関税を表明していました。米国の追加関税の対象は年500億ドル(約5兆5000億円)相当の輸入品で1102品目に上ります。6日から第1弾として340億ドル相当に追加関税を発動しました。対象は、航空宇宙、情報通信技術、ロポット、産業機械、新素材、自動車など818品目です。中国はただちに、大豆、牛肉、豚肉、自動車、水産物など545品目を対象に報復措置をとりました。中国は、米与党共和党の票田である農業州の産品が中心で「トランプ政権の弱点を狙った」(中国の事情通)ものとなっています。
米中両国は、事態の推移を見て、残り160億ドル相当の輸入品にも高関税を課します。トランプ大統領は対中関税の対象規模を4500億ドルに増やす可能性すら示唆しています。
米国は既に3月には、鉄鋼とアルミニウムに対しそれぞれ25%、10%の追加関税による輸入制限措置を発動しています。欧州連合(EU)、カナダなどが相次いで報復措置をとりました。
さらに、スポーツ用多目的車(SUV)、バン、小型トラックなどを含む自動車や同部品の輸入が米国の安全保障の脅威となっているのではいか、として関税措置を検討しています。
高関税措置は、多国籍企業によって構築された世界的な供給網に打撃を与えます。米国を代表するゼネラルモーターズ(GM)やハーレーダビッドソンなどの大企業や業界団体などが懸念と批判の声を上げだしました。
国際機関も危惧
戦後、米国企業の世界展開を支えてきた国際機関からも事態を危惧する声が噴出。国際通貨基金(IMF)は、米国経済に関する年次審査報告で、トランプ政権の通商政策に「深刻な懸念」を表明しました。輸入制限措置が相手国による報復を招き、多国間の貿易体制が損なわれるとして、米国にとどまらず全世界に悪影響が広がるとしました。
世界銀行も6月、関税引き上げが最大レベルに達した場合、2008年から09年の世界経済危機に匹敵する貿易の落ち込みを経験することになると警鐘を鳴らしました。世界経済にとって、「米国第一」のトランプ政権の政策がリスク要因になっています。(つづく)(5回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年7月10日付掲載
貿易収支で負けてるから、腹いせに関税をかけるって、フェアではありませんね。
製品の質と価格で勝負すべきです。
トランプ米政権は、中国が知的財産権を侵害したとして同国から輸入する製品に25%の追加関税を課す貿易制限措置を発動しました。中国も同規模の報復関税を実施。関税の報復合戦は、世界経済に重大な影響を与えます。
世界最大の経済大国の米国は、巨額の貿易赤字を抱え続けています。2017年の貿易赤字は7962億ドルでした。このうち中国が約半分を占めています。トランプ氏にとって巨額の赤字は貿易相手国に「負けた」と映ります。
トランプ氏は、ツイッターに「貿易戦争は良いことだ。簡単に勝てる」「中国は不公正な貿易をやめ、障壁を解体しなければならない」「中国に知的財産権を盗まれている」などと繰り返し投稿してきました。「貿易戦争」に打ち勝つトランプ政権の手段は、輸入品に高い関税を課し、貿易を制限することです。

種まき機に大豆の種を入れる農民=米ミズーリ州(ロイター)
知財侵害理由に
トランプ政権は3月、米通商法301条に基づき、中国の知財権侵害を理由に制裁関税を表明していました。米国の追加関税の対象は年500億ドル(約5兆5000億円)相当の輸入品で1102品目に上ります。6日から第1弾として340億ドル相当に追加関税を発動しました。対象は、航空宇宙、情報通信技術、ロポット、産業機械、新素材、自動車など818品目です。中国はただちに、大豆、牛肉、豚肉、自動車、水産物など545品目を対象に報復措置をとりました。中国は、米与党共和党の票田である農業州の産品が中心で「トランプ政権の弱点を狙った」(中国の事情通)ものとなっています。
米中両国は、事態の推移を見て、残り160億ドル相当の輸入品にも高関税を課します。トランプ大統領は対中関税の対象規模を4500億ドルに増やす可能性すら示唆しています。
米国は既に3月には、鉄鋼とアルミニウムに対しそれぞれ25%、10%の追加関税による輸入制限措置を発動しています。欧州連合(EU)、カナダなどが相次いで報復措置をとりました。
さらに、スポーツ用多目的車(SUV)、バン、小型トラックなどを含む自動車や同部品の輸入が米国の安全保障の脅威となっているのではいか、として関税措置を検討しています。
高関税措置は、多国籍企業によって構築された世界的な供給網に打撃を与えます。米国を代表するゼネラルモーターズ(GM)やハーレーダビッドソンなどの大企業や業界団体などが懸念と批判の声を上げだしました。
国際機関も危惧
戦後、米国企業の世界展開を支えてきた国際機関からも事態を危惧する声が噴出。国際通貨基金(IMF)は、米国経済に関する年次審査報告で、トランプ政権の通商政策に「深刻な懸念」を表明しました。輸入制限措置が相手国による報復を招き、多国間の貿易体制が損なわれるとして、米国にとどまらず全世界に悪影響が広がるとしました。
世界銀行も6月、関税引き上げが最大レベルに達した場合、2008年から09年の世界経済危機に匹敵する貿易の落ち込みを経験することになると警鐘を鳴らしました。世界経済にとって、「米国第一」のトランプ政権の政策がリスク要因になっています。(つづく)(5回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年7月10日付掲載
貿易収支で負けてるから、腹いせに関税をかけるって、フェアではありませんね。
製品の質と価格で勝負すべきです。