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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の病巣 日本をカットした日産⑤ 株価上昇「唯一の使命」

2019-01-26 11:25:37 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の病巣 日本をカットした日産⑤ 株価上昇「唯一の使命」
日産自動車の工場閉鎖で、労働者の人生は狂い、地域経済、日本経済は大打撃を受けました。それは、カルロス・ゴーン被告にとって大成功を意味しました。日産の株価が上がったからです。ゴーン被告自身が述べています。
「上場企業の唯一の使命は、長期にわたり持続的に企業価値を創造することです。日産も企業価値創造を使命としており、当社の時価総額は、1999年度末のおよそ1兆2000億円から2005年度末には6兆3000億円に増加しました」(日産「アニュアルレポート2005 CEOメッセージ」)
ゴーン被告が考える「上場企業の唯一の使命」は、自社株式の時価総額を増加させることだったのです。



日産自動車の村山工場跡地=東京都武蔵村山市

「株主資本主義」
「ゴーン流経営の本質である『株主資本主義』を露骨に言い表した言葉です」と、下関市立大学の関野秀明教授は指摘します。
「日産は株価をつり上げ株式時価総額を増大させるために、増配(株主配当金の増大)や自社株買いを繰り返してきました」
ゴーン被告が「リバイバルプラン」に着手した1999年度以降、日産は株主配当金を増やし続けます。2008年度のリーマン・ショックでいったん減らしたものの、10年度以降は再び連続増配に転じました。連動して株式時価総額も増大してきました。(図)
日産の株主配当金(年額)は、1997年度以降の20年間で1822億円も増えて、8倍になりました。派遣切りにした年収300万円程度の社員を数万人規模で雇える額です。
こうしたゴーン流経営から利益を得てきた株主の多くが外国人です。日産の株式の62%を外国人が支配しています。筆頭株主である仏自動車大手ルノーが日産株式の43・7%(17年度)を保有しています。
ゴーン被告自身も日産の株主です。17年度には313万9千株を保有し、1億6637万円の配当金を得ました。ゴーン被告が日産、ルノー三菱自動車から得た配当金と役員報酬の総額は6年間で約113億円にのぼります。(表)




2012年~17年 ゴーン被告の役員報酬と受取配当金額(円)
 2012年度2013年度2014年度2015年度2016年度2017年度合計
日産報酬9億8800万9億9500万10億3500万10億7100万10億9800万7億3500万59億2200万
ルノー報酬4億5008万2億8346万7億1101万7億3253万7億5335万7億7665万37億708万
三菱自報酬2億2700万2億2700万
日産配当7778万9351万1億303万1億3138万1億5038万1億6637万7億2245万
ルノー配当4366万5430万5998万9061万2億960万2億3622万6億9437万
三菱自配当0.4万20万20万
合計15億5952万14億2627万19億902万20億2552万22億1133万21億4144万112億7310万
1ユーロ=123.7円で計算

国内生産弱める
日産が株主配当金の増加にあてた利益は、人件費を中心とする「コスト」の削減で生み出したものでした。関野さんは話します。
「株主の利益を最優先にした結果、日産は目先の利益拡大を求めて海外への生産移転を進め、国内生産体制を弱めました。国内での技術革新力、生産管理能力、市場販売力を後退させる結果を招きました。ゴーン流経営の矛盾は、日産の経営と相いれない次元にまで高まっていたといえます」
会社と労働者を、株主の私利私欲を満たすための道具としか見ない強欲資本主義。その哲学のとりことなり反社会的なリストラを強行したゴーン被告は、結局、違法行為にまで手を染めた疑いで逮捕、起訴されたのでした。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年1月24日付掲載


人件費削減によるコストの削減で生み出した利益。
当然のことながら、労働者の賃金には還元されず、株価や役員報酬に還元された。

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