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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

生成AI ルールを考える③ 資本主義でゆがむ恐れ

2023-07-18 07:09:26 | 政治・社会問題について
生成AI ルールを考える③ 資本主義でゆがむ恐れ

経済研究者 友寄英隆さん

生成AI(人工知能)のルールづくりで忘れてならないことは、現在の世界の主要国は資本主義社会だということです。利潤追求が経済活動の基本目的になっている社会です。巨大なIT(情報技術)開発企業や資本主義大国間の「AI技術開発」をめぐる覇権争いのために、人類的視野で進められるべきAIのルールづくりがゆがめられてはなりません。

アルトマン提案
生成AIを活用した自動会話プログラム、チャットGPTを公開したオープンAI社のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は今年5月の米議会での証言で、高度なAI技術を開発する企業へのライセンス制を導入することを提案しました。基準を満たさない企業にはAI技術の開発を認めず、新たなAI製品の販売・流通も認めない仕組みをつくってほしいという提言です。
しかし、こうしたAI開発のライセンス制は、真の規制にはならないでしょう。ライセンス制は、すでに先行的な開発に成功して莫大(ばくだい)な利益を上げている大企業にAI開発の特権を与えて、他の企業の参入を排除するという提案であり、AI大国の米国らしい発想です。
このアルトマン提案を聞いたとき、筆者は、核兵器の開発・保有の「権利」を核大国だけに認める「核抑止力」論を想起しました。それは、真に核戦争の危険をなくす核兵器禁止のルールではありません。




EUの規制法案
欧州連合(EU)は早くから、AIのルールづくりに積極的に取り組み、2021年4月には、AI規制法案をすでに決めていました。今年6月には、欧州議会は、最近の生成AIの技術進歩をうけて、AI規制法案の修正案を採択しました。
今回の修正案では、AI開発が守るべき基準として、これまでの「安全、健康、基本的人権」の三つの価値に、新たに「民主主義と法の支配」、「環境」を追加して、AIがそれらの五つの価値を脅かさないようなルールが必要だとしています。
EUが目指すルールの特徴は、リスクの程度に応じて、低いものから許容できないものまで四つのランクに分けて、開発企業への事前の審査によってリスクを予防的に規制しようということです。
EUの法案では、生成AIのような汎用(はんよう)性の高いAIを「高リスクAI」に分類し、システム内容を公的データベースに登録させることや、AIで生成したコンテンツ(文書や画像など)は、それと分かるように表示する透明化を求める内容になっています。透明化のためには、AIが生成したことの明記を義務づけるとともに、生成した文章の字体を変えるなどして、生成AIの文書を識別できるようにすることなどをあげています。
生成AIの文書を透明化するというルールは、利用者にとっては有効です。たとえば、食品の場合は、その安全性を担保するために、厳格な品質表示が「食品表示法」で定められています。消費者は、賞味期限や添加物などの表示を見て購入することができます。
しかし、生成AIのサービスと食品の場合は、まったく異質な分野なので単純な類推はできません。AIにふさわしい規制のルールを考える必要があるでしょう。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年7月14日付掲載


ライセンス制は、すでに先行的な開発に成功して莫大(ばくだい)な利益を上げている大企業にAI開発の特権を与えて、他の企業の参入を排除するという提案であり、AI大国の米国らしい発想。
今回の修正案では、AI開発が守るべき基準として、これまでの「安全、健康、基本的人権」の三つの価値に、新たに「民主主義と法の支配」、「環境」を追加して、AIがそれらの五つの価値を脅かさないようなルールが必要だと。
生成AIの文書についても、その出所を表示させる義務が必要だと。

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