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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

金持ち優遇税制 「1億円の壁」見直し待ったなし

2022-12-10 07:02:25 | 予算・税金・消費税・社会保障など
金持ち優遇税制 「1億円の壁」見直し待ったなし
年間所得1億円から税負担率が下がる「1億円の壁」は日本の金持ち優遇税制を象徴する言葉として定着してきました。日本の税制のあり方について検討する政府税制調査会でも議論になっています。課税の不均衡解消には所得総額が一定以上の富裕層に追加の負担を求めることが欠かせません。


東京都千代田区にある財務省

共産党の国会議員 再三にわたり追及
政府税制調査会でも議論
金融所得税一律20%

「1億円の壁」問題は日本共産党の大門実紀史参院議員(当時)が2007年3月14日の参院予算委員会で初めて取り上げ、その後、日本共産党の国会議員が再三にわたり追及してきたものです。11月17日の参院財政金融委員会では小池晃議員が「税の公平性を保つという点でも税収を確保するという点でも、なくしていくべき壁だ」と政府に迫りました。
「1億円の壁」は給与所得などにかかる所得税・住民税の税率が課税所得に応じて15%~55%へと段階的に上がっていく(グラフ1)のに対し、株式譲渡益などの金融所得にかかる税率が一律20%にとどまっていることから生じます。富裕層になるほど所得額に占める株式譲渡益の割合が大きく、2020年の国税庁統計によると、年間所得100億円超で所得の77・2%、50億円~100億円で89・5%を占めます。その結果、所得階級別にみた所得税負担率は5000万円~1億円を頂点に所得が高くなるほど負担率は低くなる傾向があります。



10月4日の政府税制調査会会合には財務省が資料として「1億円の壁」のグラフを提出。出席者から「公平の観点からすると税制調査会でもっと深く考える必要がある」「高額所得者層に対する新たなる負担の強化ということを私たちは議論しなければいけない」などの意見が出ました。同会合には社会保険料の負担をあわせた負担率のグラフも出されています。
所得に応じて負担するのは所得税、社会保険料に加えて住民税もあります。住民税も富裕層優遇が鮮明です。住民税は給与所得などには10%ですが、株式譲渡益や株式配当などには5%しかかからないからです。
これらを踏まえた負担率を本紙が試算しました(グラフ2)。社会保険料の影響で低所得者層、中間層の負担が極端に増えていることが明白です。所得50億円~100億円では所得150万円~200万円より負担率が低いのです。



世界と比べても異常
日本の「1億円の壁」は世界に比べても異常です。10月4日の会合にはアメリカ、イギリスの所得税負担率も提出されました(グラフ3)。最高所得の負担率をみると、アメリカでは所得10・9億円以上で負担率は24・9%、イギリスでも所得2・8億円以上で39・4%と日本ほど極端な落ち込みはみられませんでした。アメリカ(ニューヨーク市の場合)では配当や株式譲渡益には最高34・8%の段階課税、イギリスでも配当に対して最高38・1%の税率がかかるからです。



世論盛り上げ運動を
もともと岸田文雄首相は昨年の総裁選で1億円の壁を「打破する」と公約していました。しかし、首相になると株価の下落などに動揺。金融資産課税の見直しを棚上げしてしまいました。
今になって「1億円の壁」が検討課題にのぼるのはこの間題が格差を生む税財政の象徴であることが広く国民に周知されてしまったからです。
ただ、現在の議論は不十分です。議論の対象が株式や土地の売買に限られ、株の配当には触れられていません。上場企業からの配当は大口株主を除き、申告不要制度が適用され、源泉徴収による所得税・住民税の20%が課税されるだけです。配当は1回限りで終わる株式売買とは違い、何度も発生します。ここに手を付けることが重要です。
金融所得課税の見直しに財界は抵抗しています。経団連は9月13日に発表した「23年度税制改正に関する提言」で金融所得課税の見直しについて「市場の価格形成、経済社会に与える影響、投資家の資産選択への影響等にも十分に留意しつつ、慎重に検討すべき」と述べています。与党の税制調査会でも課税強化が投資促進策と矛盾するとして「ブレーキとアクセルを同時に踏むべきではない」との反論も出されました。
これらの妨害を乗り越え、所得再分配という税制の役割を実現するためには、国民世論を盛り上げ、運動を広げることが求められています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月6日付掲載


「1億円の壁」問題は日本共産党の大門実紀史参院議員(当時)が2007年3月14日の参院予算委員会で初めて取り上げ、その後、日本共産党の国会議員が再三にわたり追及してきたもの。
「1億円の壁」は給与所得などにかかる所得税・住民税の税率が課税所得に応じて15%~55%へと段階的に上がっていく(グラフ1)のに対し、株式譲渡益などの金融所得にかかる税率が一律20%にとどまっていることから生じます。
所得に応じて負担するのは所得税、社会保険料に加えて住民税もあります。住民税も富裕層優遇が鮮明です。住民税は給与所得などには10%ですが、株式譲渡益や株式配当などには5%しかかからないから。
今になって「1億円の壁」が検討課題にのぼるのはこの間題が格差を生む税財政の象徴であることが広く国民に周知されてしまったから。
ただ、現在の議論は不十分。議論の対象が株式や土地の売買に限られ、株の配当には触れられていません。
根本的解決は、株式などへの課税を分離課税から合算課税に切り替えることです。

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