締約国会議機に 政治家を決意 仏領ポリネシアのモルガンクロス議員 「核禁止条約で補償・廃絶必ず」
南太平洋の仏領ポリネシアのヒナモエウラ・モルガンクロス議員(35)は、昨年開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議に参加して議員になろうと決意し、今年5月の選挙で初当選しました。核実験被害者への補償を充実させ、核廃絶を実現しようと11月末に米ニューヨークの国連本部で開かれた第2回会議にも参加しました。
(ニューヨーク=島田峰隆写真も)
【仏領ポリネシア】
南太平洋南東部に散在する約120の島と環礁から成るフランス特別自治体。面積4167平万キロ、人口約30万6000人。政庁所在地はタヒチ島パペーテ。1842年にタヒチ島がフランス保護領となった後、他の島も併合1946年からフランスの海外領土。2004年に特別自治体になりました。任期5年の議会が行政長官を選出します。
「議員になって初めての仕事が核兵器禁止条約の支持決議になりました」とガッツポーズするモルガンクロス氏。「政治で変化を起こせる手応えを感じています」と笑顔で語りました。
議会(57議席)が今年9月に可決した決議は禁止条約を支持し、マクロン仏大統領に条約への加入や締約国会議へのオブザーバー参加を要求。仏領ポリネシアは核実験の被害者だと強調し、被害者救済や環境修復を定めた禁止条約の順守を求めました。
第2回締約国会議に参加したナモエウラ・モルガンクロス議員=11月30日、ニューヨーク
193回の核実験 死の灰で汚染
フランスは1966~96年、仏領ポリネシアのムルロア環礁などで193回の核実験を実施しました。生活用水に雨水を使っていた住民は、放射性降下物(死の灰)で汚染された水を飲み、赤ちゃんは汚染された水でつくったミルクを飲みました。生活の糧の魚も汚染されました。
住民の間には、がんや白血病、出生異常などが多発しています。モルガンクロス氏自身も10年前に白血病と診断されました。曽祖母は甲状腺がん、祖母と母は乳がんや甲状腺がんを患いました。
「フランスはポリネシアの住民を実験材料に使い、核兵器大国になりました。住民には“きれいな爆弾だ”とうそをつきました。私たちは補償を受けて当然です」
核実験と健康被害の関係に関心を持って調べ始めたのは2018年秋のこと。仏領ポリネシアのオスカー・テマル元行政長官が、核実験は人道に対する犯罪だとフランスを国際刑事裁判所に提訴したことがきっかけでした。
「193回もの核実験があったと初めて知り、衝撃を受けました」。調べるうちに自身や家族の病気の原因が核実験にあると確信しました。国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」とつながり、生まれ育ったタヒチ島で補償や核廃絶を求める行動に参加しました。
被害の実態を住民に知らせ
大きな転機が、昨年6月にウィーンで開かれた禁止条約第1回締約国会議への参加でした。日本の被爆者、カザフスタンやマーシャル諸島でたたかう核実験被害者と交流し、「政治を変えなければ」と決意。議員となりました。
いま最も力を入れたい課題は、フランス政府が2010年に施行した核実験被害者救済補償法の拡充と、核実験被害の実態を住民に知らせる運動です。
モルガンクロス氏は「核実験は隠ぺいされ、被害を自覚できていない住民も多い。植民地支配の傷痕です」と指摘。「核兵器禁止条約は被害者に心を寄せた人間味のある条約です。この条約なら被害者補償と核兵器廃絶を必ず実現できると思います」
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月18日付掲載
ポリネシア議会(57議席)が今年9月に可決した決議は禁止条約を支持し、マクロン仏大統領に条約への加入や締約国会議へのオブザーバー参加を要求。仏領ポリネシアは核実験の被害者だと強調し、被害者救済や環境修復を定めた禁止条約の順守を求めました。
フランスは1966~96年、仏領ポリネシアのムルロア環礁などで193回の核実験を実施。生活用水に雨水を使っていた住民は、放射性降下物(死の灰)で汚染された水を飲み、赤ちゃんは汚染された水でつくったミルクを飲みました。生活の糧の魚も汚染。
いま最も力を入れたい課題は、フランス政府が2010年に施行した核実験被害者救済補償法の拡充と、核実験被害の実態を住民に知らせる運動。
南太平洋の仏領ポリネシアのヒナモエウラ・モルガンクロス議員(35)は、昨年開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議に参加して議員になろうと決意し、今年5月の選挙で初当選しました。核実験被害者への補償を充実させ、核廃絶を実現しようと11月末に米ニューヨークの国連本部で開かれた第2回会議にも参加しました。
(ニューヨーク=島田峰隆写真も)
【仏領ポリネシア】
南太平洋南東部に散在する約120の島と環礁から成るフランス特別自治体。面積4167平万キロ、人口約30万6000人。政庁所在地はタヒチ島パペーテ。1842年にタヒチ島がフランス保護領となった後、他の島も併合1946年からフランスの海外領土。2004年に特別自治体になりました。任期5年の議会が行政長官を選出します。
「議員になって初めての仕事が核兵器禁止条約の支持決議になりました」とガッツポーズするモルガンクロス氏。「政治で変化を起こせる手応えを感じています」と笑顔で語りました。
議会(57議席)が今年9月に可決した決議は禁止条約を支持し、マクロン仏大統領に条約への加入や締約国会議へのオブザーバー参加を要求。仏領ポリネシアは核実験の被害者だと強調し、被害者救済や環境修復を定めた禁止条約の順守を求めました。
第2回締約国会議に参加したナモエウラ・モルガンクロス議員=11月30日、ニューヨーク
193回の核実験 死の灰で汚染
フランスは1966~96年、仏領ポリネシアのムルロア環礁などで193回の核実験を実施しました。生活用水に雨水を使っていた住民は、放射性降下物(死の灰)で汚染された水を飲み、赤ちゃんは汚染された水でつくったミルクを飲みました。生活の糧の魚も汚染されました。
住民の間には、がんや白血病、出生異常などが多発しています。モルガンクロス氏自身も10年前に白血病と診断されました。曽祖母は甲状腺がん、祖母と母は乳がんや甲状腺がんを患いました。
「フランスはポリネシアの住民を実験材料に使い、核兵器大国になりました。住民には“きれいな爆弾だ”とうそをつきました。私たちは補償を受けて当然です」
核実験と健康被害の関係に関心を持って調べ始めたのは2018年秋のこと。仏領ポリネシアのオスカー・テマル元行政長官が、核実験は人道に対する犯罪だとフランスを国際刑事裁判所に提訴したことがきっかけでした。
「193回もの核実験があったと初めて知り、衝撃を受けました」。調べるうちに自身や家族の病気の原因が核実験にあると確信しました。国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」とつながり、生まれ育ったタヒチ島で補償や核廃絶を求める行動に参加しました。
被害の実態を住民に知らせ
大きな転機が、昨年6月にウィーンで開かれた禁止条約第1回締約国会議への参加でした。日本の被爆者、カザフスタンやマーシャル諸島でたたかう核実験被害者と交流し、「政治を変えなければ」と決意。議員となりました。
いま最も力を入れたい課題は、フランス政府が2010年に施行した核実験被害者救済補償法の拡充と、核実験被害の実態を住民に知らせる運動です。
モルガンクロス氏は「核実験は隠ぺいされ、被害を自覚できていない住民も多い。植民地支配の傷痕です」と指摘。「核兵器禁止条約は被害者に心を寄せた人間味のある条約です。この条約なら被害者補償と核兵器廃絶を必ず実現できると思います」
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月18日付掲載
ポリネシア議会(57議席)が今年9月に可決した決議は禁止条約を支持し、マクロン仏大統領に条約への加入や締約国会議へのオブザーバー参加を要求。仏領ポリネシアは核実験の被害者だと強調し、被害者救済や環境修復を定めた禁止条約の順守を求めました。
フランスは1966~96年、仏領ポリネシアのムルロア環礁などで193回の核実験を実施。生活用水に雨水を使っていた住民は、放射性降下物(死の灰)で汚染された水を飲み、赤ちゃんは汚染された水でつくったミルクを飲みました。生活の糧の魚も汚染。
いま最も力を入れたい課題は、フランス政府が2010年に施行した核実験被害者救済補償法の拡充と、核実験被害の実態を住民に知らせる運動。