きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「自治体消滅」批判② 女性は産む機械ではない

2024-08-26 06:38:21 | 政治・社会問題について
「自治体消滅」批判② 女性は産む機械ではない
民間の有識者会議「人口戦略会議」(議長・三村明夫日本製鉄名誉会長)は4月に、20~39歳の若年女性人口の減少率が2020~50年の間に50%以上となる自治体(消滅可能性自治体)が744あるとするリポートを公表しました。14年に民間の有識者会議「日本創成会議」(座長・増田寛也元岩手県知事)が公表した「消滅可能性都市」と同じ試算方法です。

“レッテル貼り”
手法は単純で、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が試算した「日本の地域別将来推計人口」から「20~39歳の女性人口」を抜き出して、50年に同人口が半分以上減る自治体を「最終的には消滅する可能性が高いのではないか」とレッテル貼りしただけの乱暴な試算です。
社人研の同じ資料を使い、「20~39歳の男性人口」を抜き出すと、同人口が半減する自治体が726あり、男女共に若年人口が半減する自治体は672自治体あります。地方では男女ともに人口が減っており、女性であっても男性であっても結果はほぼ同じ。にもかかわらず女性のみを標的にして「自治体が消える」とあおるのは、元厚生労働相の「女性は産む機械」発言を想起させます。
これは合計特殊出生率をめぐる議論でも同じです。厚労省は6月に23年の「人口動態統計」の概数を公表。すべての都道府県で合計特殊出生率が前年を下回っていました。
合計特殊出生率とは15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの平均子ども数に相当する指標です。人口が少ない自治体では一定数の女性の転入・転出で容易に数値が変動します。自治体の数値比較にはほとんど意味がありません。



人口減少対策が議論された全国知事会議=8月1日、福井市(オンライン配信の画像)

社会全体の問題
8月1日に福井市で開催された全国知事会議で、吉村美栄子山形県知事は「合計特殊出生率をことさらに取り上げることは、女性はもっと子どもを産むべきだというメッセージともなりかねず、女性に心理的負担を負わせているとの声も聞かれる。出産や育児は女性だけにかかわるものではない。男性を含め社会全体で子どもを育てる機運を高め、だれもが安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる社会をつくっていくべきだ」と指摘しました。
人口減少の原因を「女性が子どもを産まないからだ」と決めつけ、自治体レベルで見当違いな政策を展開しても何も解決しないことは、安倍政権下で進められた「地方創生」の失敗で明らかです。今、自治体で同じ愚を繰り返していないか検証が必要です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年8月20日付掲載


国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が試算した「日本の地域別将来推計人口」から「20~39歳の女性人口」を抜き出して、50年に同人口が半分以上減る自治体を「最終的には消滅する可能性が高いのではないか」とレッテル貼りしただけの乱暴な試算。
8月1日に福井市で開催された全国知事会議で、吉村美栄子山形県知事は「合計特殊出生率をことさらに取り上げることは、女性はもっと子どもを産むべきだというメッセージともなりかねず、女性に心理的負担を負わせているとの声も聞かれる。出産や育児は女性だけにかかわるものではない。男性を含め社会全体で子どもを育てる機運を高め、だれもが安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる社会をつくっていくべきだ」と指摘。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする