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「富岳」、飛沫拡散を“見える化” 人々の行動変えた スパコン最高峰賞を受賞

2021-11-24 07:15:20 | 科学だいすき
「富岳」、飛沫拡散を“見える化” 人々の行動変えた スパコン最高峰賞を受賞
新型コロナウイルス感染症の流行下、飛沫(ひまつ)の拡散シミュレーションの映像を公開してきた理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」による研究が、スパコン界の最高峰と目される「ゴードン・ベル賞」に輝きました。飛沫などの飛散状況の“見える化”によって、日本のみならず世界の人々の行動を変化させたことが評価されました。(中村秀生)

「スパコンは何か得体のしれない計算をしているのではないか―といった思いがたくさんあると思う。今回、飛沫の計算をしたとき『そんな簡単なことをスパコンでやるんだ』といろんな人から言われた。でも、感染初期にはマスクの効果でさえ、WHO(世界保健機関)など権威あるところが懐疑的だった。身近なものでも分からないことはものすごくたくさんある。そういうところを明らかにすることにスパコンが役立ったことを伝えられたのが、よかった」
研究を主導した理研の坪倉誠チームリーダー(神戸大学教授)は19日、記者会見で受賞の喜びを語りました。

●危機
新型コロナの世界的な感染拡大の当初、科学的データは不足していました。ウイルスを含む飛沫・エアロゾル(空気中を漂う微粒子)がどう広がるのか、どんな対策をとるべきか、よく分かっていませんでした。
そのころ坪倉さんたちは、さまざまな物理現象が複雑・複合的にからみあう現象をシミュレーションするためのソフトウエアを、富岳で使えるよう調整作業を進めていました。
そこに到来したコロナ危機。「何らかの形で貢献したい」。研究チームは自動車エンジンの熱流動予測技術を応用し、すぐさま飛沫解析をスタート。マスクの効果、会話時の飛沫の動き、電車や室内環境での飛沫などの飛散状況を再現するシミュレーション結果を、次々と公開しました。
緊急事態宣言明けにはオフィスの気流解析や満員電車の換気の効果、夏休み明けは教室内や音楽の授業のシミュレーション、若い人に感染が広がった時期はカラオケのリスク評価、今年話題になった二重マスクの効果…。「感染状況は日々変わる。必要なときに必要なタイミングでたくさんの情報を提供することを心がけた」と坪倉さんは振り返ります。
圧倒的な計算能力を誇る富岳を使い、約50の感染シーンについて1000を超える多様な条件で解析。社会への啓発、行政機関などによるガイドラインの策定に貢献しました。
このことが今回、米国計算機学会のゴードン・ベル賞の新型コロナ研究特別賞の受賞につながりました。



富岳で計算した、会話時の飛沫飛散シミュレーションの一例(提供=理化学研究所・神戸大学/協力=豊橋技術科学大学・京都工芸繊維大学・東京工業大学・九州大学)


スーパーコンピューター「富岳」=神戸市(理化学研究所提供)

●対話
研究を通して坪倉さんが気づいたことがあります。科学と社会の対話の重要性です。
コーラスをする女性からSNSで連絡がありました。「コーラスは危険そうだが、どうすればいいか」。これが合唱時の人の並び方やマウスガードの効果のシミュレーションに結実しました。「対話がまた新しい研究を生んでいく。研究者はただ論文を書くためにスパコンを使うのではなく、国民の財産でつくった資源を国民のみなさんに還元する。結果を社会に発信することを心がけないと…」
理研の松岡聡・計算科学研究センター長は胸を張ります。「リアルタイムでコロナ危機に対して富岳がインパクトを与えた。スパコンが社会を変えていくカギとなる道具であることを示した」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月23日付掲載


人がマスクをしないで会話した時、飛沫がどのように拡散するのか…。コロナ禍が起こらなかったら、このようなリスクの計算は必要ありませんでした。
飛沫拡散を可視化することで、人々の行動制限をどのようにすれば良いか実感として分かる。
スパコンが足元で技術的に支えています。

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