非正規 格差なくそう① 改定法施行 不合理な待遇格差を禁止
正規労働者と非正規労働者の賃金や福利厚生などで格差是正を求める改定法が4月1日から施行されます(中小企業は2021年4月から)。「同一労働同一賃金」(安倍首相)には遠く格差を容認する側面があるものの、待遇改善につながる面も少なくなく、春闘でたたかいが始まっています。施行前に内容や実態を見てみます。
2018年成立の「働き方改革法」に盛り込まれたもので、基本給や手当などについて「不合理な待遇差」を設けることが禁止されました。(8条)
事業主は、非正規社員の待遇について、正規社員と比べて、①職務内容(業務内容と責任の程度)、②職務内容・配置の変更範囲(転勤、人事異動、昇進などの有無や範囲)、③その他の事情(労使慣行など)―の違いに応じて決定する必要があるとしています。

非正規差別の是正を求めて提訴した日本郵政の労働者=2月14日、東京都千代田区
抽象的理由ダメ
これは「均衡待遇」として一定の格差を容認するものですが、厚生労働省の指針では、「パートだから」「将来の役割期待が異なるため」など主観的抽象的理由で差をつけることは認められません。
正規社員と比べて職務内容や、転勤・昇進など配置の変更範囲が同じであれば、差別的取り扱いは禁止され、「均等待遇」が求められます。(9条)定年後に継続雇用された有期労働者にも法律が適用されます。
指針では、不合理かどうかは「さまざまな要素を総合的に考慮して判断される」として格差を容認しつつも、「継続雇用というだけで不合理ではないと認められるものではない」としています。
企業の対応として、低い待遇の社員区分をつくったり、正社員と非正規社員との職務内容の分離が予想されます。それでも、不合理な待遇差があれば解消が求められることに変わりはありません。
正社員の待遇を引き下げて格差を「是正」する企業も。日本郵政は、正社員の手当を廃止・削減して非正規社員に年始勤務手当を創設するなどして「格差是正」を行いました。
厚労省指針は、法改正の目的は「待遇改善による格差是正」であり、労使の合意もなく正社員の待遇を引き下げて「是正」をはかることは「望ましくない」と明記しています。
郵政産業労働者ユニオンの組合員154人は2月、正社員との格差は違法だとして損害賠償を求める訴訟を各地裁に起こしました。
仕事や責任が変わらないのに、正社員に支給される年末年始の勤務手当や住居手当、夏季休暇などがなく、一時金にも数倍の格差があると訴えています。
賃金格差容認も
厚労省の指針では、具体的なケースを示しています。
【基本給】
① 能力または経験②業績または成果③勤続年数―の要素ごとに比べて、「同一であれば同一の支給、違いがあれば違いに応じた支給」としています。
指針では、「管理職コースの正社員の基本給が、同じ仕事をするパート社員より高い」などのケースは問題にならないとしています。職務内容が同じでも「人材活用の仕組み」などを理由に格差を容認するもので、見直しが必要です。
能力や成果などの評価については公正な評価が求められます。
【賞与(一時金)】
「会社への貢献度」が同じなら、非正規社員にも正規社員と同じ支給をしなければなりません。正規社員全員に職務内容にかかわらず支給していれば、非正規社員にも何らかを支給しなければならないとしています。
ただし、「会社への貢献」といっても客観的評価が難しく、恣意(しい)的判断で不当な格差を許さない取り組みが求められます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年3月30日付掲載
郵便局の労働者。そこで活動する日本共産党の活動家の思い。
非正規の労働者も郵産労の労働組合に迎え入れ、均等待遇求めて運動しています。
さらに、日本共産党に迎え入れれば、職場を去る非正規労働者も、全国ネットで結びつけると意識しています。
正規労働者と非正規労働者の賃金や福利厚生などで格差是正を求める改定法が4月1日から施行されます(中小企業は2021年4月から)。「同一労働同一賃金」(安倍首相)には遠く格差を容認する側面があるものの、待遇改善につながる面も少なくなく、春闘でたたかいが始まっています。施行前に内容や実態を見てみます。
2018年成立の「働き方改革法」に盛り込まれたもので、基本給や手当などについて「不合理な待遇差」を設けることが禁止されました。(8条)
事業主は、非正規社員の待遇について、正規社員と比べて、①職務内容(業務内容と責任の程度)、②職務内容・配置の変更範囲(転勤、人事異動、昇進などの有無や範囲)、③その他の事情(労使慣行など)―の違いに応じて決定する必要があるとしています。

非正規差別の是正を求めて提訴した日本郵政の労働者=2月14日、東京都千代田区
抽象的理由ダメ
これは「均衡待遇」として一定の格差を容認するものですが、厚生労働省の指針では、「パートだから」「将来の役割期待が異なるため」など主観的抽象的理由で差をつけることは認められません。
正規社員と比べて職務内容や、転勤・昇進など配置の変更範囲が同じであれば、差別的取り扱いは禁止され、「均等待遇」が求められます。(9条)定年後に継続雇用された有期労働者にも法律が適用されます。
指針では、不合理かどうかは「さまざまな要素を総合的に考慮して判断される」として格差を容認しつつも、「継続雇用というだけで不合理ではないと認められるものではない」としています。
企業の対応として、低い待遇の社員区分をつくったり、正社員と非正規社員との職務内容の分離が予想されます。それでも、不合理な待遇差があれば解消が求められることに変わりはありません。
正社員の待遇を引き下げて格差を「是正」する企業も。日本郵政は、正社員の手当を廃止・削減して非正規社員に年始勤務手当を創設するなどして「格差是正」を行いました。
厚労省指針は、法改正の目的は「待遇改善による格差是正」であり、労使の合意もなく正社員の待遇を引き下げて「是正」をはかることは「望ましくない」と明記しています。
郵政産業労働者ユニオンの組合員154人は2月、正社員との格差は違法だとして損害賠償を求める訴訟を各地裁に起こしました。
仕事や責任が変わらないのに、正社員に支給される年末年始の勤務手当や住居手当、夏季休暇などがなく、一時金にも数倍の格差があると訴えています。
賃金格差容認も
厚労省の指針では、具体的なケースを示しています。
【基本給】
① 能力または経験②業績または成果③勤続年数―の要素ごとに比べて、「同一であれば同一の支給、違いがあれば違いに応じた支給」としています。
指針では、「管理職コースの正社員の基本給が、同じ仕事をするパート社員より高い」などのケースは問題にならないとしています。職務内容が同じでも「人材活用の仕組み」などを理由に格差を容認するもので、見直しが必要です。
能力や成果などの評価については公正な評価が求められます。
【賞与(一時金)】
「会社への貢献度」が同じなら、非正規社員にも正規社員と同じ支給をしなければなりません。正規社員全員に職務内容にかかわらず支給していれば、非正規社員にも何らかを支給しなければならないとしています。
ただし、「会社への貢献」といっても客観的評価が難しく、恣意(しい)的判断で不当な格差を許さない取り組みが求められます。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年3月30日付掲載
郵便局の労働者。そこで活動する日本共産党の活動家の思い。
非正規の労働者も郵産労の労働組合に迎え入れ、均等待遇求めて運動しています。
さらに、日本共産党に迎え入れれば、職場を去る非正規労働者も、全国ネットで結びつけると意識しています。