きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

女性と新型コロナ 国連ウィメンの声明②

2020-04-04 16:59:56 | 新型コロナウイルス
女性と新型コロナ 国連ウィメンの声明②
国連ウィメンの声明の後半です。
実際の対処についての提言。前半の問題点に照応する形です。
生理用ナプキンやタンポンの提供など、当然すぎることも言わないといけないものかと思います。
介護や家事などの非公式セクターの女性の労働にもっと光をあてないといけません。
「HeForShe」運動というものがあるんですね。


以下、こうした課題に対処するために、各国政府が今すぐにできる五つの行動を挙げます。
第一に、対応努力のすべての局面で、女性の看護師や医師が仲間入りできるよう保障すること。これはすなわち、最低でも、生理用ナプキンやタンポンなどの月経衛生用品を、個人防護用品の一部として、女性のケア提供者と最前線の対応者が手に入れられるようにすることです。これにより、すでに困難な状況の中、不必要な不快感にさらされずにすむことが保障されます。しかし、最も重要なのはケア提供者に話を聞き、そのニーズを把握し、それに対応することです。ケア提供者は、私たちができる最大限の支援を受けるに値します。特に必要な重要な医療機器についての支援はその最たるものです。
第二に、すべての家庭内暴力の被害者のためのホットラインとサービスが「基本的(必要不可欠)なサービス」と位置付けられ、開かれ続けることと、法律の実施が被害者からの連絡に対応するためのニーズに敏感であることを保障すること。女性被害者のためのシェルター(保護施設)を基本的サービスのリストに含めたカナダのケベック州とオンタリオ州の例にならうこと。そうすることで、暴刀による女性の死亡について、親密なパートナーによる犯行である割合が高いことにてらしても、パンデミックによる隔離・封鎖期間中、(ジェンダー視点の欠如という)不注意のためにさらなるトラウマ(精神的外傷)や、けが、死が引き起こされないように保障することができます。
第三に、救済措置と景気刺激策は、女性特有の状況の理解とケア経済の認識を反映させた社会的保護措置を含むものでなければなりません。これはすなわち、健康保険の恩恵を最も必要とする人や、家にいる子どもや老人の世話のために仕事に来られない人のための有給休暇もしくは病気休暇を保障することです。
発展途上国では、女性の労働力のほとんどが非公式経済の労働力である状況が続いていますが、それに対し補償給付を行う特別の努力がされるべきです。非公式セクターの労働者への対応は難題であり、各国の特殊な状況を考慮する必要は理解しつつも、やはり結果の公平を確保する努力をすることには価値があります。
第四に、リーダーたちは、対策と回復へ向けた意思決定に女性を含める方法を見つけなければなりません。地域、市町村、国のレベルにかかわらず、意思決定に女性の声を取り入れることは、より良い結果につながります。さまざまな状況設定から、視点の多様性が最終決定を豊かにすることは明らかです。これと同時に、政策策定者は、女性組織の可能性に投資するべきです。女性団体に協力を求めるべく手を差し出すことは、彼女らの注目に値するネットワークが(人混みを避けるという)ソーシャル・ディスタンシングのメッセージを広めるためのテコとなり、より強力な地域からの反応を確保する手助けとなります。エボラ出血熱への対応は女性団体の参加による利益を受けたのですから、今回もそうしない手はないでしょう。
最後に、政策策定者は、人々の家庭で何が起きているかに注意を払い、女性と男性の間のケア負担の平等を支持しなければなりません。世界各地の世帯内で行われているジェンダーの役割を「非ステレオタイプ化(決まり切ったものとしない)」する好機です。各国政府ができる、特に男性のリーダー向けの具体的な行動の一つは、私たちの「HeForShe」運動に参加し、HeForShe@Homeについての情報に注目し続けることです。その運動で私たちは、男性・男子が家事の公平負担をすることへの協力を確保して女性に過重にのしかかっているケア負担を軽減するために彼らの協力を呼び掛けています。
こうした行動とそれ以上のことが急務です。女性のニーズを組み入れることは、私たちが「より良い状態への回復」を遂げる好機をもたらします。
より平等な世界をつくるための政策行動を実行することほど、私たちの共有する人間性に対して敬意を表明するものはないでしょう。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月4日付掲載
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安保改定60年 第二部⑥ 安保条約にとらわれぬ議論を 基地のない日本を考えよう

2020-04-04 08:22:05 | 平和・憲法・歴史問題について
安保改定60年 第二部⑥ 安保条約にとらわれぬ議論を 基地のない日本を考えよう
神戸市外国語大学准教授(日本近現代文化史) 山本昭宏さんに聞く

今年、改定から60年をむかえた日米安保条約。日米安保をめぐる国民意識がどう形成され、「安保=思考停止」ともいわれる状況からどう脱却していくのか、神戸市外国語大学の山本昭宏准教授(日本近現代文化史)に聞きました。(石黒みずほ)




現在、各種世論調査をみると、安保条約を肯定する人が8割前後という状況ですが、もともとはそうではありませんでした。
旧安保条約が成立した1950年代初期は、反基地闘争が全国に広がりました。保守派は憲法改正で自衛軍を創設、革新派は米軍撤退で「非武装中立」という形で、「独立」を前提としている点ではイデオロギーを超えて共通していました。当時はほとんどが戦争体験者で、つい最近まで空襲の被害にあっていた人たちが、米軍基地を許容できるのかといえば、許容できなかったと思います。

反米どこに
興味深いのは、戦後日本には立場を超えて反米意識がありましたが、60年代以降の高度経済成長で大きく変化しました。アメリカ的「豊かさ」が国民に浸透し、例えば「安保繁栄論」のように、戦後の経済成長を認めることと、安保条約を認めることとが、ほとんどイコールで理解されるようになったのです。
加えて、50年代には沖縄は米軍施政下で、基地問題は本土の問題だったため、国民との心理的距離が近かった。しかし沖縄が本土復帰した70年代以降、沖縄の基地問題は何ら解決されていないのに、基地から派生する被害に落差が生じたため、沖縄との間に心理的障壁が生じたという問題もあるでしょう。
80年代以降、日本政府は日米関係について「同盟」という言葉を使い始めます。日米の力関係が見えにくくなりました。あたかも対等な主権国家同士の「同盟」で、揺るぎないものであるということが、国民の中に刷り込まれていきました。
自分の生活を平穏無事なものとして守り保ちたいという「生活保守主義」と結びつくことで、日米安保が強固になっているのではないでしょうか。



土砂投入が強行されて1年になる辺野古沿岸=2019年12月13日、沖縄県名護市(小型無人機で撮影)

東アジアの新秩序構想とセットに
憲法前文で
2015年の安保法制時に世論が大きく高まったのは、自分たちの生活が根底から変わるかもしれないという大きな不安感の一つの現れであり、現代民主主義を取り戻すための機運をつくったと思います。自分たちの運動で自分たちの環境を変えていくという態度は、戦後の豊かな経験からです。社会・世界に開かれた個人が、自分と世界を変えようとするところが、戦後理念のいいところです。
短期的には安保条約を肯定していたとしても、騒音や治安の乱れなどの住民・生活水準問題として、基地に不安を持っている人は少なくありません。だからこそ、日米関係を前提としてでしか、世界・安全保障を考えられないという、戦後形成された意識から脱却し、長期的観点から、基地のなくなった日本を考えていかなければなりません。
私は安全保障の専門家ではありませんから、ここからは一市民として発言します。日米安保条約は廃棄可能だと思います。そう言うと、すぐに「軍事攻撃を受けたらどうするのか」という話になりますが、そのための自衛隊ではないですか。また、攻撃を受けないような集団安全保障体制をつくるのは、日米安保以外の方法でも可能ではないでしょうか。
日米安保条約の解消は、東アジアの新秩序の構想とワンセットです。東アジアの国々とのより積極的・平和的な友好関係を築いていくべきです。
核兵器禁止条約でも、「核の傘」のジレンマからアメリカを気にして「核保有国と非保有国との橋渡しをする」と署名拒否を正当化するロジックから抜けだし、より積極的な役割を果たしてほしい。
日本は戦争責任をふまえて、そこに積極的に関与していってほしいです。望む日本の姿は、憲法前文にある「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」です。理想を振りかざすのは正しすぎて敬遠されるかもしれませんが、理想というのは努力目標ですから。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月1日付掲載


「攻撃を受けないような集団安全保障体制をつくるのは、日米安保以外の方法でも可能」
「東アジアの国々とのより積極的・平和的な友好関係を築くことで、日米安保条約の解消は可能に」
憲法前文にある「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」の実現を。
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