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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

新興感染症へのそなえ(上) 7150床も減らされた病床

2024-08-17 06:15:59 | 医療・福祉・介護問題について
新興感染症へのそなえ(上) 7150床も減らされた病床
新型コロナ感染の波がいまだ収まらない中、自公政権は次の感染症危機に備える行動計画を7月に閣議決定し、具体化の議論を進めています。政府は医療機関に対し、新たな感染症発生時の病床数を事前に約束させる一方、医療従事者増員の対策には触れず、医療関係者から「同じ過ちを繰り返すのか」との批判の声が出ています。
(吉岡淳一)

新型コロナでは、医師から入院が必要だと診断されても自宅や高齢者施設などに留め置かれて亡くなった人が相次ぎました。必要な人に必要な医療体制を整備するという政府の責任を果たせなかったのです。

国の責任触れず
4月施行の改定感染症法で、医療機関は都道府県と「医療措置協定」を結ぶことが定められました。9月中に協定締結を終える予定です。
同協定は、新たな感染症発生・まん延時に▽感染症向け病床数▽発熱外来設置▽自宅療養者への医療提供▽感染症以外の患者受け入れ(後方支援)▽感染症対応の医療機関への人材派遣iを事前に取り決めます。
慢性的な人手不足のもとで感染症対応の人材の「養成」「研修」を医療機関に強いる一方、医療人材「増員」への国の責任には=言も触れていません。
全国の協足締結状況(6月1日時点)は、ベッド数が目標4万5148床に対し締結数は3万6918床(82%)。発熱外来設置数は、目標4万1228機関に対し同2万2276機関(54%)にとどまっています。



感染症病床をもつ東京都内の病院

自民政治のもと
感染症対応の病床は自民党政治のもとで大幅に削減されました。
現行感染症法の前身「伝染病予防法」時の1998年に伝染病指定病床は全国に9060床ありました。99年4月に感染症法に移行し、新型コロナ発生時の2020年の感染症指定病床は1904床へと約7150床も削減されてしまいました。
厚生労働省は新型コロナ発生直後の20年3月、コロナ流行時の入院患者数・重症者数・外来受診数を推計する計算式を都道府県に通知していました。それによると入院患者数は全国22・5万人と推計され、感染症指定病床の約118倍にもなります。削減後の感染症病床では対応しきれず、一般病床にもコロナ患者を入院させる必要に迫られました。
慢性的な医療人材不足に手をこまねいてきたこととも相まって、医療崩壊は社会保障費を抑制する政府の誤った政策が招いた事態だと言わざるを得ません。
厚労省の直近のデータ(23年4月)でも感染症指定病床は1874床にとどまっています。
新型コロナの経験を踏まえたとする政府の新興感染症行動計画の具体化のためのガイドラインを審議する厚労省内の部会で、国立病院機構の委員から「新型コロナの国家としての総括がないのではないか」と疑問を呈する声が出ています。
愛知県社保協地域医療委員会委員の長尾実氏は指摘します。「新興感染症のための医療措置協定を結んでも、政府はそれを実行する人員増のことには一言も触れない。これでは絵に描いた餅だ」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年8月12日付掲載


現行感染症法の前身「伝染病予防法」時の1998年に伝染病指定病床は全国に9060床ありました。99年4月に感染症法に移行し、新型コロナ発生時の2020年の感染症指定病床は1904床へと約7150床も削減。
厚生労働省は新型コロナ発生直後の20年3月、コロナ流行時の入院患者数・重症者数・外来受診数を推計する計算式を都道府県に通知していました。それによると入院患者数は全国22・5万人と推計され、感染症指定病床の約118倍にもなります。削減後の感染症病床では対応しきれず、一般病床にもコロナ患者を入院させる必要に。
愛知県社保協地域医療委員会委員の長尾実氏は指摘。「新興感染症のための医療措置協定を結んでも、政府はそれを実行する人員増のことには一言も触れない。これでは絵に描いた餅だ」
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