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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

雇用によらない働き方 法律で守られない究極の「非正規」

2021-12-26 05:41:28 | 働く権利・賃金・雇用問題について
雇用によらない働き方 法律で守られない究極の「非正規」
フリーランスや個人請負などの「雇用によらない働き方」が注目されています。実態は雇用なのに、契約の形式が請負・委託などの「名ばかり個人事業主」と言える場合が少なくありません。
昨年、コロナ禍で公演が中止されるなど、フリーランスは大きな被害を受けました。労働法や雇用保険法が適用されず、十分な救済を受けられない不安定な働き方の現実が明らかになりました。
政府・財界は長年、「多様な働き方の自由な選択を可能にする」という名目で労働法の規制緩和を続けてきました。現在、パート、有期、派遣などの非正規雇用が労働者の約4割に上ります。日本的非正規雇用は不安定、差別待遇、無権利、団結困難など、世界でも劣悪さが際立っています。



配達するウーバーイーツの労働者

建前は働く人の「自由な選択」とされます。しかし、フリーランスなどは、実際は「非雇用」として労働法・社会保障法の保護を受けられない「究極の非正規雇用」と考えるべきです。
2017年、当時の安倍内閣は「働き方改革実行計画」で、「雇用類似の働き方」の法的保護の必要性を中長期的課題に挙げ、検討を開始。フリーランスの拡大を労働力政策の一つとして戦略的に位置づけました。
20年3月の「改正高年齢者雇用安定法」は、65歳定年後の継続就労の選択肢として「業務委託契約での就労」を明記しました。政府は年金財政の悪化を口実に、高齢者を「雇用によらないギグ・ワーカー(単発の仕事を請け負う労働者)」として働かせる意図を露骨に表明しています。
政府は今年3月、「フリーランス・ガイドライン」を定めました。これは、契約を結ぶ際の事業者間の公正取引の問題が中心で、労働保護は極めて乏しい内容です。ウーバーイーツ・ユニオンなどは、配達中の事故など、企業負担での労災保険適用を求めています。ところが、ガイドラインは働く人が全額を負担する「労災保険特別加入」の範囲の拡大にとどまっています。
岸田文雄首相は「新しい資本主義実現会議」で、事業者とフリーランスの契約の明確化などについて新法制定の方向を示しました。議論を深めないまま「ガイドライン」の不十分な内容を固定化する恐れがあります。

ILO(国際労働機関)は雇用関係勧告(06年)で、個人請負を偽装した使用者の法的責任回避を規制する必要性を提起。米国政府は、実態は労働者なのに個人事業主扱いにする企業の対応を「誤分類」と呼び、税金や社会保険料負担を回避する違法行為として厳しく規制しています。
EU(欧州連合)諸国では、ウーバーなどの就業者らを、自営業者ではなく労働者として保護する最高裁判決や法律制定が相次いでいます。韓国では昨年、自営業者にも雇用保険を拡張適用する法改正が成立、段階的に施行されています。
日本も、世界の動向を踏まえて、労働者保護を拡張適用する方向でフリーランス保護ルールを定めることが必要です。
脇田滋(わきた・しげる 龍谷大学名誉教授)

「しんぶん赤旗」日曜版 2021年12月26日付掲載


フリーランスや個人請負。建前は働く人の「自由な選択」。
でも、実際は裁量なんかない。言われるままに働かされる。残業代も出ない、ガソリン代やバイクの修理も自腹。
ILO(国際労働機関)は雇用関係勧告(06年)で、個人請負を偽装した使用者の法的責任回避を規制する必要性を提起。米国政府は、実態は労働者なのに個人事業主扱いにする企業の対応を「誤分類」と呼び、税金や社会保険料負担を回避する違法行為として厳しく規制。
日本でも労働者保護が求められます。

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